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新型コロナ対策 症例Scope

2022年度診療報酬改定で全DPCに「ネーザルハイフロー療法」分岐設け、食事療養費を引き上げよ―全自病・小熊会長

2021.6.18.(金)

2022年度の次期診療報酬改定において、例えば▼すべてのDPC(診断群分類)において、「ネーザルハイフロー療法」分岐を設ける▼入院時食事療養費を引き上げる▼感染防止対策地域連携加算を、感染防止対策加算2病院でも算定可能とする―などの見直しを行ってほしい―。

「医師の働き方改革」、とりわけ勤務医の負担軽減を実現するためには、「かかりつけ医」が自身の受け持ち患者が夜間急変などした場合には、自ら相談を受けトリアージを行い、「自院で対応できない患者のみを病院に送る」などの協力が必要不可欠である―。

骨太方針2021・原案では、新型コロナウイルス感染症と闘う医療機関の経営支援について「診療報酬の概算払い」という文言がなくなっており、ほっとしている。しかし、医療関係者の意見を聞かずに、医療制度改革を進めることに依然としては大きな問題がある―。

全国自治体病院協議会の小熊豊会長(砂川市立病院名誉院長)は6月17日の定例記者会見で、こうした考えを明らかにしました。

6月17日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の小熊豊会長

すべてのDPCに「ネーザルハイフロー療法」分岐を設け、入院時食事療養費を引き上げよ

2022年度の次期診療報酬改定に向けた議論が、いよいよ中央社会保険医療協議会でスタートしました(関連記事はこちらこちらこちら)。こうした動きを見据え、全自病の小熊会長は、6月15日に厚生労働省保険局の濵谷浩樹局長、同局医療課の井内努課長らに宛てて、出来高60項目(うち重点項目32)・DPC48項目(うち重点項目3)の「改正・新設要望」を行いました。

6月17日の会見では、要望項目を取りまとめ、厚労省幹部への要望書提出にも同席した全自病「診療報酬対策委員会」の森田眞照委員長(市立ひらかた病院顧問兼健診センター長)から重点要望項目の中でも、とりわけ「強く実現を求める」最重点要望項目の説明が行われました。

まずDPCでは、すべての診断群分類のtree図において「ネーザルハイフロー療法」に関する分岐(「処置2」などでの分岐)を設けることを求めています。同療法は「鼻から高流量(毎分30-60L)の高精度酸素を投与する」もので、人工呼吸器と比較しても「患者にとって有用」であるとされ(海外研究ではICUや心臓の領域において、息切れが強く高濃度酸素療法を必要とする患者で従来療法より有効であるとの研究成果あり)、急速に普及しています。こうした点を踏まえ、DPCに新たな分岐を設定し「当該療法を行った場合には、より高いDPC点数を算定できる」ようにすべきと全自病では強く要請しています。

このほか、DPCでは▼転院先で取り扱いのない高額薬剤等(抗がん剤や指定難病知慮医薬など)について、理由を明示したうえで転院元医療機関での「退院時処方」を可能とする▼がん患者の手術検体についてN000【病理組織標本作成】、N002【免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作成】を出来高算定可能とする―ことを重点要望として掲げています。



また、出来高では、次の6項目が最重点要望項目とされました。

▽A207-2【医師事務作業補助体制加算】を引き上げる(加算1のイ(15対1配置)では970点から1164点に引き上げるなど)

▽A234-2【感染防止対策加算】を引き上げるとともに、【感染防止対策地域連携加算】を【感染防止対策加算2】取得医療機関でも算定可能とし、施設基準について「非常勤医師の組み合わせ」でも算定可能とする

▽B001-2-6【夜間休日救急搬送医学管理料】について、【再診料】算定患者でも算定可能とする(現在は初診料算定患者のみだが、すべてのトリアージ必要患者で算定可能すべき)

▽A311【精神科救急入院料】について、2022年4月1日移行も「病床数維持」を可能とする

▽A207-3【急性期看護補助体制加算】を引き上げる(「25対1加算」では240点を280点に引き上げるなど)

▽N006【病理診断料】の「1 組織診断料」について、標本作成の都度(毎回)算定可能とする(現在は「月1回」のみだが、治療効果判定のために同一月に複数回の診断が必要になるケースが少なくない)

