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福島県沖を震源とする地震の被災者、「保険証等持たずとも保険診療を受けられる特例」を適用―厚労省

2021.2.15.(月)

東日本大震災から丸10年を迎えようとする中、また東北地方を中心に大きな地震が発生しました(2月14日深夜)。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

状況を重くみた厚生労働省は、保険証(被保険者証)を持たずに避難した、あるいは保険証を滅失してしまった方について、「保険証を持たずに医療機関等を受診した場合でも保険診療を受けられる(1-3割の負担で済む)」という臨時特例をすぐさま設けています。



保険診療を受ける(年齢・所得に応じて1-3割負担のみの支払いとなる)ためには、原則として、自身の加入する医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)の発行した被保険者証(保険証)を医療機関等の窓口に提示し、「自分は、公的医療保険の加入者である」旨を証明しなければなりません。医療機関等では、患者本人に医療費の1-3割を「窓口負担、一部負担」として請求し、残りの7-9割は保険者に請求することになります。この資格確認が曖昧なままでは、医療機関等サイドは「この患者には、1-3割の自己負担を請求するだけでよいのか?もし医療保険に加入していなければ10割請求をしなければならないが・・・」と不安を持ち、円滑な事務が滞ってしまうためです。

このため被保険者証を持参し忘れるなど提示できない場合には、一旦、医療費の全額を医療機関の窓口で支払い、後日、自分自身で医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請し、保険給付分(年齢や所得に応じて7-9割)を償還してもらうことが原則となります。



しかし、今般の大地震で被災された方の中には、さまざまな理由で医療保険の「被保険者証」(保険証)や、難病等の「医療受給者証」を持たずに避難を余儀なくされた方も少なくないと思われます。日常生活への復帰の目途が立たない被災者に、上記の原則を適用することはあまりに酷であり、厚生労働省は「特例措置」を設けることを2月14日に迅速に決定(事務連絡「令和3年福島県沖を震源とする地震による災害の被災者に係る被保険者証等の提示等について」)。これまでに東日本大震災や熊本地震、北海道地震、各地の豪雨に伴う浸水などの大災害で被災された方にも、同様の対応がとられています(関連記事はこちら(2020年台風14号被災者特例)こちら(2020年7月九州豪雨の被災者特例)こちら(2019年台風19号の被災者特例)こちら(2018年北海道大地震の被災者特例)こちr(2018年7月豪雨の被災者特例))。

特例措置の具体的な内容は、被保険者証を持たずに避難したために、医療機関窓口に提示できない場合であっても、▼氏名▼生年月日▼連絡先(電話番号等)▼被用者保険(健保組合や協会けんぽ)の被保険者では「事業所名」(会社名)▼国民健康保険・後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)の被保険者では「住所」▼国保組合では、住所と組合名―を医療機関の窓口で申し立てることで、保険診療が受けられるようにするものです。



この場合、医療機関側は次のようにレセプト請求を行うことになります。

▼「受診時に確認した被保険者の事業所」や「過去に受診した医療機関」などに問い合わせて、可能な限りレセプトに保険者(健保組合など)を特定し、記載する

▼保険者を特定できない場合には、「住所または事業所名」「連絡先」などをレセプトの欄外上部に記載する



さらに難病患者等で、医療受給者証の提出ができない場合であっても、医療機関の窓口で「医療受給者証の交付を受けている」ことを申し出て、▼氏名▼生年月日▼住所—が確認できた場合には公費負担医療を受けられるといった特例措置も同日(2月14日)に設けられています(事務連宅「令和3年福島県沖を震源とする地震による災害による被災者に係る公費負担医療の取 扱いについて」)。緊急の場合には、指定医療機関以外の医療機関を受診することも可能とされています。

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