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GemMed塾 病床ユニット

オンライン資格確認の普及、医薬品の安定供給を目指し、各種加算を2023年4-12月の時限的に拡充へ—中医協総会(1)

2022.12.22.(木)

オンライン資格確認の導入・普及を促進するために、この10月(2022月10月)に新設されたばかりの【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について、▼点数の引き上げ▼再診時にも算定できる区分の新設▼オンライン請求要件の一部緩和—を時限的に行ってはどうか―。

また、療養担当規則等の中で「来年4月(2023年4月)からオンライン資格確認等システムの導入を、原則として保険医療機関等で義務化する」こととされたが、オンライン資格確認等システムの導入に遅れもあることから、地域医療提供体制に穴が開かないように「経過措置」を設けてはどうか—。

医薬品の供給不安が長引く中で、医療現場の「医薬品確保、処方変更などの手間・負担」が増大している点を踏まえ、▼一般名処方加算▼後発医薬品の使用体制に関する加算▼調剤薬局の地域支援体制加算—について、時限的な増点を行ってはどうか―。

12月21日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった議論が行われました。支払側委員は「唐突である。患者に負担増を強いるべき筋合いのものではない」と難色を示していますが、同日の加藤勝信厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣による来年度(2023年度)予算案編成に関する折衝の中で「決定された」事項であること、医療現場への周知に力を入れるべきことなどから、厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長は「年内(2022年12月31日まで)の答申」を中医協に要請しています。

なお、同日には「2023年度の薬価中間年改定の骨子」がこれまでの議論内容通りに了承されており、こちらは別稿で報じます。

オンライン資格確認等システム、やむを得ない事情があれば「4月導入義務」を延期可に

Gem Medでも繰り返し報じているとおり、オンライン資格確認等システムのインフラを活用して「患者の過去の診療情報」を全国の医療機関等で閲覧・共有可能とし、これを診療内容に活かす取り組みが進められています。診療報酬面では、次のような手当てが行われます(関連記事はこちらこちらこちら)。

(1)来年(2023年)4月から、保険医療機関等では「オンライン資格確認等システムの導入」を原則義務化する

(2)本年(2022年)10月から、オンライン資格確認等システムのインフラを活用して「患者の過去の診療情報」を閲覧し、診療に活かす取り組みを【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】として評価する(【電子的保健医療情報活用加算】は9月いっぱいで廃止)

【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】などの概要



ところで、上記(1)(2)の方針を固めた際に中医協総会では「2020年末頃の導入状況を点検し、地域医療に支障を生じるなど、やむを得ない場合の必要な対応について、期限も含め検討する」旨の意見も付されました。上記(1)を厳格に適用すれば「オンライン資格確認等システムの導入が間に合わない医療機関等は保険診療が行えない」ことになるため、「実情を踏まえた救済措置」を検討する余地を設けたものです。

この点、(1)の義務化方針の下で、オンライン資格確認等システムの導入に向けた補助金の充実も図られ、入り口となる「顔認証付きカードリーダーシステムの申し込み」は医療機関・薬局全体の96.1%に上昇しました。しかし、「準備完了」施設は全体の48.3%、「運用開始」施設は同じく41.0にとどまっています(2022年12月11日時点)。

本年(2022年)12月11日時点におけるオンライン資格確認等システムの導入実績(中医協総会(1)1 221221)



また、現在の取り組みを進めたとして、来年(2023年)3月末時点で「最大でも74%の医療機関等の導入にとどまる」との試算結果も出ています。

来年(2023年)3月末におけるオンライン資格確認等システムの導入見通し(中医協総会(1)2 221221)



端的に「来年(2023年)3月末のオンライン資格確認等システムの運用完了」は困難な状況と言えます。また、その背景には「ベンダーが多忙でシステム改修が間に合わない」「オンライン資格確認等システムで求められる光回線が整備されていない」ことなど「やむを得ない事情がある」ことが三師会の調査で明らかになっています。

このため厚労省保険局医療介護連携政策課の水谷忠由課長は、次のような経過措置を設けることを提案しました。「来年(2023年)4月の導入」が困難な理由別に経過措置の期限等を設けるという、きめ細やかな対応と言えます。

