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働き方改革、医療の特殊性への配慮を望む―日病・堺会長

2017.2.28.(火)

 医療分野では救急対応などをしなければならず、どうしても長時間労働になりがちである。これを他産業となべて一律の上限を設ければ、医療現場は立ち行かなくなり、患者・国民が損害を被る―。

 日本病院会の堺常会長は、27日の定例記者会見でこのような状況を訴えるとともに、近く、日本医師会や全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会と協議のうえ、「医療分野の特例」を求める要望書を提出する考えです。

2月27日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

2月27日に定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

救急対応や、研修と業務の特殊性など、医療の特殊性を考慮すべき

 安倍晋三内閣総理大臣は一億総活躍社会の実現に向けて、「働き方改革」を進めています。その一環として、時間外労働について「労使が合意した場合の残業上限は月45時間・年360時間に、臨時的で特別な事情があると労使が認定した場合には、それを超えて月平均60時間・年720時間までに制限し、これに違反した場合には管理者を罰する」との方向が打ち出されています。

 この点について堺会長は、「働き方改革に賛成する」との前置きをした上で、医療分野には特殊性があるため「医師は例外にしてほしい」と強調しました。

 たとえば救急対応をしている医療機関では、医師が24時間待機しており、時間外労働の上限が設けられれば、人員増が必要となります。さらに堺会長は、「宿直などについては通常の診療業務と異なるため、『時間外』と扱っていない医療機関もある。これが時間外となれば、当然賃金の割り増しが必要となる。いつの時点まで遡るかという問題もあるが、大病院では数億円・十数億円の人件費増も想定され、病院の経営にも大きな影響が出る」と指摘。また「米国ではレジデント(研修医)について月80時間という時間外労働規制があると聞くが、手術の途中で上限を迎えれば、別の医師と交代するという」と説明し、医療の質にも悪影響が出るのではないかと懸念します。

 また堺会長は、▼とくに若手医師では「研修」と「業務」との切り分けが困難▼学会発表への対応―などという特殊事情があるとも指摘しています。

 こうした状況を踏まえ「他業種と合わせた一律の規制は、医療に混乱をもたらしてしまう」とし、日本医師会や全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会と連携して担当大臣(加藤勝信働き方改革担当大臣と塩崎恭久厚生労働大臣)に「医師は例外としてほしい」旨の要望書を提出する考えを述べています。

 なお、前述の「研修」と「業務」の切り分けなどの詳細については、地域や労働基準監督署によってバラつきがあるとし、「厚生労働省に対して、ガイドラインやQ&Aの作成を要望する」考えも明らかにしています。

  
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