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新型コロナ対策 医療崩壊の真実

大病院の受診時定額負担、とりわけ「再診」で思うように進まず―中医協総会(3)

2021.3.25.(木)

2020年度の診療報酬改定で「紹介状を持たずに病院外来を受診する患者」からの定額負担徴収を、「一般病床200床以上の地域医療支援病院」にまで拡大した。定額負担徴収は進んできているが、とりわけ「再診」においては十分に進んでない―。

3月24日に開催された中央社会保険医療協議会の総会、および先立って開催された診療報酬改定結果検証部会に、こういった状況も報告されています。

後述するように、中医協では「受診時定額負担の拡充」に向けた具体的内容も議論していきます。「患者の声」にも耳を傾けた議論が行われることが期待されます。

逆紹介をしても大病院を受診する再診患者からの定額負担徴収、特定機能病院では0.3%

診療報酬改定では、「前回の改定の効果・影響を調査し、それを踏まえた見直し」を行うことが重要です。2022年度の次期診療報酬に向けては、次のような調査を行うことが決まっています(入院医療については中医協の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で別途調査が行われている)。

【2020年度調査】
▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その1)
▽精神医療等(その1)
▽在宅医療と訪問看護に係る評価等
▽医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等(その1)
▽後発医薬品の使用促進策の影響等

【2021年度調査】
▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その2)
▽精神医療等(その2)
▽医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等(その2)
▽かかりつけ歯科医機能の評価や歯科疾患管理料の評価の見直しの影響、歯科疾患の継続的管理等
▽かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定等
▽後発医薬品の使用促進策の影響等

今般、2020年度調査について結果報告が行われました。本稿では「かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その1)」中でも「紹介状なしの病院受診時の定額負担の徴収状況や導入の影響」に焦点を合わせてみます(働き方改革に関連する記事はこちら)。

外来医療機能分化の一環として、「紹介状なしに大病院を受診する場合、3割負担と別に、特別の定額負担(初診時5000円(歯科は3000円)以上・再診時2500円(歯科は1500円)以上)を徴収する」仕組みが設けられています。「まずかかりつけの診療所や中小病院を受診し、そこからの紹介を経て大病院を受診する」という患者の流れをつくることで、「大病院への患者集中を防ぎ(軽症患者も大病院を受診すれば、重症患者の医療アクセスを阻害してしまう)、医療従事者の負担軽減を図る」ことが狙いです。

2020年度診療報酬改定では、次のような対象病院の拡大を行うとともに、「定額負担徴収をしなかった場合の理由報告」を義務付けました。

(改定前)
特定機能病院、許可病床数400床以上の地域医療支援病院

(改定後)
特定機能病院、一般病床数200床以上の地域医療支援病院



今般の調査では、この受診時定額負担について、初診では次のように「紹介状なし患者」の割合が減り、「紹介を受けて大病院を受診する」患者が増加している状況が明らかとなりました。

▽「初診時の定額負担徴収」を実施している病院が増加(一般病床200床以上病院全体では改定前の88.3%から89.9%に増加)し、「一般病床200床以上で、特定機能病院・地域医療支援病院以外」の病院(徴収義務対象外)でも、特別負担を徴収していない割合は、改定前の24.3%から改定後には23.3%に減少した

初診時に定額負担を徴収する病院は増加している(中医協総会(3)9 210324)



▽初診時の定額負担の設定金額平均は、改定前の「3792.4円」から改定後には「4403.9円」に増加した(より高い金額を設定する病院が増加)

初診時定額負担の金額(中医協総会(3)2 210324)



▽初診患者に占める「紹介状なし患者」の比率は、特定機能病院では改定前「25.6%」→改定後「24.2%」に、許可病床400床以上地域医療支援病院では同じく「39.1%」→「37.1%」に低下した(紹介状持参患者が増えた)

▽「紹介状なし初診患者」に占める定額負担徴収者の割合は、特定機能病院では改定前「30.6%」→改定後「23.1%」に、許可病床400床以上地域医療支援病院では同じく「33.5%」→「30.9%」に低下してしまった

初診患者に占める「紹介状なし患者」はやや減少してきた(中医協総会(3)3 210324)



