Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

本年(2022年)10月からの【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の詳細提示、初診時の「標準的な問診票」も示す—厚労省

2022.9.6.(火)

厚生労働省が9月5日、2022年度診療報酬のうち「10月改定分」(オンライン資格確認等システムなどの医療DX推進関連看護職員処遇改善)に関する関係告示の公布・通知の発出を行いました。

8月10日の答申時点では明らかにされていなかった詳細な基準や要件の内容が示されています。Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしていきます。

●厚労省の2022年度改定に関するサイトはこちら

本稿では、オンライン資格確認等システムなどの医療DX推進関連について見ていき、看護職員処遇改善関連は別稿で報じることとします。

保険医療機関・薬局では「オンライン資格確認等システム」導入が原則義務化

オンライン資格確認等システムは「患者の資格確認(どの医療保険に加入しているのかの確認)を円滑・確実に行う」仕組みですが、そのインフラを活用して「患者の診療情報(現時点では特定健康診査情報、薬剤情報)を医療機関等が確認し、診療内容に活かす」ことが可能となっています。さらに「共有可能なレセプト情報の拡大」(本年(2022年)9月11日から、来年(2023年)5月から手術情報にも拡大)、さらに将来的に電子カルテ情報にまで情報共有を拡大していくなど「医療DX」(デジタルトランスフォーメーション)の重要基盤となります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

全国の医療機関での電子カルテ情報共有するにあたり「オンライン資格確認等システムのインフラ」を活用する方針を決定(医療情報ネットワーク基盤WG1 220516)



こうした仕組みのメリットを最大限に活かすためには「すべての医療機関がオンライン資格確認等システムを導入・運用し、すべての患者がマイナンバーカードの保険証利用を行う」ことが求められ、8月10日の中央社会保険医療協議会・総会において、次のような診療報酬上の対応を行うことが決まりました(関連記事はこちら)。

(1)来年(2023年)4月から、保険医療機関・薬局において「オンライン資格確認等システムの導入」を原則義務化する

(2)現在の【電子的保健医療情報活用加算】を廃止し、新たに【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】を設ける(本年(2022年)10月から)

【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】などの概要



まず、(1)では▼保険医療機関及び保険医療養担当規則▼保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則▼高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準—に次のような規定を盛り込みます(来年(2023年)4月1日施行)。

▽保険医療機関・薬局は、患者資格確認の際、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならない

▽現在「紙レセ」請求が認められている保険医療機関・薬局は義務付けの例外とする

▽例外を除く保険療機関・薬局は、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう必要な体制を整備しなければならない



この見直しにより、来年(2023年)4月以降、紙レセ医療機関等でオンライン資格確認等システムが導入・稼働していない場合(紙レセが認められている対象外医療機関を除く)には、最悪のケースで「保険指定取り消し」となる可能性があります(まず指導等が行われ、最終手段として「保険指定取り消し」が準備されている)。早急に、システム改修経費の補助も活用してオンライン資格確認等システムの導入を行うことが必要です(関連記事はこちら)。

10月からの新たな【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】、詳細要件を整理

また(2)では、▼本年(2022年)9月いっぱいで【電子的保健医療情報活用加算】を廃止する▼10月から【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】を新設する—という2つの見直しが行われます。

後者の【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】は、「初診時に医療機関等において、適切な診療を行うために患者情報を収集する」点を診療報酬で評価するものと説明されています。点数、施設基準(算定の前提となる医療機関等の体制)、算定要件(何を行えば点数算定が認められるのか)などを眺めてみましょう。

この加算は、次の2つに分けられます。
(a)マイナンバーカードによる受診を行わない場合の【医療情報・システム基盤整備体制充実加算1】(以下、加算1):医療機関では月1回「4点」を、薬局では6か月に1回「3点」を算定

(b)マイナンバーカードによる受診を行った場合の【医療情報・システム基盤整備体制充実加算2】(以下、加算2):医療機関では月1回「2点」を、薬局では6か月に1回「1点」を算定



