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不正請求等で21件・15人の医師等が保険指定取り消し、診療報酬109億円を返還―2019年度指導・監査実施状況

2021.1.12.(火)

2019年度に個別指導を受けた保険医療機関等は▼医科:1639件▼歯科:1348件▼薬局:1728件―の合計4715件、監査を受けた保険医療機関等は▼医科:18件▼歯科:28件▼薬局:9件―の合計55件で、保険指定取り消し処分などを受けた医療機関等は▼医科:7件▼歯科:11件▼薬局:3件―の合計21件だった―。

こうした状況が、1月12日に厚生労働省が発表した2019年度の「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(2019年度))(関連記事はこちら(18年度)こちら(17年度)こちら(16年度)こちら(15年度)こちら(14年度)こちら(13年度))。

指導・監査などにより返還された診療報酬は、合計で108億7355万円となっています。

2019年度には4715件の個別指導、1万3158件の集団的個別指導を実施

保険診療の財源は、▼公費(税金)▼保険料▼患者の一部負担―です。したがって、その配分を「適正」に行わなければなりません。このため、医療機関が支払いを受ける(診療 → レセプト請求 → 支払い)に当たっての厳格なルール(健康保険法、療養担当規則、診療報酬点数表など)が定められており、このルールに従わない保険医療機関や保険医にはペナルティが科されます。最も重いペナルティとしては、保険指定の取り消し、つまり「保険診療からの退場」措置が行われます。

厚労省は、保険医療機関がこうしたルールを遵守しているかどうかを定期的に確認し、違反などが疑われる場合には、指導や監査というペナルティを科し、是正を図っています。「指導」には次の3種類があります。

(1)集団指導:新規に保険指定を受けた医療機関や医師などを対象に、保険ルールを説明する講習会

(2)個別指導:違反などが疑われる医療機関を呼び出し、面接懇談方式で、保険ルールを遵守するよう指導する(新規に保険指定を受けた医療機関を対象とする「新規個別指導」もある)

(3)集団的個別指導:保険請求金額が高額な医療機関を一定の場所に集め、簡便な面接懇談方式で、保険ルールを遵守するよう指導する



昨年度(2019年度)に(1)の個別指導(新規個別指導を除く、以下同)を受けた保険医療機関等は4715件(前年度比9件減)で、内訳は▼医科:1639件(同14件減)▼歯科:1348件(同16件増)▼薬局:1728件(同11件減)―となっています。

個別指導を受けた保険医等は1万4875人(前年度比195人増)で、内訳は、▼医師:9601人(同391人増)▼歯科医師:2480人(同513人減)▼薬剤師:2794人(同137人増)―となりました。



一方、集団的個別指導は1万3158件(前年度比108件減)で、内訳は▼医科:4443件(同62件減)▼歯科:4707件(同2件増)▼薬局:4008件(同48件減)―という状況です。

2019年度における指導の状況

55医療機関等・保険医等129人に監査を実施、保険指定取り消しは21件・15人

著しいルール違反が疑われる場合には、「監査」によって事実関係が調査されます。その中でルール違反が確認されれば、違反の程度に応じて「保険指定取消」「戒告」「注意」のいずれかの処分が行われます。

昨年度(2019年度)に監査を受けた保険医療機関等は55件(前年度比3件減)あり、内訳は▼医科:18件(同2件増)▼歯科:28件(同増減なし)▼薬局:9件(同1件増)―となっています。

また監査を受けた保険医等は129人(前年度比27人増)となり、その内訳は▼医師:63人(同27人増)▼歯科医師:45人(同3人減)▼薬剤師:21人(同3人増)―でした。

医科で監査件数が増加しており、「目立つルール違反が増加している」ことが分かります。前述のとおり、医療保険財源は「国民全員のお金」であることを改めて踏まえる必要があります。

ただし監査の結果、ルール違反が確認され「保険指定取消」となった保険医療機関等11件(前年度比3件減)、取消処分が決定する前に自ら保険指定を辞退した分(指定取消相当)10件(同増減なし)を合計した「保険指定の資格喪失」件数は21件で、前年度から3件減少しました。

内訳は、指定取り消しが▼医科:4件(同2件減)▼歯科:4件(同3件減)▼薬局:3件(同2件増)―、指定取り消し相当が▼医科:3件(同増減なし)▼歯科:7件(同2件増)▼薬局:ゼロ件(同2件減)―という状況です。

また保険指定取消(指定取消相当を含む)となった保険医等は15人(前年度比4人減)で、内訳は、▼医師:6人(同1人増)▼歯科医師:9人(同3人減)▼薬剤師:ゼロ人(同2人減)―という状況です。

2019年度における監査・保険指定取り消しの状況



保険指定取り消しとなった医療機関の事例を見ると、「行っていない診療行為を請求していた」(いわゆる架空請求)、「実際に行った保険診療に、行っていない診療行為を追加して請求した」(いわゆる付増請求)、「保険診療で認められない診療行為を、保険診療を装って請求していた」などがあります。

こうした不正請求については診療報酬の返還請求がなされ、2019年度の返還金総額は108億7355万円(前年度比21億3515万円増)となりました。

このうち、監査による返還金額が24億205万円(前年度比18億7506万円増)、適時調査(医療機関等が施設基準等を守っているか確認する調査)による返還金額が50億4652万円(前年度比1億1380万円増)、指導による返還金額が34億3498万円(同1億5629万円増)という内訳です。

不正請求額、とりわけ違反の程度が大きなケースである「監査」による請求額が前年度に比べて極めて大きく、非常に遺憾な状況です。



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