▽「初診患者に占める紹介状あり患者」の分布を見ると、「紹介状あり患者」の割合が高い病院が2020年度改定後に増加している

▽初診時に定額負担を徴収しなかった理由を見ると、▼救急患者▼公費負担医療の患者▼労災等患者―などが多くなっている

初診時の定額負担徴収を行わない理由(中医協総会(3)4 210324)





一方、再診については「大病院での専門的治療を終え、地域の中小病院や診療所受診で十分な状態に回復した」として逆紹介を行ったにもかかわらず、当該大病院を受診する場合に特別負担徴収が義務付けられます。この点、次のような状況が明らかとなり、「逆紹介が一定程度進んできているが、まだまだ十分とは言えない」ことが伺えます。

▽「再診時の定額負担徴収」を実施している病院が増加(一般病床200床以上病院全体では改定前の88.3%から89.9%に増加)しているが、「一般病床200床以上で、特定機能病院・地域医療支援病院以外」の病院(定額負担徴収の対象外)では低調である(逆紹介が進んでいない)

再診時の定額負担を導入する病院は増えている(中医協総会(3)5 210324)



▽再診時の定額負担の設定金額平均は、改定前の「2644.0円」から改定後には「2740.4円」に増加した(より高い金額を設定する病院が増加)

再診時の定額負担金額(中医協総会(3)6 210324)



「逆紹介をしたが、自院(大病院)を受診してしまう」患者に占める「定額負担徴収者」の割合は、特定機能病院では改定前後とも「0.3%」で変わらないが、許可病床400床以上地域医療支援病院では同じく「2.9%」→「3.7%」に増加(地域医療支援病院では定額負担徴収がわずかながら進んでいる)

逆紹介しても大病院を受診する患者への定額負担徴収は、極めて低調である(中医協総会(3)7 210324)



なお、初診患者の7割強は「紹介状を持たずに大病院を直接受診した場合には、定額負担が徴収される」ことを知っており、「自己負担増を覚悟して、大病院を直接受診する」ケースが多いことが伺えます。

多くの初診患者は「受診時定額負担」を知っている(中医協総会(3)9 210324)



昨年(2020年)末には、社会保障審議会の医療保険部会・医療部会において、この「受診時定額負担」を次のように拡充することが決まりました(現在、医療法・健康保険法等の改正案審議が国会で進められている、医療保険部会の関連記事はこちら、医療部会の関連記事はこちら)。

(A)「一般病床・療養病床を持つ医療機関」(病院・有床診療所)に外来診療に係るデータを都道府県に報告することを義務付ける【外来機能報告制度】

(B)提出された外来診療データをもとに、各地域で「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」(紹介中心型の病院)を明確化する

(C)「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」へは、かかりつけ医等からの紹介受診を原則とし、紹介状を持たない患者からは特別負担を徴収する(除外要件に該当する場合以外は義務)

(D)当該「紹介状なし患者」については、保険給付の一部を控除(例えば初診患者では2000円程度)し、その分、特別負担額を引き上げる(初診であれば現在の5000円+2000円→7000円程度以上など)

特別負担額を引き上げ、初・再診料相当額を保険から控除する方向が示されている(医療保険部会 201202)



また、除外(定額負担を徴収しなくともよい)要件が広すぎること、「とりわけ再診において除外該当患者が多い」ことが問題視されました。

そこで改正法成立後に、仕組みの詳細、例えば「定額負担の金額をどう設定するか」「再診における除外要件の在り方」などを主に中医協で議論することになっています(「医療資源を重点的に活用する外来を基幹的に担う病院」の基準作りなどは、別の検討会が立ち上げられる予定)。

今回のデータも踏まえることとなりますが、「外来医療の機能分化」に向けてどういった議論が進むのか、今後の中医協論議に注目する必要があります。

この点、「自己負担が高くなることを承知で大病院を受診する患者」に対しては、「定額負担」の金額を多少引き上げたとしても「まずかかりつけ医を受診する」という行動変容を促すことは困難です。こうした患者の「大病院を直接受診する」理由は、▼自宅から最も近い▼高度な医療を提供してくれると思われる▼診療科が多く安心できる―などさまざまです。さらに、「かつては診療所や中小病院を受診していたが、そこで十分な医療を受けることができなかった。適切かつ安全な医療を受けるために、定額負担を支払っても大病院受診を続ける」という人も決して稀ではありません。こうした患者の声にも耳を傾けて、「患者が安心して、まず診療所や中小病院を受診できる」仕組みを構築していく必要があります。



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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