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医療機関経営支援、医療・介護分野の処遇改善、医師偏在対策、医療・介護DXなどに対する手当を2024年度補正予算でも実施

2024.12.2.(月)

厚生労働省が11月29日に、「医療・介護・障害福祉分野の生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等の支援」や「医療需要等の変化を踏まえた医療機関に対する支援」、「訪問介護の提供体制の確保、障害者就労施設の経営改善等の支援」などを盛り込んだ2024年度の補正予算案を公表しました。今臨時国会での早期成立に期待が集まります(厚労省サイトはこちら(ポイント)こちら(全体))。

厚労省所管分の補正予算案の規模は全体で8454憶円。内訳を見ると、(1).医療・介護・障害福祉分野の更なる賃上げの支援等、医師偏在是正に向けた対策の推進:2861億円(2)持続的・構造的賃上げに向けた支援等:331億円(3)創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給確保:442億円(4)国際保健・次なる感染症に備えた対応等:1022億円(5)国民の安心・安全の確保;2205億円—となっています。

2024年度厚労省補正予算案のポイント



医療・介護に関連の深い項目を眺めてみると、次のようなものが目を引きます。

【医療】
▽医療分野の生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等の支援:828億円
→生産性向上に資する設備導入等の取り組みを進める「【ベースアップ評価料】を算定する医療機関等」に対して経費相当分の給付金を支給し、生産性向上・職場環境整備等を図る
→交付額は、▼病院・有床診療所:1ベッドあたり4万円▼診療所(医科・歯科)・訪問看護ステーション:1施設あたり18万円
→生産性向上に資する取り組みとしては、たとえば▼ICT機器の導入による業務の効率化(タブレット端末、離床センサー、インカム、WEB会議設備等の導入による職員間の情報伝達の効率化(チーム医療の推進)、床ふきロボット、監視カメラ等の導入による清掃業務、院内監視業務等の効率化)▼タスクシフト/シェアによる業務の効率化(医師事務作業補助者・看護補助者の配置による医師・看護師の業務効率化(診断書作成、病室内の環境整備や看護用品の整理等))―など(新たに配置する際に必要な経費のほか、「既に雇用している職員の人件費」に充てることも可能)

2024年度厚労省補正予算案1



▽医療需要等の変化を踏まえた医療機関に対する支援:428億円
→患者減少等により「経営状況の急変に直面している医療機関への」支援を行う
→医療需要の急激な変化を受けて「病床数の適正化を進める医療機関」を対象とした経費相当分の給付金(病院(一般・療養・精神)・有床診療所について1ベッドあたり410万4000円)を給付する
→現下の物価高騰を含む経済状況の変化により施設整備等が困難な病院等への支援を行う
→「整備計画を進めており、国庫補助事業の交付対象となる医療機関等」を対象として、施設整備を進めるために必要な給付金((市場価格-補助事業単価)×国負担分相当)を給付する

2024年度厚労省補正予算案2



▽産科・小児科医療確保事業:55億円
→特に分娩取扱施設が少ない地域等における分娩取扱機能の維持のための取り組みを支援する
→地域の小児医療の拠点となる施設について、急激な患者数の減少等を踏まえた支援を行う

2024年度厚労省補正予算案3



重点医師偏在対策支援区域(仮称)における診療所の承継・開業支援事業:102億円
→人口規模、地理的条件、今後の人口動態等から、医療機関の維持が困難な地域である「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」において、診療所医師が高齢化する中で医師を確保するため、支援区域内で診療所を承継又は開業する場合に、当該診療所に対して施設整備、設備整備、一定期間の定着支援を行う

2024年度厚労省補正予算案7



▽医師偏在是正に向けた広域マッチング事業:1億6000万円
→全国的に「中堅・シニア世代等の医師」を対象として、医師不足地域での医療に関心・希望を有する医師の掘り起こしやキャリアコンサルティングを行い、必要に応じてリカレント教育や現場体験につなぎ、医師少数地域の医療機関とのマッチング、その後の定着支援等を行うための財政支援を行う

