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特定機能病院、国と異なる「プロフェッショナルの第三者」視点での評価受審を義務化してはどうか―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(2)

2019.6.11.(火)

 特定機能病院の指定要件に、新たに「第三者評価の受審」を盛り込んではどうか。また評価のプロセスで「改善が必要」と指摘された事項については、「改善に向けた努力義務」を課してはどうか―。

 6月6日に開催された「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われました。

 構成員からは「努力義務では甘いのではないか。認定・認証を受けることを義務化すべき」との意見も根強く、結論に至るまでにはまだ時間がかかりそうです。

6月6日に開催された、「第17回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

6月6日に開催された、「第17回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

 

第三者機関の評価、国と異なる「医学・医療のプロフェッショナル」の独自視点で実施

 検討会は、地域医療支援病院と特定機能病院の承認要件の見直しに向けた議論を行っており、今夏(2019年夏)の意見取りまとめを目指しています。6月6日の会合では、前回に引き続き、▼地域医療支援病院の見直し▼特定機能病院の第三者評価―の2点を議題としました。すでに前者の「地域医療支援病院」に関する議論はお伝えしており、今回は後者の「特定機能病院」に焦点を合わせます。

 東京女子医科大学病院と群馬大学附属病院とで相次いで重大な医療事故が発生した点への反省を踏まえて、2017年の改正医療法などで、特定機能病院における▼ガバナンスの強化(外部監査委員会の設置など)▼医療安全体制の強化(副院長をトップとする医療安全管理部門の設置など)―などの体制強化が図られました(関連記事はこちら)。

 併せて日本医療機能評価機構でも、こうした特定機能病院の体制強化を評価するための受審プログラム(一般病院3)を新設。国とは異なる視点で、つまり「体制を整えているか」にとどまらず、「ガバナンス強化や医療安全に向けて病院が一体的に取り組んでいるか、実際に動いているか」を調査・評価し、不備があれば改善を促すものです。

 「一般病院3」プラグラムは2018年4月から運用され、これまでに19の特定機能病院が受審し、すでに7病院(静岡県立静岡がんセンター、名古屋市立大学病院、大阪国際がんセンター、長崎大学病院、獨協医科大学病院、和歌山県立医科大学附属病院、九州大学病院)が認定を受けており、他院は「改善」に向けて取り組んでいるところです。

2017年の改正医療法を審議した国会(参議院)では、「(日本医療機能評価機構などの)第三者評価を特定機能病院の指定要件に加えるべき」旨の付帯決議(言わば行政への宿題)を行っており、検討会でこの点を議論しているのです。

厚生労働省は6月6日の検討会では、「第三者評価の受審」を指定要件とした場合の影響、「第三者評価の認証・認定」を指定要件とした場合の影響を次のように整理しました(関連記事はこちら)。

【受審を要件とした場合】
第三者機関が「認定しない」と評価したとしても、特定機能病院の指定の可否に影響はないが、「改善が必要」と判断された事項について特定機能病院に努力義務を課すべきか否かを検討する必要がある。第三者評価機関の限定は特段不要(ただし、特定機能病院を評価する能力を持たない機関を受審した場合には、その理由等を十分に説明することが求められる)

【認証・認定を要件とした場合】
第三者機関が「認定しない」と評価した場合には特定機能病院としての指定が受けられなくなるため、国が「第三者評価を行う機関」を決定し、監督することが求められる。当然、受審すべき第三者機関は限定される

 このように「認証・認定を要件とする」には、まず▼国が第三者機関を定め、監督する▼病院機能評価のプログラムについても国が認証する―ことなどが必要となります。この場合、国の視点(指定要件を満たしているか)と第三者機関の視点とが、事実上同一になり、「医学・医療のプロフェッショナルで構成される第三者機関の『より高所から見た、独自の』視点」が十分に活かされなくなる恐れがあります。

 このため厚労省は、▼第三者機関の「受審」を指定要件とする▼第三者機関の評価プロセスで「改善が必要」と指摘された事項については、改善に向けた「努力義務」を課す▼第三者機関は、「特定機能病院の医療安全管理体制等を評価できる機関」(例えば、日本医療機能評価機構、JCI(Joint Commission International)、ISO9001など)の中から病院が選択する―こととしてはどうか、と提案しました。

 
 検討会では、厚労省案に賛成する意見が多数出ましたが、「認証・認定を要件とすべき」との意見も複数だされました。

 本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)や三浦直美構成員(フリージャーナリスト)は、「評価プロセスで指摘された事項について、努力義務を課すだけというのは疑問だ。医療安全に支障がある場合などは、早急な改善を義務付ける必要がある。少なくとも更新の時点で『改善を必須とする』ことを求めるべきである。また、第三者機関について、例えばISO90001では、特定機能病院に特化した評価は行われない。特定機能病院について一定水準の審査・評価が可能なのか国がチェックすべきである」旨を述べ、事実上の「認証・認定の要件化」が必要と訴えました。

 これに対し、「JCIなどは外国に本部があり、国(厚労省)が監督することは事実上不可能であろう」(中村康彦構成員:全日本病院協会副会長)、「機能評価の本質は、病院が継続的にPDCAサイクルを回しているか、回せているかを確認するところにある。改善を第三者機関が確認することを担保すれば、『受審』の要件化でよいのではないか」(坂本哲也構成員:帝京大学医学部附属病院病院長)などの考えを述べています。

 
 今後、さらに「受審を指定要件とすべきか、認定・認証を要件とすべきか」の議論が継続されますが、第三者機関を受審するにあたり、病院側は「院内の体制やプロセスを再点検している」のが実際です。つまり、受審の申請を行う時点で、相当程度、ガバナンス体制や医療安全確保体制を自主点検し、整備していると言えます(もちろん第三者の目からは「甘さ」が見え、それが要改善の評価につながる)。遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)は「受審を指定要件とするだけでも、相当進んだ、厳しい要件となる」との感想を述べています。

 

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