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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

石巻赤十字、長岡赤十字、磐田市立総合、加古川中央の4病院を地域トップの「高度型」がん拠点病院に指定―がん拠点病院指定検討会(1)

2022.3.7.(月)

藤岡総合病院、那須日赤病院などの4病院について「特例型の地域がん診療連携拠点病院」から「一般型の地域がん診療連携拠点病院」への復活を認める―。

京都府立医科大学附属北部医療センターについて、「地域がん診療病院」から「地域がん診療連携拠点」への格上げを認める―。

石巻日赤など4病院を地域トップの「高度型の地域がん診療連携拠点病院」に新指定する―。

3月4日に開催された「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方針が固められました。所要の手続きを経て、近く指定類型が変更されます。

なお同日には「金沢大学医学部附属病院と同一敷地内にある『医療法人社団金沢先進医学センター』において、いわゆる『免疫療法』が自由診療として行われており、どう対応すべきか」との議論も行われています。こちらは別稿で報じます。

がん拠点病院の診療実績などを確認し、定期的に指定類型の妥当性を検証

「日本全国のどの地域に住んでいても、優れたがん医療を受けられる体制を整える」(均てん化)という方針の下、我が国では、高度ながん医療を提供する病院を▼都道府県がん診療連携拠点病院▼地域がん診療連携拠点病院▼地域がん診療病院▼特定領域がん診療連携拠点病院—として指定しています(以下、全体を拠点病院等と呼ぶ)。

拠点病院等として指定されるには、国の定めた基準(指定要件)を満たすことが求められますが、▼拠点病院の中にも診療実績や体制に大きなバラつきがある▼新たながん対策推進基本計画(第3期計画)が2018年度から稼働している▼医療安全体制の強化が求められている▼従前の基準に曖昧な部分がある―などの問題点等を踏まえ、厚労省の「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」で基準(指定要件)の見直しが行われ、2019年度から適用されています。

例えば▼診療体制要件の厳格化(放射線診断医・放射線治療医を「専従」とする、保険適応外の免疫療法等を実施は、原則として治験や臨床研究(先進医療含む)として実施するなど)▼医療安全体制の確保(常勤医師、常勤専任薬剤師、常勤専従看護師などで構成される「医療安全管理部門」の設置義務化など)▼第三者評価(日本医療機能評価機構やJCI(Joint commission international)などの評価・認定など)の努力義務化―などの見直しが行われました。

また、同じ医療圏に複数の地域がん診療連携拠点病院がある場合、実績・機能等に応じて次の3区分で指定することになりました(関連記事はこちらこちら)。
(A)高度型:▼必須要件をすべて満たす▼「望ましい」要件を複数満たす▼優れた取り組み(相談支援センター、緩和ケアなど)を実施している▼圏域内で診療実績が最も優れている―施設を圏域内に1か所指定する
(B)一般型:必須要件をすべて満たす施設を指定する
(C)特例型:指定後に「必須要件を十分に満たせなくなった」場合(要件充足の見通しが立たない場合には指定を取り消す)

地域の診療実績トップなどの要件を満たす地域がん診療連携拠点病院を「高度型」に位置付ける(中医協総会(1)6 191009)

昨年(2021年)10月1日時点のがん診療連携拠点病院等の指定状況(がん拠点病院指定検討会(1)2 220304)



検討会では定期的に要件の充足状況を確認(がん拠点病院等が提出を義務付けられている現況報告書などから確認)しており、今般、「これまでに要件の一部を満たしていなかったが、新たに要件の充足が認められた」「これまでに要件を満たしていたが、新たに要件の未充足が確認された」などといった事情のある病院について指定しなおしなどの検討が行われました。後藤茂之厚生労働大臣が指定手続きを行い、4月1日から新指定内容が発効する予定です。

大きく次の8つの事項について検討を行い、指定見直し方針が決定しました。
(1)要件の軽微な未充足があったため昨年(2021年)の検討会で「1年指定」とされていた一般型病院について、要件の充足を確認し「1年間の指定」を再度行うか否か
(2)要件の未充足があったため昨年(2021年)の検討で「特例型」とされた病院について、要件の再充足を確認し「一般型」に復活させるか否か
(3)拠点病院の要件を満たさず「地域がん診療病院」に指定された病院について、拠点病院の要件充足を確認し「一般型」に指定するか否か
(4)既に拠点病院の指定が行われている医療圏において、質向上が期待されるために新たな拠点病院の指定を行うか否か
(5)地域トップなどの要件を満たす拠点病院を「高度型」に指定するか否か
(6)拠点病院空白地域に、新規に「地域がん診療病院」を指定するかな否か
(7)要件未充足が確認された一般型病院を「特例型」に指定しなすか否か
(8)要件未充足が確認された「地域がん診療病院」への対応をどう考えるか