2024年度厚労省補正予算案8



▽総合的な診療能力を持つ医師養成の推進事業:1億1000万円
→学会や病院団体が協力して▼総合診療の魅力発信▼医療・介護連携を含めた地域における実践的な診療の場の提供▼知識・スキルの研修—を全国推進事業として一体的に実施するリカレント教育事業を国で支援する

2024年度厚労省補正予算案9



▽長時間労働の傾向にある診療科を中心とした人材確保のための勤務環境改善調査等事業:1億9000万円
→医療機関における働き方改革調査(各医療機関における時間外・休日労働の状況や勤務環境改善に向けた取組状況等について、▼時間外・休日労働の上限規制に係る特例水準の適用を受ける医療機関を含めた医師の労働時間の状況▼医療法に基づく面接指導・勤務間インターバル・代償休息の実施体制、実施状況―などを調査し、実態把握や課題抽出等を行う)
→医師の労働時間短縮にかかる調査及び伴走支援(特に長時間労働が指摘されている外科系診療科を中心に「労働時間短縮にかかる総合的な取り組みを行う医療機関」を選定し、伴走型の具体的な支援を行いながら勤務環境の改善を推進するとともに、支援を通じて課題の抽出・効果的手法等の知見について調査分析を行い、好事例として横展開する。具体的には、院内の取組支援、行政機関等の関係機関との連携、患者・家族への周知・協力依頼等にかかる支援、他医療機関の参考となるよう取り組みプロセスの好事例としての取りまとめなど)

2024年度厚労省補正予算案10



▽大学における恒久定員内地域枠設置促進事業:2億円
→地域枠センター(仮称)を設置し、以下の取り組みを推進するための体制を整備する
→都道府県と大学医学部との連携強化(都道府県と連携し、恒久定員内地域枠設置の検討やキャリア形成プログラム等への協力を行う)
→地域枠学生・医師の教育研修の充実(恒久定員内地域枠の設置に伴い必要となる教育研修の充実に係る設備投資等の補助を行う)
→地域枠医師のキャリアパスの透明化・情報発信(医学部受験生等に対する地域枠医師のキャリアパスの理解を深める)
→その他恒久定員内地域枠の設置に必要な取組

2024年度厚労省補正予算案11



【介護】
▽介護人材確保・職場環境改善等事業:806億円
→介護職員等処遇改善加算を取得している事業所のうち「生産性を向上し、更なる業務効率化や職場環境の改善を図り、介護人材確保・定着の基盤を構築する事業所」に対し、所要の額を補助する(介護職員等処遇改善加算の更なる取得促進をあわせて実施する)
→介護事業所において、介護職員等が更なる生産性向上・職場環境改善のため、自身の業務を洗い出し、その改善方策にも関与できる形とする等のための基盤構築を図る(当該職場環境改善等の経費のほか、介護職員等の人件費に充てることを可能とする。介護助手等を募集するための経費や、職場環境改善等(処遇改善加算の職場環境要件の更なる実施など)のための様々な取り組みを実施するための研修等の経費など)

2024年度厚労省補正予算案4



▽介護テクノロジー導入・協働化等支援事業:200億円
→生産性向上の取組を通じた職場環境改善
・生産性向上に資する介護ロボット・ICTの導入や更新(事業所業所の業務効率化に向けた課題解決を図るための業務改善支援、これと一体的に行う介護ロボット・ICTの導入や更新に対する支援を行う)
・地域全体で生産性向上の取り組みを普及・推進する事業の実施(地域の複数事業所における機器導入に向けた研修や、地域のモデル施設の育成など、都道府県等が主導して「面で生産性向上の取り組みを推進」する)
・都道府県等が主導して、ケアマネ事業所と居宅サービス事業所の間でのケアプランデータ連携システム等の活用を地域で促進し、データ連携によるメリットや好事例を収集する
→小規模事業者を含む事業者グループが協働して行う職場環境改善
・人材募集や一括採用、合同研修等の実施、事務処理部門の集約、協働化・大規模化にあわせて行う老朽設備の更新・整備のための支援を行う

