病院経営は非常に厳しい、「期中の診療報酬改定も含めた対応」を強く要請していく―四病協・会員交流会
2025.1.14.(火)
1月10日に四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の会員交流会が、都内ホテルで開かれました。
各病院団体の会長からは、次のように「病院経営は非常に厳しく、期中の診療報酬改定を強く要請していく」との考えが示されています。
●日病・相澤孝夫会長
「病院経営は非常に厳しいが、それを言うだけでは問題は解決せず、行動しなければならない。病院経営への昨今の厳しい仕打ちに耐えてきているが、耐えられなくなれば一揆をおこすしかない。それくらいの気概を皆で持って危機を打破し、新たな価値の創造、イノベーションに取り組んでいこう。そのためには病院の厳しさのデータを示し、国民に理解してもらうことが重要である」
●全日病・猪口雄二会長
「病院経営は非常に厳しく、かつてとは違う厳しさに直面している。諸物価の高騰、(人材確保に関する)他産業との競争が激しくなり、医療従事者の処遇改善が必要な状況だ。我が国の医療を守るために、一致団結して対応していく必要がある」
●医法協・加納繁照会長
「病院経営が厳しさを増す中、本年は今までと違う病院団体の姿を見せる必要がある。今年は巳年であり、皆にヘビー級(蛇級)の幸せが訪れるように頑張りたい」
●日精協・山崎學会長
「ウクライナ紛争に端を発する物価高騰やエネルギー価格高騰、働き方改革による流通費高騰などある、民間病院は3分の2が赤字経営を強いられている。物価高騰で消費税は大幅な増収となっているはずであり、それを原資に期中の診療報酬改定を2024年度中に行うべきである」
また来賓挨拶を行った福岡資麿厚生労働副大臣は、「医療分野の現下の課題には2024年度診療報酬改定で一定の対応を図ったが、依然、人材確保、物価高騰、医療需要の急激な変動といった厳しい状況があり、2024年度補正予算に盛り込んだ病院経営支援パッケージの早期執行に努める。中長期的な課題に対応するために、2040年頃を見据えた新た地域医療構想の策定に努めるとともに、医師偏在の総合対策パッケージに基づく取り組みの推進、医師働き方改革、医療DX推進、創薬・医薬品の安定供給確保、災害対策、次なる感染症への備えなどを、医療界の声を聞きなが進めていく」旨を強調しました。
他方、同じく来賓挨拶を行った日本医師会の松本吉郎会長は、2025年が巳年であることにちなみ「蛇は医療のシンボルマークである。蛇のように後退せず、強い気持ちで取り組んでいく。2026年度には診療報酬改定が控えているが、病院経営は非常に厳しく期中の診療報酬改定も辞さない気持ちで、今後の対応を強力に進める。その1つのターゲットが今夏(2025年夏)の参議院選挙である」と述べ、政治へのアプローチにもさらに力を入れる考えを強調しています。
本年(2025年)は▼2026年度の次期診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議が本格化する▼2040年頃を見据えた新たな地域医療構想のガイドライン策定論議が進む—など、大きな動きが控えています。こうした大きな流れの中で、各病院では、まず「地域における自院の立ち位置の明確」を検討し、必要に応じて「機能の見直し」「規模の見直し」、さらには「他院との統合・再編も視野に入れた連携の強化」を早急に進めることが重要でしょう。
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