旭川医大病院、帯広厚生病院など7病院、「一般型の拠点病院」の指定継続認める

まず(1)は、昨年(2021年)1月・7月の検討会において「軽微な要件未充足」(施設改修や放射線機器の入れ替えなどに起因するもの)が確認され「今年(2022年)3月までの1年指定」とされた次の7病院について、要件の充足が確認されたことから「さらに1年間の指定更新(2023年3月まで)を認める」ものです。

▽旭川医科大学病院(北海道)
▽JA北海道厚生連 帯広厚生病院(北海道)
▽山形市立病院済生館(山形県)
▽山形県立新庄病院(山形県)
▽相模原協同病院(神奈川県)
▽紀南病院(和歌山県)
▽呉医療センター(広島県)

藤岡総合病院、那須日赤病院など4病院、「一般型拠点」病院への復活認める

また(2)は、昨年(2021年)1月・7月の検討会において「一部要件の未充足がある」(軽微なものではない)として「特例型」とされた4病院について、要件の充足が確認されたことから「一般型への復活を認める」ものです。

▽那須赤十字病院(栃木県)
▽藤岡総合病院(群馬県)
▽東海大学医学部付属八王子病院(東京都)
▽南和歌山医療センター(和歌山県)

京都医大北部医療センターを地域がん診療病院から「拠点病院」に格上げ

他方(3)は、拠点病院の要件を満たさないことから「地域がん診療病院」に指定されている次の1病院について、拠点病院の要件充足を確認されたことから「一般型への指定(格上げ)を認める」ものです。

▽京都府立医科大学附属北部医療センター(京都府)



地域がん診療病院は「拠点病院が指定されていない医療圏においても、高水準のがん医療提供を可能とするために、一部、拠点病院よりも緩やかにした基準を設け、隣接医療圏の拠点病院と連携して高度ながん医療提供を行う」ことを期待するものです。

今般の「地域がん診療病院」→「拠点病院」により、拠点病院空白医療圏が1つ減ったことになります。

新百合ヶ丘総合病院、川崎市立川崎病院を新たにがん拠点病院に指定

また(4)は、既に拠点病院の指定が行われている医療圏において、質向上が期待されるために、次の2つ病院を「新たな拠点病院(一般型)として指定することを認める」ものです。

▽新百合ヶ丘総合病院(神奈川県、川崎北部医療圏)
→すでに「県指定病院」(都道府県が独自の基準を設けて、高度ながん医療提供を期待する病院)であり、緩和ケア診療の充実、転移・再発に対する緩和的放射線治療、緩和ケア人材育成に力を入れており、新規指定により、既に指定されている「聖マリアンナ医科大学病院」と連携し、がん医療の質向上が期待できる

▽川崎市立川崎病院(神奈川県、川崎軟部医療圏)
→すでに「県指定病院」であり、大腸がん閉塞・穿孔などへの緊急対応を24時間・365日行う「腹急ホットライン」の運用や、隣接地域(横浜市鶴見区、東京都大田区など)のがん患者受け入れにも力を入れており、新規指定により、既に指定されている「川崎市立井田病院」「関東労災病院」と連携し、がん医療の質向上が期待できる



同一医療圏に複数のがん診療連携拠点病院を指定できるのは「当該都道府県におけるがん診療の質の向上およびがん診療の連携協力体制の整備がより一層図られることが明確である場合」に限られており、両病院では上述のように「質向上が期待できる」旨が都道府県から示されています。

検討会でもこの点を確認し、「複数拠点病院の指定」を了承しています。

ただし、患者代表として参画する村本高史構成員(サッポロビール株式会社人事部プランニング・ディレクター)は「拠点病院全体において『連携』の意味が薄まってきているように感じている。今夏の拠点病院指定要件見直し論議の中で、改めて『連携』を重視する要件設定を議論してほしい」と注文を付けています(関連記事はこちら
こちらこちらこちら)。