2024年度厚労省補正予算案5



▽訪問介護等サービス提供体制確保支援事業:90億円
→地域において訪問介護利用者へ必要なサービスを安定的に提供できるよう、「研修体制づくりやホームヘルパーへの同行支援など、人材確保体制の構築による安心して働き続けられる環境整備」に向けた取り組み、「経営改善」に向けた取り組みについて、事業所規模や地域 の特性に合わせた支援を行う

2024年度厚労省補正予算案6



【医薬品関係】
▽創薬エコシステム発展支援事業:30億円
→我が国の優れた創薬シーズを早期にスタートアップ化できるよう、創薬経験を有する研究開発支援者による実用化に向けたアカデミアシーズ等への研究支援、ターゲット・コンセプト検証試験、スタートアップ設立支援、当該スタートアップの研究開発支援等を実施する

▽創薬クラスターキャンパス整備事業:70億円
→各地の創薬クラスター内で不足している動物実験施設やインキュベーションラボの建設、スタートアップの成長に資する取組等に要する費用を支援する

▽後発医薬品の産業構造改革のための支援事業:70億円
→後発品産業全体の構造的問題を解決し、品質の確保された医薬品を安定的に供給できるよう「品目統合などに向けて計画的に生産性向上に取り組む企業」に対する必要な支援モデルを構築する
→企業間の連携・協力・再編を強力に後押しするために、国が「企業の取り組みを認定する」枠組みを設けるとともに、後発品企業間の連携・協力・再編の推進に資する設備投資等への安定的・継続的な支援の在り方についてさらに検討を行う

▽バイオ後続品の国内製造施設整備のための支援事業:65億円
→海外市場への展開も視野に入れ、バイオ後続品の開発・製造に取り組む場合、新規製造工場等の設備投資に必要な取組への支援を行う

▽医薬品安定供給体制緊急整備事業:20億円
→供給不足が発生している「医療上必要不可欠な安定確保医薬品や感染症対策医薬品」などに関して、増産に必要な設備整備費・人件費に対して緊急的に補助を行う

2024年度厚労省補正予算案12



【医療・介護DX、医療技術等】
▽がん・難病の全ゲノム解析等の推進:114億円
→がん・難病の全ゲノム解析等の推進事業(厚労省が主体となって組織、構成等の検討を継続する。情報基盤の構築を通じた患者への還元・解析結果の利活用に係る体制整備を推進する)
→革新的がん医療実用化研究事業/難治性疾患実用化研究事業(「全ゲノム解析等に係るAMED研究班」は事業実施準備室と連携し、全ゲノム解析を通じてゲノム医療を一層推進できるように、全ゲノム解析の実施基盤の構築や創薬等への活用、新たな個別化医療の導入に係る研究開発を行う)

2024年度厚労省補正予算案13



▽全国医療情報プラットフォーム開発事業:60億円
医療DXの推進に関する工程表に基づいて、オンライン資格確認等システムを拡充し、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」を構築する
→電子カルテ情報等を共有・交換する電子カルテ情報共有サービスを構築する

2024年度厚労省補正予算案14



▽電子カルテ情報等分析関連サービス構築事業:6億2000万円
→公的データベース等を一元的かつ安全に利用・解析できる「情報連携基盤」と「電子カルテ情報データベース」を構築するため、様々なデータベースとのデータ連携方法、利活用を支援するポータル機能、データのクレンジング機能、安全管理措置等を含めた調査設計を行う(関連記事はこちら

2024年度厚労省補正予算案15



▽診療報酬改定DX(共通算定モジュールの開発等):90億円」
→医療DX工程表に基づく診療報酬改定DXの取組として、▼共通算定モジュール(医科・DPC)の実装のための設計・開発(試行版のモデル事業含む)▼共通算定モジュール(医科・DPC)の追加機能としての請求支援機能(仮称)等の実装のための設計・開発▼マスター整備に伴う審査システムの改修―などを行う(関連記事はこちら

2024年度厚労省補正予算案16



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