また、小熊会長は「地方では、薬剤師、看護補助者とともに『調理員』の確保が極めて困難である。このままでは病院であるにもかかわらず、療養のために極めて重要な『食事の提供』が困難になる事態も想定される」とし、「入院時食事療養費の引き上げ」(療養費Iでは、1食640円を700円にし、特別食加算を76円から84円にするなど)も併せて強く要望しています。ほかにも▼A247【認知症ケア加算】の引き上げ▼B001―23【がん患者指導管理料】の算定回数引き上げ▼H007-2【がん患者リハビリテーション料】の外来患者への適用▼【画像診断管理加算2】の施設基準緩和(連携医療機関での読影も可能とする)—などを重点要望項目として掲げています。

医療現場の「切実な思い」ですが、一方で財源には限りがあります(診療報酬は国費25%、保険料50%などで負担を分かち合っており、点数引き上げはそれぞれの負担増になる)。新型コロナウイルス感染症への対応で、多くの「国費による補助」が各所になされ、2022年度診療報酬改定に向けて、どの程度「改定財源を確保できるか」によって、これら要望内容の採否も決まってきます。

骨太方針・原案から「診療報酬の概算払い」の文言が消えて、ほっとしている

ところで、経済財政諮問会議では6月中旬の「骨太方針2021」(経済財政運営と改革の基本方針 2021(仮称))の策定に向けた議論を鋭意進めており、6月9日には「原案」が明らかにされました。そこでは、我が国の医療提供体制について「医療資源が散在してしまっており、効果的な医療提供がなしえない」という課題のあることを指摘し、▼地域医療構想の推進▼診療報酬の包括化推進—などによって「医療機能の集約化、役割分担・連携の強化などを進める」ことなどを強く提言しています。

この点について小熊会長は、「原案では、新型コロナウイルス感染症と闘う医療機関への経営支援について『診療報酬の概算払いで対応する』という文言が盛り込まれなかった。ほっとしている」とコメントする一方で、「医療関係者の意見も聞かずに医療政策を取りまとめることは問題である」との考えを強調しました。

さらに▼診療報酬包括支払い方式の拡大(1入院当たり包括支払い方式など)▼オンライン診療の拡大—について、「今後の動きを注視しなければならない」との考えも示しました。前者については「1日当たり定額であるDPCが定着したが、いまだ改善が必要な状況である」「具体的にどういった包括方式を、どういう目的で、どういう形で進めようとするのかを注視していく必要がある」との考えを示しています。

病院勤務医の働き方改革のためには「かかりつけ医」の協力が必要不可欠

また6月17日には、全自病の定時総会も開催されており、小熊会長は▼新型コロナウイルス感染症をはじめとする「新興感染症」対策を医療計画に盛り込む(2024年度からの第8次計画)が、「平時対応と感染拡大時の対応」「病院の機能分化・連携の強化」に向けて邁進していく▼医師働き方改革の実現に向けた対応を進めていく(今年度(2021年度)から各病院で医師勤務時間短縮計画を策定しなければならない)▼将来、医師過剰になることは理解するが、極端な医師少数・不足地域も十分に考えた施策(医師養成枠の臨時増)実現に取り組んでいく―などの考えを表明しています。

このうち「医師働き方改革」について小熊会長は、いわゆる「かかりつけ医」の機能と密接に関係するとの考えを改めて強調しました(関連記事はこちらこちら)。

かかりつけ医の定義・機能は明確になっておらず、共通の認識もできあがっていませんが、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)との合同提言(2013年8月)では「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」とされ、▼時間外対応▼夜間休日対応—といった具体的な「機能・役割」も示されています。

日医・四病協合同提言(2013・8)より



この点、小熊会長は「かかりつけ医が、自身の受け持つ患者が夜間などに急変した場合には、診療時間外や休日でも相談・要請を受け付け、一定のトリアージを行い、『自院で対応できない』場合に初めて病院の夜間救急等に送る、という機能を担っていただければ、病院勤務医の時間外労働が激減し、我が国の医療の在り方そのものが大きく変わっていくと思う」と述べ、医師の働き方改革推進に向けて「病院の取り組み」だけではなく、「かかりつけ医機能を担う診療所・中小病院の取り組み・協力」も非常に重要であるとの考えを強調しています。





ところで、新型コロナウイルス感染症への対応の中で明らかになった、「我が国では医療資源が散在している(例えば医療従事者の配置が「広く、薄く」なりすぎている)」という課題について、その解消が必要であることを確認したうえで、「どのような医療提供体制が最適なのかを、公民(自治体病院も医療法人も)問わず、地域ごとに真剣に考えなければならない」とも強く訴えています。





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