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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

有床診ベッドついに9万床割る、施設数は2020年4月に6500割る見込み―医療施設動態調査(2019年12月)

2020.2.28.(金)

有床診療所の減少スピードは依然としてペースを落としておらず、既に昨年末にベッド数は9万床を切り、今年(2020年)4月末には施設数が6500を割る見込みである—。

こうした状況が、厚生労働省が2月27日に公表した医療施設動態調査(2019年12月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医療施設動態調査(2019年12月) 200227

有床診の施設数、現行ペースでは2020年4月末に6500を切る計算

厚労省は、毎月末の病院・診療所の施設数・病床数を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。昨年(2019年)末の状況を見ると、全国の医療施設は17万9338施設で、前月末から141施設の大幅減少となりました。

このうち病院の施設数は、前月末から3施設減少し8285施設となりました。病院種類別に見ると、▼一般病院:7231施設(前月から3施設減少)▼精神科病院:1054施設(同増減なし)—などという状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3652施設で前月末から2施設減少、「地域医療支援病院」は619施設で前月末から増減はありません。

地域医療支援病院に関しては、昨夏(2019年8月)に厚労省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」で承認要件の見直し内容が固められました。現在の(1)紹介患者への医療提供(かかりつけ医への逆紹介も含む)(2)医療機器の共同利用(3)救急医療の提供(4)地域の医療従事者への研修の実施―という4つの役割・機能に加え、新たに「地域(都道府県)の判断で、医師の少ない地域への医師派遣実施などのプラスアルファ要件を追加(厳格化)できる」とするもので、近々、医療法改正案が国会に上程される見通しです。

また、2020年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会の論議では、「紹介なし外来患者からの特別負担徴収」を一般病床200床以上の地域医療支援病院に拡大することが決まりました。これらが地域医療支援病院の整備数にどのような影響を及ぼすのか、今後の動きが注目されます。

診療所に目を移してみると、医科診療所は10万2649施設で、前月末から63施設も減少しました。無床の医科診療所の増加ペースが再び活性化(前月末から44施設減少)し、さらに有床診療所が前月末から19設減少し、6581施設となりました。なお、歯科診療所の対前月比75施設減が目立っています。

有床診療所の施設数は、2年前(2017年12月末)には7218施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年12月末)には6867施設(厚労省のサイトはこちら)であったので、2017年末から2018年末までの1年間で351施設減少、そこから昨年(2019年)末までの1年間で286施設減少しています。有床診療所の施設数は、2018年末以降、次のように推移しています。

▼2018年12月末:6867施設
↓(31施設減)
▼2019年1月末:6836施設
↓(30施設減)
▼2019年2月末:6806施設
↓(32施設減)
▼2019年3月末:6774施設
↓(44施設減)
▼2019年4月末:6730施設
↓(24施設減)
▼2019年5月末:6706施設
↓(9施設減)
▼2019年6月末:6697施設
↓(16施設減)
▼2019年7月末:6681施設
↓(19施設減)
▼2019年8月末:6662施設
↓(18施設減)
▼2019年9月末:6644施設
↓(25施設減)
▼2019年10月末:6619施設
↓(19施設減)
▼2019年11月末:6600施設
↓(19施設減)
▼2019年12月末:6581施設

この1年間は、1か月当たり「24施設弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、今年(2020年)4月末に6500施設を割る計算です(先月までと同じペース)。

有床診のベッド数、2019年末に9万床を切っていた

医療施設の病床数(ベッド数)を見てみると、全体では、昨年(2019年)末には161万7334床で、前月末から969床の大幅減少となりました(前々月→前月も933床の大幅増)。

このうち病院の病床数は152万7321床で、前月末から678床減少。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万8459床(前月末から41床減少)▼療養病床:30万6410床(同592床減少)▼精神病床:32万6267床(同45床減少)—などとなっています。

また、有床診療所の病床数は前月末から291床減少し、8万9957床となりました。ついに有床診のベッド数が9万床を割ってしまいました。

2年前(2017年12月末)には9万8388床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年12月末)には9万3896床床(厚労省のサイトはこちら)であったので、2017年末から2018年末までの1年間で4492床減少、そこから昨年(2019年)末までの1年間で3939床減少しています。2018年末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2018年12月末:9万3896床
↓(379床減)
▼2019年1月末:9万3517床
↓(448床減)
▼2019年2月末:9万3069床
↓(470床減)
▼2019年3月末:9万2599床
↓(669床減)
▼2019年4月末:9万1930床
↓(320床減)
▼2019年5月末:9万1610床
↓(112床減)
▼2019年6月末:9万1498床
↓(212床減)
▼2019年7月末:9万1286床
↓(218床減)
▼2019年8月末:9万1068床
↓(243床減)
▼2019年9月末:9万825床
↓(353床減)
▼2019年10月末:9万472床
↓(224床減)
▼2019年11月末:9万248床
↓(291床減)
▼2019年12月末:8万9957床

この1年間では、1か月当たり「328床強」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、来年(2021年)4月末には8万5000床を切る計算です。



厚労省は、2018年度の前回診療報酬(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営をサポートするために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

しかし、医療施設動態調査を見ると、これらの効果が十分とは言えない状況です。2020年度の次期診療報酬改定に向けては、中央社会保険医療協議会において次のような見直し方針が決定しました(関連記事はこちら)。