上述のように、点数は「加算1(医療機関4点、薬局3点)」>「加算2(医療機関2点、薬局1店)」と設定され、「従前の【電子的保健医療情報活用加算】では、マイナンバーカードを利用して医療機関受診した場合に点数・患者負担が大きくなり、マイナンバーカードの保険証利用を阻害している」との指摘に配慮したものとなっています。なお「オンライン資格確認等システムを導入していない医療機関を受診した場合に自己負担が最も小さくなる」という矛盾もありますが、上述(1)のように「原則としてオンライン資格確認等システムが義務化される」ことから、来年(2023)4月以降、この矛盾は極めて小さくなります。



【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】を取得するためには、次のような施設基準(診療報酬算定の前提となる体制)を満たすことが必要です。ただし、基準を満たしていればよく、「地方厚生(支)局への届け出」は不要です。

▽電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること

▽健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認(オンライン資格確認)を行う体制を有していること
→オンライン資格確認の導入に際しては、医療機関等向けポータルサイトで運用開始日の登録を行うこと

▽次の事項について、医療機関の見やすい場所およびホームページ等に掲示(医療機関ホームページへの掲載、自治体、地域医師会等のホームページ・広報誌への掲載、医療機能情報提供制度等への掲載など)していること
▼オンライン資格確認を行う体制を有している
▼当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報、その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行う



また、算定要件を見ると次のように整理されました。

▽初診であること(マイナンバーカードを利用した医療機関受診患者は加算1、マイナンバーカードを利用して医療機関受診患者では加算2を算定)
→以下の点数を算定する患者で、後述する要件を満たす場合に算定可
(医科)【初診料】または、初診料が包括されるB001-2【小児科外来診療料】、B001-2-7【外来リハビリテーション診療料】、B001-2-8【外来放射線照射診療料】、B001-2-11【小児かかりつけ診療料】、B001-2-12【外来腫瘍化学療法診療料】を算定する患者で上乗せ算定可
(歯科)【初診料】または、初診料が包括されるB004-1-6【外来リハビリテーション診療料】、B004-1-7【外来放射線照射診療料】、B004-1-8【外来腫瘍化学療法診療料】を算定する患者で上乗せ算定可
(調剤)【調剤管理料】を算定する患者で上乗せ算定可

▽医療情報・システム基盤整備体制充実加算を算定する医療機関において、以下の事項について院内およびホームページ等に掲示し、必要に応じて患者に対し説明する
▼オンライン資格確認を行う体制を有していること
▼受診患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと

▽「標準的な問診票」(後述)を参考にした問診票で、初診時の問診を行うこと

新加算取得する場合「標準的様式」参考にした問診票で、初診時に患者状態確認を

なお、上述のとおり、本加算は「初診時に、患者の薬剤情報や特定健診情報等の診療情報を活用して質の高い診療を実施する」ことを評価するものです。この趣旨に照らし、厚生労働省は「初診時の標準的な問診票」を作成。本加算を取得・算定する医療機関で、この「標準的な問診票」を参考とした問診票(必要に応じて事項追加して良い)を用いて、初診時の問診を行うことが求められます。また薬局では、【服薬管理指導料】で求められる次の事項を参考に、患者から調剤に必要な情報を取得し薬剤服用歴等に記載することが求められます。

【服薬管理指導料】算定において求められる患者情報の確認事項
▼患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像および後発医薬品の使用に関する患者の意向
▼疾患に関する情報(既往歴、合併症および他科受診において加療中の疾患に関するものを含む)
▼併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品および健康食品を含む)等の状況および服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
▼服薬状況(残薬の状況を含む)
▼患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)および患者またはその家族等からの相談事項の要点

医科における初診時の標準的問診様式(1):この様式を参考にした問診票を各医療機関で使用することが【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の算定要件となる

医科における初診時の標準的問診様式(2):この様式を参考にした問診票を各医療機関で使用することが【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の算定要件となる



なお、厚労省は9月5日に事務連絡「医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」を示し、次のような点も明らかにしています(厚労省サイトはこちら)。

▽【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】は、オンライン資格確認を導入し、運用開始日の登録を行った上で「実際に運用を開始した日から算定可能」となる

▽オンライン資格確認等システムを通じて情報の取得を試みた結果「患者の診療情報が存在していなかった」場合でも、【医療情報・システム基盤整備体制充実加算2】を算定する

