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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

本年(2023年)4月1日のオンライン資格確認導入の猶予措置、医療DXに係る加算拡充等の詳細示す—厚労省

2023.2.3.(金)

厚生労働省が1月27日および31日に、▼保険医療機関・薬局に課せられるオンライン資格確認等システムの導入原則義務化の「経過措置」▼【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の拡充▼医薬品供給不安の中での医療機関・薬局の負担に鑑みた各種加算の増点—について、関係告示の公布・通知の発出を行いました。

【療養担当規則等の経過措置関連】
療養担当規則等の見直し
療養担当基準等の見直し
解釈通知

【加算の拡充関連】
点数表の見直し
基本診療料の施設基準の見直し
特掲診療料の施設基準の見直し
DPCにおいて、今般の【後発医薬品使用体制加算】の時限的臨時特例は「出来高算定」可能な旨の告示
解釈通知
臨時特例措置の趣旨などに関する事務連絡
本年(2023年)12月までにオンライン請求を開始する旨の届け出」についての事務連絡
疑義解釈

オンライン資格確認等システムの義務化、やむを得ない事情を踏まえて「経過措置」実施

Gem Medで報じているとおり、昨年(2022年)12月23日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、次のような「臨時の診療報酬改定」に関する答申が行われました。

(1)本年(2023年)4月1日により保険医療機関・薬局に課せられるオンライン資格確認等システムの原則導入義務化について、やむを得ない事情で対応できない場合の「経過措置」を設ける

(2)オンライン資格確認の導入・普及を促進するための【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について、マイナンバーカードによる医療機関等受診をしない患者を対象に▼点数の引き上げ▼再診時にも算定できる区分の新設▼オンライン請求要件の一部緩和—を時限的に行う(2023年4月-12月)

(3)医薬品の供給不安が長引く中、医療現場の「医薬品確保、処方変更などの手間・負担」増大に鑑み、▼一般名処方加算▼後発医薬品使用体制加算▼外来後発医薬品使用体制加算▼調剤薬局の地域支援体制加算—について、時限的な増点を行う(2023年4月-12月)



厚生労働省は、この3つの「臨時の診療報酬改定」について関係法令の整備を1月27日・31日に行いました。4月1日の施行に向け、各医療機関・薬局で準備を進めるとともに、患者・住民に対し十分な広報を行うことが求められます。

まず(1)の療養担当規則等の経過措置を見てみましょう。

昨夏(2022年夏)の中医協総会で「保険医療機関等においてはオンライン資格確認等システムの導入を義務化する」との療養担当規則等見直しが行われました(関連記事はこちらこちらこちら)。

しかし、年末(2022年12月)の状況からは「オンライン資格確認等システムの導入が遅れており、やむを得ない事情によるものも少なくない」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

そこで、昨年末の中医協総会で下図表のような経過措置を設けることを決定。今般、法令上の整備が行われたものです。

経過措置1



解釈通知では、経過措置を活用する場合の手続きなどが詳説されており、例えばシステム整備遅れの場合には、▼あらかじめ社会保険診療報酬支払基金を経由して、地方厚生(支)局に猶予届出書を本年(2023年)3月末までにポータルサイトで届け出る(やむを得ない場合には郵送も可)▼猶予届出書には「システム事業者との契約日(遅くとも本年(2023年)2月末まで)・システム整備完了見込み(予定月。遅くとも本年(2023年)9月末まで)」を記入する▼「契約書・注文書の写しなどシステム事業者と契約したことが確認できる書類を添付する—ことが示されています。

また6つ目(上図表)の「その他特に困難な事情」については、(ア)自然災害等により継続的に導入が困難となる場合(イ)高齢の医師等でレセプト取扱件数が少ない場合(目安として、本年(2023年)4月時点で常勤の医師等が高齢で、月平均レセプト件数が50件以下)(ウ)他の類型と同視できる特に困難な事情がある場合—とされ、(イ)のケースでは「最も若い常勤医師の年齢と困難事情」を、(ウ)のケースでは「具体的な事情」を届け出ることが求められます。状況を踏まえて個別に「経過措置を認めるか否か」の判断が行われます。

オンライン資格確認等導入に関する経過措置(猶予)の届け出書(抜粋)