(a)2023年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了(5万6000施設程度と見込まれる)
→システム整備が完了する日まで(遅くとも2023年9月まで)
→医療情報化支援基金による補助の拡充措置も2023年9月末の事業完了まで継続

(b)オンライン資格確認等システムに接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない(離島、山間地のほか、建物が古いなど、施設数は不明)
→光回線のネットワークが整備されてから「6か月」まで
→医療情報化支援基金による補助の拡充措置も、同様に考える

(c)訪問診療のみを提供する(数百施設程度と見込まれる)
→居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの運用開始(2024年4月)まで(関連記事はこちら
→財政支援は、2024年3月末補助交付まで実施

(d)改築工事中、臨時施設(施設数は不明)
→改築工事が完了、臨時施設が終了するまで
→来年(2023年)2月末までに契約し一定期日までに事業完了する場合には、医療情報化支援基金による補助の拡充措置の対象とする

(e)廃止・休止に関する計画を定めている(施設数は不明)
→廃止・休止まで(遅くとも2024年秋まで)
→来年(2023年)2月末までに契約し、2204年秋までに事業完了する場合には、医療情報化支援 基金による補助の拡充措置の対象とする

(f)その他特に困難な事情がある(例外措置(紙レセ対応)または上記(a)から(e)と同視できるかを個別に判断する、施設数は不明)
→特に困難な事情が解消されるまで
→来年(2023年)2月末までに契約し一定期日までに事業完了する場合には、医療情報化支援基金による補助の拡充措置の対象とする

経過措置案(中医協総会(1)3 221221)



経過措置の適用を希望する医療機関等は、地方厚生局に対し「理由と、状況が解消する予定期限」(例えば「ベンダーが多忙でシステム改修が2023年3月までに完了しない。しかし同年6月にはシステム改修が完了する見込みであり、同時期まで経過措置を希望する」など)をオンライン申告。厚生局が「やむを得ない」と判断した場合に経過措置が適用される(2023年4月以降にも、オンライン資格確認等システムを導入せずに保険診療を行える)ことになります。

医療機関・薬局自身の努力だけでは如何ともしがたいケースであり、中医協総会で診療側・支払側双方が「概ね妥当である」との見解を示しています。ただし(f)については「オンライン資格確認等システム導入の原則義務化の『抜け道』とならないように、できるだけ具体的な例示を行い、厳格に判断すべき」との支払側見解と、「個別医療機関等の状況を柔軟に斟酌し、救済すべき」との診療側見解とに若干の差異があります。

また支払側委員は「原則義務化を覆すものである。経過措置が繰り返されることがあってはならない」旨を強調しており、医療機関等・都道府県・国・ベンダーなどの関係者が一丸となってオンライン資格確認等システムの導入に尽力することが期待されます。

ただし、診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)や池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は「マイナンバーカードで医療機関を受診する患者はごくごく限られている。国民へのマイナンバーカード所持・保険証活用を様々な機会をとらえて推進すべき」と要望しています(マイナンバーカードの保険料利用が可能な国民は、本年(2022年)12月11日時点で51.5%)。

オンライン資格確認等システムの導入促進に向け、「加算」の拡充を図ってはどうか

12月21日には加藤勝信厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣による来年度(2023年度)予算案編成に関する折衝が行われ、オンライン資格確認等システムの導入・普及を推進するために「2023年12月までの期間限定で▼初診時・調剤時における追加の加算▼再診時における加算—を設定などする」ことが決まりました。上記(1)(2)の方針を固めた際に中医協総会では、「【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】に関し、その評価の在り方について、算定状況や導入状況も踏まえつつ、患者・国民の声をよく聴き、取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況について調査・検証を行うとともに、課題が把握された場合には速やかに対応を検討する」旨の意見も付されている点も踏まえた決定と言えます。

この決定を受けて眞鍋医療課長は、同日(12月21日)の中医協総会に、例えば【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について、次のような見直しを時限的(2023年12月末まで)に行ってはどうか、という旨の提案を行いました。

▽点数(通常、初診時に4点、オンライン資格確認等システムを用いて診療情報を把握した場合には2点)の引き上げ

▽再診時にも算定できる区分の新設(現在は初診時、調剤時のみ)