石巻日赤など4病院を地域トップの「高度型」拠点病院に指定

また(5)では、地域トップなどの要件を満たす4つの拠点病院を「高度型」に指定することが認められました。

▽石巻赤十字病院(宮城県)
▽長岡赤十字病院(新潟県)
▽磐田市立総合病院(静岡県)
▽加古川中央市民病院(兵庫県)



高度型病院は、「一般型の要件を全てクリアし、望ましい要件も複数満たしている」「地域の拠点病院においてトップの診療実績を持つ」「高度な放射線治療を実施している」「手厚い緩和ケア体制を敷いている」「相談支援体制の充実を図っている」「医療安全にかかる第三者評価を受けている」などの要件を満たす場合に指定されるものです。

今般、上記4病院はすべての要件をクリアしたことから「高度型」への指定が認められました。ただし、例えば(b)の長岡赤十字病では「確かに2021年はトップ実績だが、同一医療圏の他の拠点病院とトップがいつ入れ替わってもおかしくない程度である」(村本構成員)などの指摘も出ています。

特例型希望病院の診療実績など(がん診療連携拠点病院指定検討会(1)1 220304)



高度型病院の要件については、例えば▼地域トップの要件が必ずしも明確でない(例えば手術、化学療法などの、どの項目がトップであればよいかなどが明確でない)▼高度放射線治療の定義・要件がやや古い―などの問題点も指摘されており、今夏の拠点病院等の指定要件見直しに向けた論点の1つに上がっています(関連記事はこちら
こちらこちらこちら)。

新規の「地域がん診療病院」申請あるが、要件未充足があり指定は見送り

また(6)は、拠点病院空白地域に、新規に「地域がん診療病院」を指定するかどうかという論点です。上述のように「空白地域でも、高度ながん医療を提供すべき」との考えの下、一定の要件緩和を行った基準を「地域がん診療病院」の指定基準として設定し、基準をクリアするとともに、隣接地域の拠点病院と連携することが求められます。

今般、「霧島市立医師会医療センター」について鹿児島県から「地域がん診療病院」としての新規指定推薦が行われました。しかし、同院では「相談支援センターへの研修を修了した専従の相談員の配置」要件が昨年(2021年)9月1日時点で満たされていません。

「新規指定の場合には、すべての要件を期日(前年の9月1日)時点に満たすこと」が求められており、これをクリアできていないことから、今般は「見送り」となりました。

要件未充足が見つかった6つの拠点病院を「特例型」に格下げ

一方、(7)は「要件の未充足」が確認された一般型病院について「特例型」に指定しなすもので、次の6病院が今般「特例型」に格下げされます。

▽社会医療法人厚生会 木沢記念病院(岐阜県)::「緩和ケア研修会の開催」が未充足
▽上都賀総合病院(栃木県)::「緩和ケア研修会の開催」が未充足
▽独立行政法人国立病院機構 都城医療センター(宮崎県)::「医療安全管理者の医療安全対策に係る研修の受講」が未充足
▽飯田市立病院(長野県)::「専従かつ常勤の薬物療法医の配置」が未充足
▽公立八女総合病院(福岡県):「放射線治療の品質管理」が未充足
▽独立行政法人労働者健康安全機構 熊本労災病院(熊本県):「緩和ケアチームへの精神症状の緩和に携わる常勤の医師の配置」 が未充足



通常、要件の充足を行うことで「一般型」への復活も可能です(上記(2)参照)が、今夏に指定要件見直しが行われ、来春には「全拠点病院の指定しなおし」が行われる予定であり、それまでに「新要件の充足」を行うことが期待されます。

地域がん診療病院で要件未充足が発覚、要件クリアに努力するよう勧告が行われる

さらに(8)は「要件未充足が確認された地域がん診療病院」への対応です。地域がん診療連携拠点病院では、要件未充足の場合には上記(7)で見たように「特例型」への指定し直しが行われます。特例型に指定された1年間の間に「要件充足」を期待するものです。

一方、地域がん診療病院では、こうした「特例型」区分がありません。このため要件未充足の場合には「要件充足に向けて努力してほしい」との勧告を行うことになりました。

▽芳賀赤十字病院(栃木県)::「緩和ケア研修会の開催」が未充足

指定区分の見直しは行われませんが、今後も長期にわたり「要件充足」がなされない場合には、改めて「指定更新を行わない」との判断が下されることになります。

なお、上述のとおり今夏に指定要件見直しが行われ、来春(2023年春)には全拠点病院等について「指定し直し」が行われます。それまでに「新指定要件のクリア」に向けた取り組みを進めることが期待されます。



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