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電子処方箋の円滑運用に向け、「すべての大学病院への必要経費補助」と「電子署名ルールの緩和」を要望—医学部長病院長会議

2022.11.30.(水)

電子処方箋が来年(2023年)1月からスタートする。その有用性・必要性は十分に理解しているが、大病院では大きなシステム改修が必要となり、十分な経費補助を行ってほしい—。

また電子署名のルールについても「緩和」を行ってほしい—。

全国医学部長病院長会議は11月28日に、加藤勝信厚生労働大臣と永岡圭子文部科学大臣に宛てて、こうした内容の「電⼦処⽅箋導⼊に伴う予算措置及び制度改定等の要望書」を提出しました(関連記事はこちら)。

電子処方箋導入、京大病院では1億円近いコストがかかり、3分の2以上が電子署名対応

来年(2023年)1月から「電子処方箋」の運用が全国の医療機関・薬局でスタートします。オンライン資格確認等システムのインフラを活用し、医療機関から薬局への処方指示(処方箋発行)を「オンライン」で行うものです。大まかな流れは以下のようになります。

(a)患者が医療機関を受診し、「電子処方箋の発行」を希望する(オンライン資格確認等システムでの資格認証や診察時などに確認、マイナンバーカード以外で受診する場合には口頭で確認する)

(b)医療機関において医師が、オンライン資格確認等システムの中に設けられる【電子処方箋管理サービス】に「処方箋内容を登録」する

(c)医療機関は患者に「電子処方箋の控え」(紙、アプリ)を交付する

(d)患者が薬局を受診し、「電子処方箋の控え」を提示する

(e)薬局において、薬剤師が【電子処方箋管理サービス】から「処方箋内容」を取得し、調剤を行う

(d)患者に薬剤を交付する



このうち(b)および(e)において、患者同意の下で「過去に処方・調剤された薬剤情報」の閲覧が可能になるため、重複投薬や多剤投与、禁忌薬剤の投与などを「リアルタイム」でチェックし是正を図ることが可能になります。「薬剤使用の適正性・安全性が確保される」、「医療費が適正化される」などのメリットが期待できます。

電子処方箋の概要(健康・医療・介護情報利活用検討会1 221019)

電子処方箋の導入スケジュール(健康・医療・介護情報利活用検討会2 221019)



病院サイドは、こうしたメリットを十分に理解し電子処方箋に期待を寄せていますが、「病院側、医療機関側の準備が進んでいない」と強い不安・不満を口にしています(関連記事はこちら)。

そうした中で、15の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)の構成メンバーでもある全国医学部長病院長会議(全国の大学医学部長、大学附属病院長で構成される)では、「2025年3⽉までに電⼦処⽅箋システムの調達・導⼊を⾏うためには、⼤学病院ではおよそ8か月程度かかることを踏まえると、遅くとも2023年度に⼊札⼿続きに⼊る必要があり」とし、電子処方箋導入に向けて次のような要望を厚労相・文科相に宛てて行いました。

(1)全ての⼤学病院に対して「電⼦処⽅箋システム導⼊について実情を反映した必要な経費」を2023年度当初までに措置してほしい

(2)関係法令を見直し「組織(病院など)が本⼈確認を確実に実施していることを条件に組織の発⾏する電⼦証明書を⽤いること」も、電子処方箋における「署名等に代わるもの」に認めてほしい



医療機関の機能・規模・構造はさまざまですが、医学部長病院長会議では「現在の電子処方箋の仕組みは、少人数の医師が固定的に勤務する診療所等を基本に設計されており、⼤規模病院に適⽤すると、運⽤⾯でもコスト⾯でも⾮常に負担が⼤きくなる」と指摘します。

例えば、大学病院には極めて多くの医師・歯科医師が勤務し、それぞれの医師が「処方箋」を発行します。これを電子処方箋の仕組みに組み込む場合には「大がかりな院内システムの改修」が必要となり、当然、そこには大きなコストが発生します。

京都⼤学医学部附属病院における電子処方箋の仕組み導入に向けた費用試算では、合計で9540万円が見込まれています。

京大病院における電子処方箋導入に向けたシステム改修費等試算結果



一方、医療機関に対する補助は、例えば「200床以上病院では事業額の486万6000円を上限にその3分の1(つまり162万2000円)を補助する」とされており、あまりに大きな溝があります。

電子処方箋を導入する医療機関等への補助(社会保険診療報酬支払基金の医療機関向けポータルサイト より)



医学部長病院長会議では「十分な補助を行う」よう、(1)で強く求めています。



また、上述の京大病院の試算を眺めると、「費⽤の3分の2以上が医師資格を認証する電⼦署名への対応に費やされている」ことが分かります。医師個⼈の電⼦署名を求める⽅法を⽤いる限り、⼤規模病院において電⼦処⽅箋の導⼊に⼤きな費⽤がかかってしまうようです。

この点、医学部長病院長会議は「⼤規模病院のほぼ全てに電⼦カルテ(病院情報システム)が導⼊されている。電⼦カルテでは、職種(医師・看護師・薬剤師)ごとに記載・記録可能な診療情報の種類とシステムの操作権限を定め、厚労省ガイドランに従ってアクセス管理を実施している。電⼦カルテ導⼊施設では、処⽅箋を発⾏できるのが医師のみであることを保証し、かつ処⽅箋を発⾏したのがどの医師であるのかを確実に記録できる」とし、(2)のように「署名ルールの緩和」を強く要望しています。

こうした病院サイドの声を受け、厚労省がどのように動くのか注目が集まります。



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