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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

来年度(2021年度)の薬価改定、新型コロナ禍でどう実施すべきか―中医協総会(2)

2020.11.12.(木)

来年度(2021年度)の薬価改定(毎年度改定の初回)について、中央社会保険医療協議会・薬価専門部会で新型コロナウイルス感染症の状況も踏まえた検討を行う—。

11月11日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった方針が確認されました。

また中医協総会では、2022年度の次期診療報酬改定に向けて、2020年度改定の効果・影響に関する調査内容を固めています。

来年度(2021年度)の薬価改定、新型コロナ禍の中でどう実施すべきか

2018年度から行われている薬価制度抜本改革の一環として、「市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するために、従前2年に1度であった薬価改定について、中間年度においても必要な薬価の見直しを行う【毎年度薬価改定】」方針が明確化されています。

直近では、2020年度(前回改定)と2022年度(次回改定)の通常改定の間となる来年度(2021年度)に薬価改定を行うこととなり、そのベースとなる市場実勢価格の把握を今年(2020年)に行うことが必要です(市場実勢価格を踏まえ、薬価の引き下げを行うため)。

新型コロナウイルス感染症によって医療現場に大きな影響が出ている中で、医療提供サイド・薬剤提供サイドは「薬価調査はすべきではない」(現場負担が大きく、価格交渉が進んでいない中で調査結果の正確性が担保できない)との意見を述べていましたが、▼医療現場の負担に配慮する▼調査精度を確保できるよう、可能な限りの対策を図る—などの工夫を凝らしたうえで薬価調査を今年度(2020年度)に実施することが決まりました(関連記事はこちらこちら)。

また骨太方針2020(経済財政運営と改革の基本方針2020)では「2021年度の薬価改定は、骨太方針2018等(毎年度薬価改定の実施を指示している)の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する」旨が記載されています(関連記事はこちら)。

11月11日の中医協総会では、こうした状況を踏まえて「来年度(2021年度)の薬価改定をどのように考えていくべきか」を議論。まず薬価専門部会で、関係者(医薬品メーカーや卸業者)の意見も踏まえて検討を行う方針を確認しました。

中医協では「調査結果の精度如何によっては改定を行わないという選択肢もあるのではないか」との指摘がこれまでにも出ており、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「診療所から高度急性期病院まで、医療界をあげて新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでおり、患者受診減などの影響で、医療機関経営は厳しく、とりわけ小児科・耳鼻咽喉科は崩壊寸前である。今は薬価改定どころではない」ことを改めて指摘。

また同じく診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「まだ公表されていないが、薬価調査の結果を正しく活用できるのか、という分析も必要である。薬局、とりわけ小規模薬局の経営は非常に厳しい点も考慮すべきである」と訴えました。

診療側委員は「来年度(2021年度)薬価改定の実施は、極めて慎重に検討すべき」との考えで一致していることが分かります。

これに対し支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「薬価調査結果を見て、来年度(2021年度)改定をどうするかを考えるべき」とコメントするにとどめました。



なお吉森委員は「毎年度改定そのものの在り方も議論していく必要がある」とも付言しています。2018年度の薬価制度抜本改革では、中間年度改定(2021年度・23年度・25年度・・・)の対象品目(調査対象ではなく、価格改定の対象)について「流通改善に取り組むことにより薬価調査が適切に実施される環境整備を図りつつ、国民負担の軽減の観点からできる限り広くすることが適当である」との考え方を提示するにとどめており、具体的な対象品目は明確になっていません。吉森委員は、来年度(2021年度)改定を実施するか否か、とは別個に、こうした「中間年度改定の詳細」について詰めておくことが必要と指摘しているのです。

近く開かれる薬価専門部会で具体的な論点等が示されます。

2022年度の次期改定に向けて、2020年度改定の効果・影響を調査

また11月11日の中医協総会では、2022年度の次期診療報酬改定に向けた「今年度(2020年度)改定の結果検証調査」内容も固めています。今年度改定の効果・影響を把握し、それを次期改定に生かすことが狙いで、▼かかりつけ医機能等の外来医療(かかりつけ医機能を評価する地域包括診療料や、オンライン診療料など)▼精神医療等▼在宅医療と訪問看護▼医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進▼後発医薬品の使用促進―について詳しい調査を実施。また、外来医療や医師働き方改革などに関しては、来年度(2021年度)にも調査が行われます。

入院医療に関する調査と同様に「新型コロナウイルス感染症の影響」を可能な限り切り分けできるような工夫がなされ、例えば、臨時特例的に大幅拡大がなされている「電話・情報通信機器を用いた診療の実施状況」なども詳しく調べられます(関連記事はこちらこちら)。

2020年度改定の効果・影響を見る結果検証調査では「新型コロナウイルス感染症の影響」もみていく(その1)(中医協総会(1)1 201111)

2020年度改定の効果・影響を見る結果検証調査では「新型コロナウイルス感染症の影響」もみていく(その2)(中医協総会(1)2 201111)

2020年度改定の効果・影響を見る結果検証調査では「新型コロナウイルス感染症の影響」もみていく(その3)(中医協総会(1)3 201111)



医師働き方改革に関しては、2020年度の前回改定で新設された【地域医療体制確保加算】の状況や、医師の負担軽減等が要件に盛り込まれている【総合入院体制加算】、従前から医師の負担軽減に大きな効果があると評判の高い【医師事務作業補助体制加算】の状況などについて、要件充足状況や算定に当たってのハードルなども含めて実態を把握することになります。

2020年度改定の効果・影響を見る結果検証調査では「新型コロナウイルス感染症の影響」もみていく(その4)(中医協総会(1)4 201111)



なお、後発品について「後発品への変更不可欄を削除すべきか否か」という調査項目を加えるべきか、という議論が行われています。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)からの「調査すべき」との要請がありましたが、一方、診療側の松本委員や有澤委員、島弘志委員(日本病院会副会長)らは「後発品の使用は推進していく。変更不可の状況を見るために『変更不可欄』は維持すべきで、現時点で削除すべきかどうかの調査は不要である」と反対しており、調査内容の変更は行われません。



調査は12月から行われ、回収・分析等を経て年明け3月(2021年3月)までに結果を報告することを厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の山田章平室長が明らかにしています。

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