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医薬品の画期性・革新性、薬価にどう公平に反映させていくべきか—中医協・薬価専門部会

2017.6.29.(木)

 医薬品の画期性を薬価に反映させる手法として、類似薬効比較方式では各種の補正加算が設定され、薬価に5-120%の上乗せが行われる(複数の要件に該当すれば積み重ねられる)。一方、原価計算方式では営業利益の上乗せが行われているが、実質的な上乗せは薬価の20%程度にとどまっている。こうした状況をどのように考えるべきか—。

 28日に開催された中央社会保険医療協議会の薬価専門部会では、こうした点について議論が行われました。製薬メーカー側は両者の差を解消していくべきと訴えますが、中医協委員からは「設定方法がそもそも異なり、違いは当然ではないか」との考えを示しており、今後の意見調整に注目が集まります。

6月28日に開催された、「第135回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

6月28日に開催された、「第135回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

原価計算方式の場合、画期性などの評価は最大でも20%にとどまる

薬価専門部会では、昨年末に固められた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の具体化に向けた議論を重ねています。28日には、医薬品の「イノベーション」をどのように評価していくかを議題としました。

イノベーションを評価する手法としては、(1)研究・開発の原資を確保するための新薬創出・適応外薬解消等促進加算(2)費用対効果評価(3)新薬の薬価設定時における補正加算など—が代表的です。(1)の新薬創出等加算については6月14日の前回会合で議論し(関連記事はこちら)、(2)の費用対効果評価は、別途、費用対効果評価専門部会で議論が行われており(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)、28日の薬価専門部会では(3)の「補正加算など」に焦点を合わせて検討が行われました。

新薬の薬価設定に当たっては、最も類似する既収載医薬品の薬価に合わせる「類似薬効比較方式」が原則とされ、画期性がある場合には、その内容に応じて各種の補正加算が行われます(下表参照)。

類似薬効比較方式において、画期性や有用性などを評価する各種の補正加算が設定されている

類似薬効比較方式において、画期性や有用性などを評価する各種の補正加算が設定されている

 
一方、類似薬がない場合には、原材料費や営業利益、流通経費などを積み重ねる「原価計算方式」が採用され、画期性の高い製品については、営業利益の上乗せ(最大でプラス100%)が行われます。
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前者の補正加算のうち、▼臨床上有用な新規の作用機序を有する▼類似薬に比べ高い有効性・安全性が客観的に示されている▼治療方法の改善が客観的に示されている—という3要件をすべて満たした場合の【画期性加算】は、その程度に応じて70-120%に設定されています。より優れた医薬品には、価値に見合った価格を設定するとの考えに基づくものです。

一方、原価計算方式において「極めて画期性が高い」と判断され、最高の評価を受けた場合には営業利益にプラス100%(つまり2倍)の上乗せが行われますが、営業利益は積み上げる項目の1つに過ぎないため、実質的な加算率は20.82%にとどまります。この点について厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、「原価計算方式におけるイノベーション評価は限定的なものとなっており、これをどう考えるか」という論点を提示。さらに、原価計算方式におけるイノベーションを評価する手法の1つとして「製造経費などが明確とされた場合に、より評価できるような仕組み」を設け、イノベーション評価と同時に原価計算方式の正確性・透明性向上を図ってはどうかとの提案も行いました。

原価計算方式(上段)においては、イノベーションの評価が「営業利益(積み上げ要素の1つ)に上乗せ」という形で行われるため、限定定期(5分の1程度)となり、現在の最大100%上乗せでも、実質加算率は20%強にとどまる

原価計算方式(上段)においては、イノベーションの評価が「営業利益(積み上げ要素の1つ)に上乗せ」という形で行われるため、限定定期(5分の1程度)となり、現在の最大100%上乗せでも、実質加算率は20%強にとどまる

 
まず、前者の「原価計算方式においてイノベーション評価が限定的になっている」という点については、メーカー代表の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬株式会社常務執行役員)から「改善しほしい」との要望が出されましたが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「原価計算方式と類似薬効比較方式は、考え方が異なっており、(実質加算率などを)比較することがおかしい」と述べ、「限定的になっている」という前提そのものに疑問を呈しました。さらに幸野委員は、「原価計算方式における営業利益は、大手の優良製薬メーカーのみのデータをもとに設定されている。ここに補正・上乗せを行う仕組みそのものがおかしいのではないか」とも付言しています(関連記事はこちら)。

また診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「画期性の評価を公的医療保険の財源を使って行うこと」そのものにも疑問を投げかけています。委員間の見解には相当の乖離があり、今後、どのように調整されるのか注目が集まります。

製造原価などの明確性を要件とした、新たな画期性評価手法をどう考えるか

一方、後者は、原価計算方式において、画期性の高い新薬については「製造原価などの明確性担保を要件とした新たな評価を行う」という提案ですが、どのように「明確性の担保」を行うかが大きな課題となりそうです。中川委員は「中医協の場で製造原価などを公開できないのであれば、評価には納得できない」と指摘。また幸野委員は「内訳までは公開でないであろうが、透明性・正確性の確保を厳格に担保する仕組みが必要」である旨を強調しました。

この点、メーカー代表の加茂谷専門委員は、「仮に薬価が1000円の医薬品で、製造原価が200円であると公表されれば、『販売価格は200円でよいではないか』などの要望が出され、流通に支障が出かねない」と述べ、原価の「公表」は慎重な検討が必要と指摘。その上で、「製造原価などは、適切かつ丁寧に薬価算定組織(薬価算定ルールに則って、新薬の薬価を計算する中医協の下部組織、非公開で開催)に報告している」と訴えています。

何をもって「明確性が担保されている」と考えるべきなのか、この点でもメーカーサイドと中医協委員の間には大きな意見の乖離があり、今後の調整が待たれます。

 
なお、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、上述のように医薬品のイノベーション評価には、(1)新薬創出等加算(2)費用対効果評価(3)補正加算—など、さまざまなものがあり「全体を俯瞰して考える必要がある」と指摘しています。二重評価、三重評価を避けるべきとの重要な視点と言えます。

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