▼【有床診療所一般病床初期加算】(急性期病棟からの転棟患者受け入れを評価する)について、点数を150点に引き上げ(50点増)、算定上限日数を「転棟等日から14日」に延長する(7日間延長)

▼【医師配置加算】について、加算1を120点(32点増)、加算2を90点(30点増)に引き上げる

▼【看護配置加算】について、加算1を60点(20点増)、加算2を35点(15点増)に引き上げる

▼【夜間看護配置加算】について、加算1を100点(15点増)、加算2を50点(15点増)に引き上げる

▼【看護補助配置加算】について、加算1を25点(15点増)、加算2を15点(10点増)に引き上げる

▼【有床診療所緩和ケア診療加算】について、250点に引き上げる(100点増)

有床診が地域で果たす機能(その2)(中医協総会(2)7 191127)

有床診は、山間地域や島しょ部などでは、地域包括ケアシステムの構成要素としてはもちろん、重要な「入院医療機関」としての機能も非常に重要です(入院病床の25%を有床診のベッドが占める2次医療圏もある)。その経営を下支えするために、2020年度の次期診療報酬改定の効果がどう出るのか、今後の状況を詳しく見ていく必要があるでしょう。



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有床診、ベッド数は既に9万床を、施設数は2020年4月に6500を割るペースで減少―医療施設動態調査(2019年11月)
有床診、ベッド数は2020年2月に9万床を、施設数は同5月に6500を割るペースで減少―医療施設動態調査(2019年10月)
有床診の減少続き、ベッド数は2019年末に9万床を切り、施設数は2020年3月に6500を割る勢い―医療施設動態調査(2019年9月)
有床診の減少スピード2019月6-8月は確実に鈍化、次期改定での対応に注目―医療施設動態調査(2019年8月)
有床診の減少スピード2019月6月・7月と再び鈍化、次期改定の行方は?―医療施設動態調査(2019年7月)
有床診の減少スピードが再び鈍化、2019年10月に9万床、20年1月に6500施設を割る見込み―医療施設動態調査(2019年6月)
有床診の減少スピードさらに加速、2019年9月に9万床、19年末に6500施設を割る見込み―医療施設動態調査(2019年5月)
有床診の減少スピード加速続く、2019年9月に9万床を、19年末に6500施設を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年4月)
有床診の減少スピードさらに加速、2019年9月にも9万床を割る可能性―医療施設動態調査(2019年3月)
有床診の減少スピードアップ、2019年10月にも9万床を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年2月)
有床診の減少スピードが再び上昇、2019年11月には9万床を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年1月)
有床診の減少スピード、再び上昇に転じる―医療施設動態調査(2018年12月)
有床診減少スピードは確実に鈍化、2018年度改定の効果か―医療施設動態調査(2018年11月)
有床診の減少スピードにやはりブレーキ、2018年度改定の効果か―医療施設動態調査(2018年10月)
有床診、2018年度改定の効果か、2018年9月末には減少スピードに若干のブレーキ―医療施設動態調査(2018年9月)
有床診、2018年8月末で6948施設に、19年10月には6500施設割れの可能性も―医療施設動態調査(2018年8月)
有床診、実は2018年6月末で7000施設を割っていた―医療施設動態調査(2018年7月)
有床診の減少スピードがアップ、7043床・9万6134床に―医療施設動態調査(2018年6月)
有床診の減少止まらず、すでに7000施設を割っている可能性も、療養病床も減少傾向―医療施設動態調査(2018年5月)
新年度に入り有床診の減少ペース早まる、2018年8月には7000施設を割る可能性―医療施設動態調査(2018年4月)
有床診の減少、ベッド減少ペースは若干緩むが、施設減少ペース変わらず―医療施設動態調査(2018年3月)
有床診、2018年1月末から2月末にかけ28施設・380床の減少―医療施設動態調査(2018年2月)
有床診、2018年1月末で7194施設・9万8111床に減少―医療施設動態調査(2018年1月)
有床診、2017年末で7218施設・9万838床に減少―医療施設動態調査(2017年12月)
有床診療所の減少続く、2018年度同時改定で歯止めがかかるのか―医療施設動態調査(2017年11月)
有床診療所の減少が加速、病床数は9万8843床に―医療施設動態調査(2017年10月)
有床診療所の減少に歯止めかからず、2018年度改定の効果に期待集まる―医療施設動態調査(2017年9月)
有床診療所、ついに集計結果でも10万床を割る―医療施設動態調査(2017年8月)
有床診療所は10万19床、現時点で10万床割れは確実―医療施設動態調査(2017年7月)
有床診療所、現時点で10万床を割っている可能性大―医療施設動態調査(2017年6月)
有床診、2017年5月末に10万466床、7月に10万床切るペースで減少―医療施設動態調査(2017年5月)
有床診、新年度から減少ペース早まり、今年(2017年)7月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年4月)
有床診、現在の減少ペース続けば、今年(2017年)8月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年3月)
2017年2月、有床診は7500施設を切り7485施設に、ベッド数は10万1697床に―医療施設動態調査(2017年2月)
2016年以降、有床診は月間26施設・320床のペースで減少―医療施設動態調査(2017年1月)
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有床診療所、前月に比べて施設数は30、ベッド数は367減少―医療施設動態調査(2016年11月)
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一般病床数、療養病床数ともに3桁の減少―医療施設動態調査(2016年9月)
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