▽▼患者が診療情報取得に同意しなかった場合▼患者のマイナンバーカードが破損等により利用できない場合▼患者のマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書が失効している場合—には、【医療情報・システム基盤整備体制充実加算1】を算定する

▽医療情報・システム基盤整備体制充実加算の施設基準を満たす医療機関の医師が、オンライン初診を行う場合や、往診で初診を行う場合は、【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】は算定できない(関連記事はこちら



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

オンライン資格確認等システム、来年(2023年)4月からの原則義務化に向け「一刻も早い対応」が必須—厚労省・三師会
本日(2022年8月24日)18時半から、オンライン資格確認等システムのWEB説明会—厚労省
訪問診療や訪問看護等、初回訪問時に「過去の診療情報共有」等の包括同意を取得する仕組みに—社保審・医療保険部会(2)
オンライン資格確認等システム導入の経費補助を充実、医療機関等は「早期の申し込み、システム改修」に努めよ—厚労省
【看護職員処遇改善評価料】を答申、病院ごとの看護職員数・入院患者数に応じた点数を設定—中医協総会(2)
オンライン資格確認等システムを2023年度から保険医療機関等に義務化、導入促進に向け「初診料の新加算」創設—中医協総会(1)
オンライン資格確認等システム、2023年4月から紙レセ医療機関等以外は「原則、導入義務」へ—中医協総会(2)
【看護職員処遇改善評価料】を新設し、コロナ対応病院に勤務する看護職員等の賃金引き上げを推進—中医協総会(1)
診療報酬による看護職員処遇改善、「看護職員等の処遇が確実に継続的に改善される」ためのルール等設定へ—中医協
2024年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向け、早くも入院・外来の調査分析項目の大枠を決定—入院外来医療分科会(2)
看護職員の処遇改善、「病院の必要額>報酬額」となるケースに、どこまで・どのように対応すべきか―入院外来医療分科会(1)
看護職員の処遇改善、外来で対応せず「入院の診療報酬上乗せ」のみのほうが患者に分かりやすいのではないか—中医協(1)
「初再診料への上乗せ」と「入院料への上乗せ」組み合わせ、看護職員処遇改善に対応してはどうか―入院外来医療分科会
「看護職員の処遇改善」に向けた診療報酬、負担増となる患者への合理的かつ納得ゆく説明も極めて重要—中医協(1)
「看護職員の処遇改善」への診療報酬対応、無理筋であると病院団体から不満噴出―日病協・小山議長、山本副議長
病院ごとに「看護配置と患者数」などの関係を見て、看護職員処遇改善の診療報酬対応検討―入院外来医療分科会
看護職員等の処遇改善、病院の必要額と診療報酬との間に生じる過不足をどう考えていくかが最大論点—中医協総会
「看護職員の処遇改善」に向けた診療報酬対応、「消費税対応の二の舞」となることを懸念―日病協
感染対策、ICU等の早期離床・リハ加算、MFICUの成育連携支援加算、湿布薬上限など明確化―疑義解釈6【2022年度診療報酬改定】
感染対策向上加算等の研修や訓練・カンファレンス実績、届け出時点では不要―疑義解釈4【2022年度診療報酬改定】
10月からの看護職員処遇改善、「看護師数×1万2000円」財源を診療報酬でどう配分すべきか―入院外来医療分科会
外来腫瘍化学療法診療料とがん患者指導料「ハ」、同一患者に併算定できない―疑義解釈3【2022年度診療報酬改定】
一般病棟・ICUの看護必要度、2022年度診療報酬改定踏まえて詳細を明示―疑義解釈1【2022年度診療報酬改定】(3)
地域ごとに「面で感染症に対応できる体制」構築のための【感染対策向上加算】―疑義解釈1【2022年度診療報酬改定】(2)
