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GHCプレミアムセミナー「コロナ禍の集患は後方連携から ~持続可能な連携に向けて~ 」 病院ダッシュボードχ ZERO

救命救急センターでの重症外傷対応人材確保、地域でのACP論議、浸水想定区域の病院でのBCP策定などを進めよ—救急・災害ワーキング

2022.10.7.(金)

救命医療の砦となる高度救命救急センターなどにおいて重症外傷等の「特に高度で専門的な知識や技術を要する患者へ対応可能な人材」の育成・配置を進める必要があり、関連指標を医療計画に盛り込んではどうか―。

患者の望まない救命医療等の実施を避けるために、地域において「ACP」論議(自身が人材の最終段階でどのような医療を受けたいか、受けたくないかを、医療・介護関係者や家族・友人らと繰り返し何度も話し合い、できれば文書にしておく)の推進を促すこととしてはどうか―。

毎年のように各地で豪雨被害などが発生している状況を踏まえ、例えば、浸水想定区域にある病院などで業務継続計画(BCP)の策定を強力に推進することとしてはどうか―。

2024年度からの第8次医療計画に向けて、10月5日に開催された「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」(第8次医療計画等に関する検討会の下部組織、以下「救急・災害ワーキング」)が、遠藤久夫座長(学習院大学教授)預かりという形でこのような意見取りまとめを行いました。今後、厚生労働省と遠藤座長を中心に内容を固め、親会議である「第8次医療計画等に関する検討会」に報告されます。

高次救急から地域医療機関への「下り搬送」推進により、高次救急の空床確保目指す

Gem Medで報じているとおり「2024年度からの新たな医療計画(第8次医療計画)」に向けた議論が進んでいます(都道府県が作成する医療計画のベースとなる厚生労働法の指針論議)。

医療計画の中には、いわゆる5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・6事業(救急、災害、へき地、周産期、小児、新興感染症)について、「どの医療機関が拠点的な役割を果たすべきか」「どういった項目(例えば生存率)を事業評価の指標に据えるべきか」なども記載することになります。

救急・災害ワーキングでは5事業のうち「救急医療提供体制」と「災害医療提供体制」に関し、第8次医療計画でどのような事項の記載を都道府県に求めるべきかを検討してきており、10月5日の会合には、これまでの議論を踏まえた「取りまとめ案」が厚労省から提示されました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

◆救急医療
【救急医療機関の役割】

▽2次救急は、高齢者救急の初期診療と入院治療の主な受け入れ先を担う

▽3次救急は、「重篤患者に対する高度な専門的医療の総合的実施」のほか▼複数診療科の介入を要する▼診断が難しい—など「他医療機関で治療継続が困難な救急患者の受け入れ」を担う

▽いわゆる「下り搬送」(例えば救命救急センターに搬送されたが、そこまで高度医療が必要でない患者について、地域の2次救急病院に搬送しなおすなどし、高次救急病院の目詰まりを解消する)促進に向け、高次医療機関と受け入れ先医療機関との間で「患者を受け入れる際に必要な情報」「受け入れ可能な時間帯」「搬送方法」などを事前に共有する

▽高度救命救急センターなど「地域の基幹となる救急医療機関」は、平時から、重症外傷等の特に高度で専門的な知識や技術を要する患者へ対応可能な人材の育成・配置、院内の体制整備を行い、地域における重篤患者を集中的に受け入れる役割を担う
→厚労省の「外傷外科医等養成研修事業」(日本外科学会に委託)を修了した医師・看護師数を、3次救急のストラクチャー指標に追加する
「心原性心肺機能停止傷病者(一般市民が目撃した)のうち初期心電図波形がVFまたは無脈性VTの1か月後社会復帰率」を救急医療全体のアウトカム指標に追加する

【居宅・介護施設の高齢者救急】
▽医療・介護関係者は、地域包括ケアシステムやACPに関する議論の場等で「患者の希望する医療について必要な時に確認できる方法」を検討する

▽自治体や医療従事者等は、患者や家族に「人生の最終段階においてどのような医療を望むか」を日頃から話し合うことを促す

▽「救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針」などを、地域の関係者による合同会議などで検討する
「心肺蘇生を望まない心肺停止患者への対応方針を定めている消防本部の割合」を、都道府県における病院前救護活動機能のストラクチャー指標に追加する