オンライン請求を2023年12月までに開始しない場合、加算の全額返還が求められる

次に(2)の【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】については、次のような見直しが期間限定(2023年4月-12月)で行われます。マイナンバーカードを保険証として利用しない患者について「負担増」が生じますが、マイナンバーを保険証として利用する患者では負担増はありません

(1)初診時・調剤時の加算の特例
一定の施設基準を満たす保険医療機関・保険薬局では、初診・調剤時の加算点数を引き上げる
▽(医科・歯科の初診時)医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし):現行「4点」 → 来年(2023年)4―12月「6点」
▽(調剤)医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし):現行:「3点(6か月に1回)」 → 来年(2023年)4―12月「4点」

(2)再診時の加算の特例
一定の施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対し、再診を行った場合における評価を新設する(患者の薬剤情報、その他、必要に応じて健診情報等を確認することが必要)
▽(再診時)医療情報・システム基盤整備体制充実加算3(マイナンバーカードの利用なし): 来年(2023年)に2点(1か月に1回)

(3)加算要件の特例
現行「オンライン請求を行っていること」を要件としているが、「オンライン請求を来年(2023年12月31日までに開始する旨を届け出た保険医療機関・保険薬局は、来年(2023年)4月1日から同年12月31日までの間に限り、この要件を満たすものと見做す)との特例を設ける

【施設基準】
▽次の事項を医療機関・薬局の見やすい場所およびホームページ等に掲示する
・オンライン請求を行っている(上記(3)のように時限的に緩和)
・オンライン資格確認を行う体制を有している
・オンライン資格確認等体制に関する事項、および質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う



医療情報・システム基盤整備充実体制加算の見直し(1)

医療情報・システム基盤整備充実体制加算の見直し(2)



厚労省は、この見直しに関する医療現場の疑問に答えるため「疑義解釈」も示しています。そこでは、例えば次のような点が明らかにされました。

【施設基準関連】
▽「本年(2023年)12月末までにオンライン請求を開始する」旨を届け出た保険医療機関では、上記のように「オンライン請求を行っていると見做す」が、同日までにオンライン請求が開始されなかった場合には「届け出時点で【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の要件を満たさなかった」ものとして取り扱う(つまり、加算額をすべて返還しなければならなくなる)
→ここで「オンライン請求の開始」とは、2006年4月10日付の厚労省通知「保険医療機関又は保険薬局に係る光ディスク等を用いた費用の請求等に関する取扱いについて」(2021年12月に最終改正され通知の名称も「電子情報処理組織等を用いた費用の請求等に関する取扱いについて」に見直されている)の別添1「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」を審査支払機関に提出していればよい

オンライン請求に関する届け出様式



【初診時の加算関連】
▽初診時問診票を用いて問診を行う場合、問診項目の「この1年間で健診を受診したか」において「歯科健診」を含んでも差し支えない

医科における初診時の標準的問診様式(1):この様式を参考にした問診票を各医療機関で使用することが【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の算定要件となる

医科における初診時の標準的問診様式(2):この様式を参考にした問診票を各医療機関で使用することが【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】の算定要件となる



【再診時の加算関連】
▽▼患者が診療情報の取得に同意しなかった場合▼患者のマイナンバーカード破損等によ り利用できない場合▼患者のマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書が失効している場合—でも【医療情報・システム基盤整備体制充実加算3】を算定する
→加算算定に当たっては「他院からの処方を含めた薬剤情報」や、必要に応じて「健診情報等」を問診等により確認することが求められる点に留意

▽薬剤情報や必要に応じて健診情報等を問診等により確認を行った結果、「前回の診察から薬剤情報等の変更がなかった」場合でも、【医療情報・システム基盤整備体制充実加算3】を算定する

▽施設基準を満たす医療機関の医師が情報通信機器を用いて再診を行う場合、往診・訪問診療で再診では加算の算定はできない

後発医薬品使用体制加算の時限的な臨時特例、DPCで「出来高算定」可能

また(3)では、医薬品の供給不安が長引く中で、医療現場の「医薬品の確保、処方変更の手間」などの負担が非常に大きくなっている点を踏まえ、次のような加算の拡充が期間限定(2023年4月-12月)で行われます(追加の施設基準を満たす医療機関等で、期間限定で加算の上乗せがなされる)。

(1)一般名処方加算
追加の施設基準を満たす医療機関では、来年(2023年)4―12月「2点」の上乗せ加算を行う(特別の取り組みを行う医療機関では、通常の一般名加算+追加の加算を算定可)

