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産科医・妊婦・家族・職場・国民全体で「先天性風疹症候群」防止を―日本産婦人科医会

2018.11.5.(月)

 風疹が流行する中で、妊婦は、児の先天性風疹症候群(白内障、難聴、心疾患など)を防止するために、風疹に巻き込まれないように留意するとともに、産科医は、妊婦への指導を徹底してほしい。具体的には、風疹抗体の有無が判明するまで、▼人込みを避け、出歩かない▼夫が「リスク者」「リスク者疑い」の場合には、直ちにワクチン接種を求める▼職場への理解を求める―ことなどが必要である―。

 日本産科婦人科医会は10月31日に、「妊婦さんへ風疹からの緊急避難行動のお願い―緊急第3報」を示し、こうした点を呼びかけました(医会のサイトはこちら)(関連記事はこちらこちら)。

産科医から妊婦や家族への指導を行うとともに、職場の健康管理者への働き掛けも

 風疹は、▼発熱▼発疹▼リンパ節腫脹—を特徴とするウイルス性発疹症です。飛沫(くしゃみ、咳、唾液のしぶきなど)および接触により感染します。感染から14-21日の潜伏期間を経て、▼発熱▼耳介後部、後頭部などの首の後ろのリンパ節腫脹▼全身の発疹(淡紅色の小紅斑や小丘疹を呈する)▼眼球結膜の充血—などの初期症状が現れます(ただし15-30%の患者では症状が現れない)。

 こうした症状が出そろった時期に、最も感染力が強くなりますが、その前後(発疹出現の1週間前から、症状が消えるまで)でも感染が起こり、また症状が現れなくても感染力を持っています。

今年は風疹が流行しており、国立感染症研究所は「2018年は2013年・2012年に次いで報告数が多く、昨年(2017年)1年間の既に16倍、昨年同時期(2017年第1-第42~週)の20倍の報告がある」ことを情報提供しています(感染症研究所の風疹に関する緊急情報サイトはこちら)。

今年は2013年・12年に次いで、風疹の報告件数が多くなっている

今年は2013年・12年に次いで、風疹の報告件数が多くなっている

 
ところで妊婦が風疹に感染した場合、児に先天性風疹症候群(白内障、難聴、心疾患など)が出現する恐れがあります。米国CDC(アメリカ疾病管理予防センター)でも「予防接種や過去の感染歴がない妊婦は、日本への渡航を控える」よう警告しているといいます。

日本産婦人科医会では、風疹流行を重く見て「妊婦・産科医は緊急避難行動をとるべき」と指摘。今般、妊婦に注意喚起を行うとともに、専門家である産科医から次のような指導を行うよう、改めて強く要請しています。

【初診で妊娠が判明したときの留意点】
▼直ちに、当該妊婦の風疹抗体価を調べ(過去のデータがあれば代用可能)、【HI 16倍】以下のリスク妊婦の場合には、結果を速やかに伝えるなどして罹患予防に徹するよう注意を促す

▼直ちに夫、同居家族(定期接種対象の子どもは除く)の風疹接種歴、既往歴等を確認し、記録確認などができない場合には風疹抗体価を調べる(自治体により検査費が助成されるケースもある、関連記事は関連記事はこちら

※妊娠している可能性がある女性、妊娠中の女性は、【麻疹風疹=MR】ワクチンを接種できない

【風疹抗体の有無の結果が判明するまでの妊婦、リスクありと判明した妊婦に対する指導】
▼人混みを避け、出歩かないようにするなど、厳重な防衛策を指導する

▼夫が「リスク者(風疹抗体を持たない)疑い」「リスク者確定」であれば、夫に直ちにワクチン接種をし、妊婦への感染を防止するよう指導する(MRワクチン接種から2-3週後以降、効果が現れる)

▼妊婦から「職場の健康管理者に妊娠初期であることを伝え、職域での風疹患者発生の把握に努めてもらうと同時に、職域での風疹例発生時には直ちに妊婦まで連絡してもらう」用に伝えるよう指導する

▼職域で風疹患者が出た場合、患者はもちろん、リスク妊婦の「出社の差し控え」(公休扱い)を含めて、妊婦への万全の保護策をとってもらえるよう職場の健康管理者へ申し出る(主治医からの意見書、指導書面等があるとよい)

【 職域等の健康管理者等の注意点】
▼職域の女性、特に妊婦に対して厳重な保護対応策をとる

▼職場等での風疹患者発生時の情報共有・警告発信をして、防疫に努める

▼妊婦が職場等にいれば、厳に接触が起こらないよう「出勤を控えさせる」などして保護に努める

▼軽微な症状では、出勤・日常活動をしているケースも多く、発熱等の症状が出ている間は、どの疾患によるのか、診断を速やかに受けさせる

【流行地域(関東地方など)の産科医療施設の留意点】
▼「風疹疑いのある妊婦は、直接の来院受診をしないよう、まずは電話で相談をしてほしい」旨の指導を徹底する

▼見舞い者には、「マスク着用」「風疹はもちろん、疾患名が明らかではない風邪気味(発熱、リンパ節の腫れ、発疹等)の方の来院は断る」旨を掲示する

【国民全体の留意点】
▼風疹の罹患歴がなく、1歳以上で2回の予防接種記録がないすべての人は、【麻疹風疹=MR】ワクチンの接種を受ける

▼とくに30代から50代男性は風疹免疫のない者が多く、【麻疹風疹=MR】ワクチンの接種を受ける

 
 
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