【ドクターヘリ・ドクターカー】
▽都道府県において、隣接都道府県と協議し「ドクターヘリの効率的な広域連携体制」を構築する

▽ドクターカーの「地域での効果的な活用方法」検討のため、全国の運行形態を調査する

【新興感染症まん延時における救急医療】
▽平時から「人材育成」「救急外来ニーズが急増した際の各医療機関における外来機能拡充方法」「特に配慮を要する患者を感染症まん延時に受け入れる医療機関」などを検討する

▽興感染症発生時にも通常救急対応が可能な体制を構築する

救急医療に関する評価指標例見直しに向けた考え方(救急災害ワーキング1 221005)

救急医療に関する評価指標例見直し案(救急災害ワーキング2 221005)

災害時に多職種チームがより円滑に活用可能となる仕組みの構築を目指す

◆災害医療
【保健医療活動チーム】

▽DMAT等の派遣・活動を円滑化する仕組みの明確化を検討する
「DMAT感染症研修を受講したDMAT隊員の隊員数・割合」を都道府県のストラクチャー指標例に追加する

▽災害時に円滑な多職種連携体制を構築可能にするため、保健医療福祉調整本部の下、様々な保健医療活動チームと共に訓練を実施し、災害時におけるそれぞれの必要な役割を確認する
▼都道府県災害医療コーディネーター任命数▼地域災害医療コーディネーター任命数—を都道府県のストラクチャー指標例に追加する

【災害時に拠点となる病院(災害拠点病院・災害拠点精神科病院)】
▽災害拠点病院・災害拠点精神科病院の指定を進める

▽拠点病院以外の病院において業務継続計画(BCP)を策定した上で、施設の耐震化や自家発電機の整備、燃料備蓄等を含めた必要な防災対策を実施する
「災害時に拠点となる病院以外の病院における自家発電機の整備率」を拠点病院以外のストラクチャー指標例に追加する

【止水対策を含む浸水対策】
▽浸水想定区域などの災害拠点病院は、止水対策、自家発電機等の電気設備の高所移設、排水ポンプの設置等による浸水対策を講じる

▽浸水想定区域などの医療機関は、浸水対策を講じるように努める
「浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において、業務継続計画(BCP)を策定している病院のうち風水害を対象とした業務継続計画(BCP)を策定している病院の割合」を拠点病院以外のストラクチャー指標例に追加する
「浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する病院において、浸水対策を講じている病院の割合」を拠点病院以外のストラクチャー指標例に追加する

【医療コンテナの災害時における活用】
▽災害訓練や実災害時において、医療コンテナを活用し有用性を検証する

▽都道府県や医療機関は、災害時等に検査や治療に医療コンテナを活用していく

災害医療に関する評価指標例見直しに向けた考え方(救急災害ワーキング3 221005)

災害医療に関する評価指標例見直し案(救急災害ワーキング4 221005)



構成員は、こうした厚労省案を「是」としたうえで、今後の救急・災害医療提供体制充実に向けたさまざまな建設的提案を行いました。

例えば、▼救急医療では「患者のたらい回し」が現実にあり、この解消を重要視点とすべき(野木渡構成員:日本精神科病院協会副会長)▼地域や介護施設などで、高齢者自身が「自身が望む医療・望まない医療(心肺蘇生や救命処置などを受けたいか)を明確にする」取り組みを十分に進めるべき(溝端康光構成員:日本臨床救急医学会代表理事)▼「救命救急の回転率向上」度合などを評価指標に据えていくべき(溝端構成員)▼災害医療コーディネーターについては、数にとどまらず「質」も重視していくべき(溝端構成員、坂本哲也構成員:日本救急医学会代表理事)▼救急患者の「下り搬送」促進に向け「病院救急車」整備を進めてはどうか(大友康裕構成員:日本災害医学会代表理事、猪口正孝構成員:全日本病院協会常任理事)▼災害医療拠点病院「以外」の病院のBCP策定促進に向けて、地域独自指定病院などへの財政支援等も検討していくべき(猪口構成員)—などが目立ちました。

いずれも重要な意見・提案ですが、「医療計画の指標例として、都道府県が数値把握が可能であるか」(都道府県が数値として把握できなければ指標に盛り込む意味が現時点では薄い)、「医療計画でなく、別の施策の中で検討すべき事項ではないか」(例えば予算確保が必要となるものなど)、「他の分野との調整が必要にならないか」(例えばACPでは在宅医療に関する議論との調整が必要になってくる)などの考慮要素もあります。

このため、遠藤座長と厚労省を中心に「最終的な取りまとめを行う」ことになりました(座長預かり)。近く、親会議である「第8次医療計画等に関する検討会」に取りまとめ内容を報告。そこでの議論を待つことになります。



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