▽オンライン請求要件の一部緩和(現在、「オンライン請求を行っている」ことが大前提脳要件)



点数や要件などの詳細は今後検討されますが、診療側委員はこの提案を歓迎。「過去の診療情報をオンライン資格確認等システムを用いないで行う場合(上記の4点を算定するケース)には、想定よりも大きな手間がかかっている」、「患者が他院を受診し、別の医薬品を処方されるケースが少なくない。再診時にも過去の診療情報把握が重要である」、「紙レセ医療機関へのオンライン請求移行へのインセンティブ付与が重要である」ことなどを各委員が訴えています。

これに対し、支払側委員は▼中医協附帯意見では「国民・患者の声」を聴く、情報利活用の状況を踏まえることになっているが、そうした調査は行われていない▼オンライン資格確認等システムの運用が41%の医療機関でしか始まっておらず、患者はそのメリットを感じていない。にもかかわらず患者に新たな負担を求める(加算の引き上げ=患者負担増)ことは許されない—と強く反対。さらに、仮に上記見直しを行う場合でも、「患者の診療情報収集を適切に行う医療機関等に限定すべき」「2023年12月より先に延長されないようにすべき」などの対応を図るよう求めています。

あわせて支払側委員は、「大臣合意は重い」として上記決定に一定の理解を示す一方で、「合意の前に中医協に諮り、そこでの議論を踏まえたうえで大臣折衝に臨むべき」旨も要望しています。昨今、「中医協の外で診療報酬改定内容が固められ、中医協が後に追認する」形が増えていることを懸念した指摘と言えるでしょう。

今後、委員の意見・要望も勘案して、具体的な加算見直し案が中医協に示されることになります。

医薬品供給不安の中で尽力する医療現場に報いるため、加算の拡充を図ってはどうか

一方、医薬品の供給不安が長引く中で、医療現場には「医薬品の確保、処方変更の手間」などの負担が非常に大きくなっているとの声を受け、厚労相・財務相間で「▼一般名処方・後発品の使用体制▼薬局における地域支援体制—の加算について、2023年12月までの期間限定で「上乗せ」を行う」ことが決定しています(関連記事はこちら)。

例えば、▼一般名処方加算▼後発品の使用体制を評価する加算(外来後発医薬品使用体制加算、後発医薬品使用体制加算、後発医薬品調剤体制加算)▼調剤における地域支援体制加算—を時限的に充実(増点)し、こうした医療現場の負担に報いることとしてはどうか、との旨を眞鍋医療課長は提案しています。

一般名処方加算、後発品の使用体制加算(中医協総会(1)4 221221)

地域支援体制加算(中医協総会(1)5 221221)



この提案についても「医療現場の実情を踏まえたもの」として診療側委員は歓迎したのに対し、支払側委員は「医薬品の供給不安の影響を最も受けているのは患者である。その患者に負担増を求めることは筋が違う」「加算で医薬品供給不安が解消するわけではない」として反対を表明。また、仮に加算の充実をする場合でも「医薬品確保などに尽力している医療機関等に限定して適用すべき」旨の厳格適用を求めています。

例えば「ベースとなる加算(上記の一般名処方加算など)の点数は維持し、その上に要件・基準を厳格化した上乗せ加算を設ける」ことなどを支払側委員は提案していると考えられます。一方、すべての医療機関・薬局で負担が増していると主張する診療側は「一律の加算点数引き上げ」を求めていると考えられます。

今後、双方の意見を斟酌し、具体的な見直し内容が中医協に提示される見込みです。



これら3点の見直しについて、眞鍋医療課長は、すでに厚労相・財務相で詳細が合意済(決定済)であること、早期に内容を決定し医療現場に普及・浸透させる必要があることから、「年内(2022年12月31日まで)の答申」を中医協に要請しています(通常の診療報酬改定では2月上旬に答申し、4月に施行)。

また、「オンライン資格確認等システムの導入・普及に係る加算の拡充」と「医薬品の安定供給を目指す加算の拡充」とにより、医療費ベースで250億円、国費ベースで63億円の増加が見込まれています(この増額について財務相が了承している)。



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