急性期充実体制加算の緊急手術・看護必要度II・敷地内薬局NG等の考え方整理―疑義解釈1【2022年度診療報酬改定】(1)
2022年度GHC診療報酬改定セミナー!急性期医療の定義に切り込んだ「医療提供体制改革」を進める改定内容!
井内医療課長・鈴木前医務技監がGHC改定セミナーに登壇!2022年度改定で何を目指すのか!
看護職員処遇改善のための診療報酬設定論議スタート、まず技術的課題等を分科会で整理―中医協総会
2022年度のDPC機能評価係数IIトップ、大学病院群で和歌山医大病院、特定群で帯広厚生病院、標準群で飯山赤十字病院
生殖補助医療、従前の支援事業で6回終了したとしても、要件満たせば保険診療で改めて6回チャレンジ可
「クリニック・中小病院」と「紹介受診重点医療機関」との双方向情報連携を【連携強化診療情報提供料】で評価
新設された【看護補助体制充実加算】、病棟の看護師長、病棟看護師、看護補助者のそれぞれで所定研修受講など要件化
療養病棟で「中心静脈栄養離脱に向けた摂食・嚥下機能回復」実施促すための飴と鞭
一部疾患でDPC病棟への入棟経路ごとの分類を設定、DPC全般でさらに「在院日数短縮」が重要テーマに―厚労省
複数の減算ルールに該当する地域包括ケア病棟、「減算を複数適用した低い点数」算定に―厚労省
スーパーICU評価する【重症患者対応体制強化加算】を新設、ECMOの処置料・管理料を設定―厚労省
急性期充実体制加算の施設基準、全身麻酔手術2000件以上、救急受け入れ2000件以上、時間外加算1取得など―厚労省
【2022年度診療報酬改定答申17】救急医療管理加算の点数引き上げと対象状態拡大、あわせて「不適切事例」への対処も
【2022年度診療報酬改定答申16】安全性・有効性を確認した不妊治療技術を保険適用、生殖補助医療では年齢・回数制限
【2022年度診療報酬改定答申15】小入管の加算新設など、小児、新生児等への医療提供充実を診療報酬でサポート
【2022年度診療報酬改定答申14】オンライン初診料は251点に、オンラインの医学管理・在総管の点数を整理
【2022年度診療報酬改定答申13】後発品使用促進、人工腎臓の適正化、リフィル処方箋など組み合わせ医療費の膨張抑止
【2022年度診療報酬改定答申12】外来化学療法の評価、がん患者の遺伝子パネル検査・結果説明などの評価を大幅充実
【2022年度診療報酬改定答申11】訪問看護でも『量の拡大』と「質の向上」目指す、専門性の高い看護師への期待高まる
【2022年度診療報酬改定答申10】在宅医療の「裾野」を拡大して量を充実、「頂」を高くして質の向上を目指す
【2022年度診療報酬改定答申9】療養病棟、障害者施設・緩和ケア病棟、有床診のそれぞれに「適切な機能発揮」促す
【2022年度診療報酬改定答申8】地域全体の感染防止対策強化を目指し、感染防止対策加算を改組し、外来で新加算創設
【2022年度診療報酬改定答申7】かかりつけ医機能の明確化に向け、機能強化加算の施設基準・算定要件を厳格化
【2022年度診療報酬改定答申6】紹介受診重点病院を加算で評価、外来→在宅の円滑移行を新たな診療報酬でサポート
【2022年度診療報酬改定答申5】地域医療体制確保加算、医師事務作業補助体制加算、夜間看護配置に関する加算を軒並みアップ
【2022年度診療報酬改定答申4】質の高いリハ提供できない回復期リハに退場宣告、特定機能病院での良質なリハに注目
【2022年度診療報酬改定答申3】大規模病院の地域包括ケア病棟にも在宅患者受入れ促すため、飴(加算)と鞭(減算)
【2022年度診療報酬改定答申2】手厚い医療体制敷くICUに新加算、3日以内750点、4-7日500点、8―14日300点ON
【2022年度診療報酬改定答申1】充実した急性期一般1を評価する新加算、7日以内460点、8-11日250点、12―14日180点に設定

看護職員や介護職員の処遇改善に向けた「報酬改定」、2022年度診療報酬はネット0.94%のマイナスに―後藤厚労相

看護職員の処遇改善措置(補助金・診療報酬)、「病院薬剤師」も対象職種に加えよ—日病・相澤会長