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2020年度薬価調査の結論は7月にずれ込む可能性、診療側・支払側で意見の隔たり大きい—中医協・薬価専門部会

2020.6.22.(月)

2021年度の中間年度薬価改定に向けて、2020年度に薬価調査を行う必要があるが、新型コロナウイルス感染症影響が依然として大きな中で、調査を実施すべきか―。

6月17日に開催された中央社会保険医療協議会・薬価専門部会では、このような議論が続きました(関連記事はこちらこちら)。

2020年度薬価調査に関する議論、7月にずれ込む可能性も

薬価制度抜本改革の一環として、「市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するために、従前2年に1度」であった薬価改定について、中間年度においても必要な薬価の見直しを行う」方針が明確化されています。

直近では、2020年度(今回)と2022年度(次回)の通常改定の間となる「2021年度」に薬価改定を行うこととなり、そのベースとなる市場実勢価格の把握を今年度(2020年度)に行うことになります(市場実勢価格を踏まえて、薬価の引き下げを行う)。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として大きい中で、今年度の薬価調査(2020年9月取引分対象)を行うべきかが議論となっているのです。論点として「そもそも、今年度に薬価調査を行うべきか」「薬価調査を行うとして、どのような手法で実施するのか」の2点があがっています。

後者については、「新型コロナウイルス感染症の影響で価格交渉が進まない中で、どの程度の客体を確保すれば、調査結果に信頼性が得られるのか」「新型コロナウイルス感染症対応で多忙な医療機関等や卸業者の負担をどう軽減するか」が重要な視点となります。厚労省医政局経済課の林俊宏課長から、この点に関して次のような考えを提示しています。

▽現場負担に配慮する観点から、2019年度調査の半分の規模(病院210客体程度、診療所260客体程度、保険薬局500客体程度)としてはどうか

▽販売側の負担軽減を図りつつ、一定の調査精度を確保できるよう、販売側調査の抽出率は2/3(67%)に設定してはどうか。ただし、全数調査との誤差が一定程度生じることに鑑み、必要に応じて個別精査するなどの対応を併せて行うこととしてはどうか

2020年度薬価調査の内容案(中医協・薬価専門部会 200617)



薬価調査を9月に実施するにあたっては、「総務省との調整」や「調査実施をする業者の選定」などが必要となることに鑑み、6月中には調査の大枠を決めておかなければなりません。林経済課長は「仮に実施するとなった場合に備えて、事務的な対応を進めておくものである」点を明確にしています。



もっとも薬価専門部会では、前者の「薬価調査を行うべきか」という点が依然として議論の中心となっています。

松本吉郎委員(日本医師会常任理事)をはじめとする診療側委員は、卸業者・製薬メーカーからの「新型コロナウイルス感染症対応で医薬品の価格交渉が全く進んでいない。そうした中での薬価調査はすべきではない。仮に実施したとしても結果の妥当性を検証できない」との意見も踏まえて、「調査実施の是非をまず決めるべき」と改めて主張。

これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)らは「この程度のサンプルを確保すれば、新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも調査結果の妥当性が確保できると考えて厚労省が提案したものと評価できる。薬価調査を実施するべきか否かは、政府が骨太方針2020などに向けて決定するものと考えられる。中医協では、実施に備えて制度設計を進めておくべきである」と反論。さらに「薬価調査を実施し、その結果を見て『信頼性・妥当性に欠けるので、2021年度の薬価調査は見送る』という結論を導くこともできるのではないか」との考えを示しています。



このように診療側・支払側の意見は依然として大きな隔たりがあり、林経済課長は「中医協の最終結論を遅らせて対応できるのか精査する」考えを示しました。「2020年度の薬価調査」に関する結論が、7月にずれ込む可能性があります。

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