Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

不正請求などで37件・26人が保険指定取り消し、診療報酬の返還額は124億円超―2015年度の指導・監査実施状況

2016.12.20.(火)

 2015年度に個別指導を受けた保険医療機関等は医科1566件、歯科1331件、薬局1506件の合計4403件、監査を受けた保険医療機関等は医科37件、歯科45件、薬局8件の合計90件に上り、保険指定取り消しなどの処分を受けた医療機関等は医科10件、歯科26件、薬局1件の合計37件となった―。

 こうした状況が、20日に厚生労働省が発表した2015年度の「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」から明らかになりました(関連記事はこちらこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

 指導・監査などにより返還された診療報酬は、合計で124億3737万円となっています。

15年度は4403件の個別指導、1万3235件の集団的個別指導

 公的医療保険の費用は、公費(税金)、保険料、患者の一部負担で賄われるため、保険診療を行う(つまり支払う)に当たっての厳格なルール(健康保険法、療養担当規則、診療報酬点数表など)が定められています。このルールに従わない場合にはペナルティが課されます。厚労省は、保険医療機関がルールを遵守しているかどうかを定期的に調査し、違反などが認められる場合には、指導や監査といった是正措置が行われます。

 まず指導には、次の3種類があります。

(1)集団指導:新規に保険指定を受けた医療機関や医師などを対象に、保険ルールを説明する講習会

(2)個別指導:違反などが疑われる医療機関を呼び出し、面懇で保険ルールを遵守するよう指導する(新規に保険指定を受けた医療機関を対象とする「新規個別指導」もある)

(3)集団的個別指導:保険請求金額が高額な医療機関を対象に、講習会形式と面接形式の2つで保険ルールを遵守するよう指導する

 2015年度に個別指導(新規個別指導を除く、以下同)を受けた保険医療機関等は4403件で、内訳は▼医科1566件▼歯科1331件▼薬局1506件―となっています。前年度に比べて63件の減少です(医科38件減、歯科34件減、薬局9件増)。

 また個別指導を受けた保険医などは8275人(前年度から3791人の大幅減)で、内訳は▼医科4287人(同3510人減)▼歯科1845人(同351人減)▼薬局2143(同70人増)―となりました。

 一方、集団的個別指導は1万3235件(同156件増)で、内訳は▼医科4305件(同135件増)▼歯科5002件(同56件減)▼薬局3928件(同77件増)―となっています。集団的個別指導については、請求点数が高額な保険医療機関等を対象に行われるもので、医療現場からは在り方そのものに強い批判があります。

90医療機関等・181人保険医等に監査を実施、保険指定取り消しは37件・26人

 著しいルール違反が疑われる場合には「監査」によって、事実関係が調査されます。その上で、ルール違反が確認された場合には、違反の程度に応じて「保険指定取消」「戒告」「注意」のいずれかの処分が行われます。

 2014年度に監査を受けた保険医療機関等は90件(同3件増)あり、内訳は▼医科37件(同2件増)▼歯科45件(同増減なし)▼薬局8件(同1件増)―となっています。同じく監査を受けた保険医などは181人(同111人の大幅減)で、内訳は▼医科78人(同34人減)▼歯科81人(同67人減)▼薬局22人(同10人減)―となりました。指導・監査を受けた件数・人数は、概ね前年度に比べて減少していることから、保険ルールに対する現場の理解が進んでいると見ることもでき、今後の動向に注目する必要がありそうです。

 監査の結果、ルール違反が確認され「保険指定取消」となった保険医療機関などは15件ですが、取消処分が決定する前に自ら保険指定を辞退した人(指定取消相当)を含めると、37件の保険医療機関などが保険指定の資格を失いました。内訳は▼医科10件▼歯科26件▼薬局1件―となっています。前年度に比べて4件の減少(医科5件減、歯科7件増、薬局6件減)です。

 また保険指定取消(指定取消相当を含む)となった医師などは26人(前年度に比べて4人減)で、内訳は▼医科7人(同1人減)▼歯科18人(同4人増)▼薬局1人(同7人減)―という状況です。

指導・監査などの実施状況の年度推移

指導・監査などの実施状況の年度推移

 

 保険指定取り消しとなった事例を見ると、「患者の母親から『医療費が高い』という指摘があり、監査の結果、付け増し請求(実際には行っていない処置、手術、検査)などが行われていた」「個別指導の中で、歯科医師が1人しかいないにも関わらず、異なる施設に入所する複数の患者に同一時刻に歯科訪問診療を行ったとの請求(架空請求)を行っていた」などのケースがあります。

 

 もちろん、こうした不正請求については診療報酬の返還がなされ、2015年度の返還金総額は124億3737万円(前年度に比べて8億8640万円減)となっています。

指導・監査などに基づく返還金額の年度推移

指導・監査などに基づく返還金額の年度推移

 
病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】
不正請求で返還133億円、保険指定取り消し41施設―14年度の指導・監査状況、厚労省公表
13年度の指導・監査による指定取り消し59件、診療報酬の返還は146億円
医療費適正化対策は不十分、レセプト点検の充実や適正な指導・監査を実施せよ―会計検査院