Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

男女ともビタミンC摂取不足で筋肉量・身体能力が低下するが、適切な摂取で回復可能—都健康長寿医療センター

2022.7.15.(金)

ビタミンC摂取量が長期間不足すると、男女とも「筋肉量の減少」「身体能力の低下」が生じる(女性の方が早期に減少・低下が生じる)—。

しかし、再びビタミンCを適切に摂取することで、筋肉量・身体能力が「回復」する—。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が7月14日に、こうした「骨格筋の機能維持には性別に関係なくビタミンCが不可欠」との研究結果を公表しました(研究所のサイトはこちら)。

ビタミンCの量摂取が「フレイル・ロコモティブシンドローム→要支援・要介護状態」に深く関与している可能性があり、「適切な量のビタミンC摂取が重要」と言えそうです。

ビタミンCの再摂取で筋肉量・身体能力の低下は「回復」する

ついに、今年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となるなど、高齢者人口の増加が続きます。これにともない「認知症や要介護状態を抱えた高齢者」や「一人暮らしや高齢者のみの世帯」が増加すると見込まれます。

そうした中で、高齢者の「フレイル」や「ロコモティブシンドローム」が大きな問題となっています。フレイルとは「加齢に伴い抵抗力が弱まり、体力が低下した状態」と、ロコモティブシンドロームは「運動器症候群、骨・筋肉・関節などの運動器の障害のために移動機能を低下した状態」と一般に定義されます。

フレイル・ロコモが「要介護状態になるリスクを高める」(フレイルの人はそうでない人に比べて要介護リスクが4.6倍、ロコモでは同じく3.6倍)ことが分かっていますが、「ロコモ・フレイルは予防でき、さらに改善できる」(一度、ロコモ・フレイルになっても適切な医学的管理・指導により健康な状態に復帰することが十分可能である)ことも分かっています(関連記事はこちら)。

そうした中で、都研究所の石神昭人研究部長は、韓国釜山大学、順天堂大学と共同で「ビタミンC摂取量と骨格筋・身体の威力との関係」を研究し、その成果を発表しました。

メスのマウスでは、▼ビタミンC不足期間が長くなると、筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少する▼再びビタミンCを与えると回復する—ことが従前から分かっていますが、今般の研究では、オスのマウスにおいても次のような点を明らかにしました。

▽ビタミンC不足期間が長くなると、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋などの筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少するが、再びビタミンCを与えると回復する

▽ビタミンC不足期間が長くなると、身体能力(筋力や自発的活動量により評価)が低下するが、再びビタミンCを与えると回復する

▽ただし、筋重量の減少や身体能力の低下は、メスのほうが早期に生じる

ビタミンC摂取量と筋肉量との間には大きな関係がある



マウスやヒトは体内でビタミンCを合成できず、食品などから摂取する必要があります。今回の研究からは、「性別に関わらず、ビタミンC摂取量が不足すると、筋肉量減少・身体能力低下が生じる」(→ロコモ・フレイル→要介護状態につながりかねない)こと、しかし「再びビタミンCを適正に摂取することで、筋肉量・身体能力が回復する」(→ロコモ・フレイルから脱することができる)ことが明らかにされました。

ビタミンCは手軽に摂取できる食品成分であり、適切な量を継続的に摂取することが非常に重要です。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

80歳で歩いて外出できる「80GO」達成に向け、フレイル・ロコモ対策を進める―日本医学会連合
高齢者へのフレイル・認知症・ポリファーマシ―対策、診療報酬でどうサポートすべきか―中医協総会(3)
フレイル対策と介護予防の一体実施、「無関心層の参加」が重要課題―社保審・介護保険部会
高齢者のフレイル(虚弱)対策に向け、管理栄養士や看護師など専門職による相談・訪問指導を実施―医療保険部会