(追加の施設基準)
▽薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合には、医薬品の供給状況等を踏まえつつ一般名処方の趣旨を患者に十分に説明することについて保険医療機関の見やすい場所に掲示する

一般名処方加算の見直し



(2)後発医薬品使用体制加算
追加の施設基準を満たす医療機関では、来年(2023年)4―12月「20点」の上乗せ加算を行う(特別の取り組みを行う医療機関では、通常の後発医薬品使用体制加算+追加の加算を算定可)

(追加の施設基準)
(a)後発医薬品使用体制加算に係る届け出を行っている保険医療機関である
(b)医薬品の供給が不足等した場合に治療計画等の見直しを行うなど、適切に対応する体制を有している
(c)(a)(b)の体制に関する事項、医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、変更する場合には入院患者に十分に説明することについて医療機関の見やすい場所に掲示する

後発医薬品使用体制加算の見直し



(3)外来後発医薬品使用体制加算
追加の施設基準を満たす医療機関では、来年(2023年)4―12月「2点」の上乗せ加算を行う(特別の取り組みを行う医療機関では、通常の外来後発医薬品使用体制加算+追加の加算を算定可)

(追加の施設基準)
(a)後発医薬品使用体制加算に係る届け出を行っている保険医療機関である
(b)医薬品の供給が不足等した場合に、医薬品の処方等の変更などに関して十分な対応ができる体制を有している
(c)(a)(b)の体制に関する事項、医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、変更する場合には患者に十分に説明することについて医療機関の見やすい場所に掲示する

外来後発医薬品使用体制加算の見直し



(4)地域支援体制加算
追加の施設基準を満たす薬局では、来年(2023年)4―12月「1点、または3点」の上乗せ加算を行う(特別の取り組みを行う薬局では、通常の地域支援体制加算+追加の加算を算定可)

(追加の施設基準)
(a)地域支援体制加算に係る届け出を行っている保険薬局である
(b)後発医薬品調剤体制加算に係る届け出を行っている保険薬局である
(c)地域の保険医療機関・同一グループではない保険薬局に対する在庫状況の共有、医薬品融通などを行っている(取り組み例、▼地域の薬局間での医薬品備蓄状況の共有と医薬品の融通▼医療機関への情報提供(医薬品供給の状況、自局の在庫状況)、処方内容の調整▼医薬品の供給情報等に関する行政機関(都道府県、保健所等)との連携)
(d)に係る取組を実施していることについて当該薬局の見やすい場所に掲示する

地域支援体制加算の見直し



「疑義解釈」では、例えば次のような点が明確にされています。

【DPCにおける後発医薬品使用体制加算の特例の出来高算定】
▽DPCにおいて、A243【後発医薬品使用体制加算】の「注ただし書に規定する加算」(今回の上乗せ加算)を出来高算定する場合、特別な届け出は不要である
→今回の上乗せ加算を算定する場合、後発医薬品使用体制加算に係る機能評価係数Iは医療機関別係数に合算できない



【地域支援体制加算】
▽地域支援体制加算に係る特例措置において「当該薬局の存する地域の医療機関・薬局(同一グループの薬局を除く)に対し在庫状況の共有、医薬品の融通などを行っていること」が施設基準として設けられているが、具体的には「後発医薬品の使用促進を図りながら、地域の医療機関・薬局と連携し、薬局で必要な調剤を行うための情報共有や医薬品の融通、医師との処方内容の調整など、医薬品の安定供給に資する対応」を意味する
(具体例)
▼地域の薬局間での医薬品備蓄状況の共有と医薬品の融通
▼医療機関への情報提供(医薬品供給の状況、自局の在庫状況)、処方内容の調整
▼医薬品の供給情報等に関する行政機関(都道府県、保健所等)との連携

→ただし、地域の実情に応じて対応すべきであり、現下の不安定な医薬品供給状況を踏まえれば「自薬局の周辺地域の医療機関」や「同一グループ以外の薬局」との開かれた取り組みであることが求められる

→災害時の医薬品供給の対応のように「都道府県、保健所等の行政機関を介した情報共有等の連携体制に参加する」取り組みも有用と考えられる

→特例措置は時限的なもの(2023年4月-12月)であるが、上記のような地域における取り組みを促し、それを定着させるための措置であることを踏まえると、「特例措置の終了した後(2024年1月以降)も、このような取り組みを継続して行う」べきである



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