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日病・全日病・医法協・日精協・日慢協・全自病の6病院団体で病院経営の窮状に関するデータ揃え、「病院経営支援」を要望へ—日病協

2025.1.27.(月)

病院経営は危機に瀕しており、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会・全国自治体病院協議会の6病院団体で「病院経営の窮状」に関するデータを揃え、「病院経営支援」を国に要望する—。

1月24日に開かれた日本病院団体協議会の代表者会議で、こうした点が確認されました。

すでに、6団体加盟病院には調査票配付が始まっており、望月泉副議長(全国自治体病院協議会会長、八幡平市病院事業管理者兼八幡平市立病院統括院長)は「できれば本年度内(2024年度内)にも調査結果を集計し、データを踏まえた病院経営支援要望を国に対して行いたい」との考えを明らかにしています。

1月24日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ望月泉副議長(全国自治体病院協議会会長)

物価等高騰で病院の収支は大幅に悪化している

Gem Medで繰り返し報じているとおり「病院経営の厳しさ」が増しています。日病・全日本病院協会・日本医療法人協会による病院経営定期調査では「医業収益は増加しているものの、費用増(材料費など)がそれを上回り、さらに補助金減なども手伝って、赤字病院が大きく増加し、赤字幅も大きくなっている」状況が明らかにされました。

また全国自治体病院協議会の経営状況調査では、2023年度には「10.3%の赤字」であったところ、2024年度には「14.5%の赤字」に悪化し、危機的な状況にあることが示されています。

このように病院経営が危機的状況にある中、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会の5病院団体が1月22日、福岡資麿厚生労働大臣に宛てて次の3点の緊急要望を行いました。
(1)直近の病院の経営状況を考慮し、地域医療を守るため、緊急的な財政支援措置を講ずること
(2)病院の診療報酬について、物価・賃金の上昇に適切に対応できる仕組みを導入すること(関連記事はこちらこちら
(3)社会保障予算に関して財政フレームの見直しを行い、「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という取扱いを改めること



さらに、地域包括ケア推進病棟協会、全国自治体病院協議会、日本病院会ら15の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)でも、「病院経営の窮状をデータをもって明確に示し、経営支援を強く要望していく」方針を確認。今般、▼日本病院会▼全日本病院協会▼日本医療法人協会▼日本精神科病院協会▼日本慢性期医療協会▼全国自治体病院協議会—の6団体加盟病院に対し、病院経営状況に関する調査が始まりました。

具体的には、「2024年度診療報酬改定後の病院経営状況」(2024年6-11月)と「改定前の状況」(2023年6-11月)を、同一フォーマットで調査しています。

1月24日の代表者会議終了後に記者会見に臨んだ望月副議長は、「肌感覚では『増収』となっているが、それを上回って経費が増加しており『減益』になっている。とりわけ人件費がかなり増加しており、物価高騰・為替変動により光熱費、材料費、委託費などもかなり増加していると予測している。全自病調査でも、急性期の大規模病院になるほど赤字幅が大きい。6-11月対象ではさらに赤字が大きくなると考えられる」と推測。

調査(データ提出)は「2月6日まで」行われ、その後、速やかに分析・解析を行い、日病協で「要望事項」をまとめて、「早ければ今年度内(2024年度内)に国に要望を行いたい」と望月副議長はコメントしています。この点、日病協では「このままでは2026年6月の次期診療報酬まで病院経営が持たない。期中の診療報酬改定や補助金交付、さらには物価上昇に連動する診療報酬の構築などが必要である」との声が多いことも望月副議長は紹介しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。



病院の収益の柱は「診療報酬収入」です(開設主体で若干異なるがいずれも9割超)。しかし、診療報酬は公的価格であるため、急激な物価等の高騰が生じた場合でも「病院の判断で診療報酬を引き上げる」ことは困難です。この点が「コスト増を商品・サービスの価格に上乗せできる」一般企業経営との大きな違いです。

こうした病院(保険医療機関等)の収益構造から「物価等が急騰した場合には、診療報酬等による手当てを行う」ことには十分な合理性があります(実際に高度経済成長期には、期中の診療報酬改定を実施し、物価や人件費の急騰に対応している)。

ただし、「財務省は▼賃金・物価高騰への対応については、「コロナ補助金などで増加した医療機関の純資産(病院の財務状況を見ると「2020年度から21年度には事業費用の5%相当の規模で増加している」)等で対応すべきデフレ下でも診療報酬改定が行われてきており、診療報酬は賃金や物価の水準と比べて高い水準となっている—などとこれまでに主張しており、この『過去の診療報酬改定での補填分・対応分』をどう考えるかが重要ポイントの1つになる」と指摘する識者もおられます。この点について望月副議長は「コロナ禍での補助金等は、医療提供体制確保のために必要なものであった。また過去の診療報酬プラス改定分の多くは人件費増に充てられている。『過去に十分な手当てをしている』との主張は妥当ではない。インフレに対応した診療報酬改定の要請には十分な合理性がある」との考えを示しています。



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