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「病院スタッフの健康管理」が、依然として「遵守できていない事項」ワースト1―2018年度立入検査結果

2021.7.9.(金)

2018年度に医師配置の標準を満たしている病院は97.0%で前年度から改善、看護師・准看護師については99.0%で前年度から悪化した―。

また、「職員の健康管理」について、依然として「最も医師法の規定が遵守されていない」項目となっている―。

このような状況が、厚生労働省が7月5日に発表した2018年度の「医療法第25条に基づく病院に対する立入検査結果」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医師配置の地域格差(偏在)が立入検査結果からもさらに明確に

医療法では、医療の質・安全性を担保するために、人員配置や構造設備に関する「標準」(基準)を定めています(診療報酬では、ここに上乗せした基準を設けている)。都道府県都知事や保健所設置市の市長、特別区の区長は毎年度、医療機関に立入検査をい「基準が遵守されているかどうか」を確認しています(医療法第25条、前年度結果の記事はこちら)。

2018年度には、全8321病院(当時)のうち7803病院に対して立入検査が行われ、実施率は93.8%(前年度から0.2ポイント上昇)となりました。



まず医師の配置状況を見てみましょう。医療法では、▼一般病床は16対1(患者16人に対し医師1人、以下、同様)以上▼療養病床は48対1以上―などの医師配置標準が定められています。

この標準数の遵守状況を見ると、2018年度は97.0%で、前年度から0.6ポイント向上しました。▼2009年度:90.0% →(1.8ポイント向上)→ ▼2010年度:91.8% →(0.7ポイント向上)→ ▼2011年度:92.5% →(1.1ポイント向上)→ ▼2012年度:93.6% →(0.9ポイント向上)→ ▼2013年度:94.5% →(1.0ポイント向上)→ ▼2014年度:95.5% →(0.4ポイント向上)→ ▼2015年度:95.9% →(0.5ポイント向上)→ ▼2016年度:96.4%→(増減なし)→ ▼2017年度:96.4%→(0.6ポイント向上)→▼2018年度:97.0%—となっており、徐々に改善していることを再確認できます。ただし、依然として「低い水準」にとどまっています(適合率の低いワースト5である)。

地域別に見ると、近畿(99.3%、前年度に比べ0.3ポイント向上)や東海(98.8%、同0.4ポイント向上)、関東(98.6%、同0.9ポイント低下)では高いものの、北海道・東北(92.7%、同1.2ポイント向上)、四国(95.1%、同0.1ポイント向上)、北陸・甲信越(96.2%、同0.2ポイント向上)では若干低くなっています。地域間の格差(つまり医師の偏在)を再確認できるデータと言えるでしょう。2020年度からスタートした「医師確保計画」(各都道府県が作成し、段階的に医師多数の地域から医師少数の地域への医師のシフトを促していく)により、徐々に偏在が解消していくことに期待が集まっています。



医療法標準以上の医師配置を行えていない病院の割合は、全国では3.0%(前年度から0.6ポイント減少)ですが、ブロック別に見ると▼北海道・東北:7.3%(同1.2ポイント減少)▼関東:1.4%(同0.9ポイント減少)▼北陸・甲信越:3.8%(同0.2ポイント減少)▼東海:1.2%(同0.4ポイント減少)▼近畿:0.7%(同0.3ポイント減少)▼中国:3.7%(同1.4ポイント減少)▼四国:4.9%(同0.1ポイント減少)▼九州:2.8%(同0.2ポイント減少)―となっています。すべてのブロックで「改善」が見られますが、バラつきも大きく、地方では「医師確保の難しさ」があることを再確認できます。

医師の充足は「医師の働き方改革」にも強く関係します(医師が不足していれば、個々の医師の負担が大きく、働き方改革を進めにくい)。この点、「病院の再編・統合」が▼地域医療構想の実現▼医師働き方改革▼医師偏在の解消—のいずれのテーマにおいても「重要なカギ」となります。とりわけ医師確保が困難な北海道・東北ブロックや北陸・甲信越ブロックなどでは、患者のアクセスにも十分配慮したうえで、今後、「病院の再編・統合」をしっかり検討していくことが重要となってくるでしょう。



また病床規模別に医師配置状況を見てみると、一般病院では▼500床以上:99.4%(前年度に比べて0.6ポイント上昇)▼400-499床:99.3%(同増減なし)▼300-399床:98.0%(同増減なし)▼200-299床:98.0%(同0.7ポイント上昇)▼150-199床:97.2%(同0.4ポイント上昇)▼100-149床:96.3%(同0.3ポイント低下)▼50-99床:96.5%(同1.0ポイント上昇)▼20-49床:94.2%(同1.6ポイント低下)―となっています。中小規模病院で医師確保が難しい状況を再確認できます。

なお、一般病院のうち6病院では、医療法標準の50%に満たない医師しか配置できていません(一般病院の0.1%)。「標準数の半分未満の医師しか配置できていない」一般病院は再び増加に転じており(前年度から1病院増加)、今後の動向に注目する必要があります。

医師数の適合状況(2018年度立ち入り検査結果1 210705)

医師を医療法標準まで配置できない病院が相当数ある(2018年度立ち入り検査結果2 210705)

看護職員の確保、中小規模病院のみならず、大病院でも厳しい

次に、看護師・准看護師(以下、看護師等)の配置状況を見てみましょう。医療法では、▼一般病院の一般病床は3対1以上▼同じく療養病床は4対1以上▼特定機能病院は2対1以上―などといった標準配置数が定められています(病棟)。

2018年度は99.0%の病院で医療法標準を満たしています(前年度から0.2ポイント低下)。▼2009年度:99.2% →(0.2ポイント向上)→ ▼2010年度:99.4% →(増減なし)→ ▼2011年度:99.4% →(0.4ポイント低下)→ ▼2012年度:99.0% →(0.2ポイント低下)→ ▼2013年度:98.8% →(0.5ポイント向上)→ ▼2014年度:99.3% →(増減なし)→ ▼2015年度:99.3% →(0.1ポイント向上)→ ▼2016年度:99.4% →(0.2ポイント低下)→ ▼2017年度:99.2→(0.2ポイント低下)→▼2018年度:99.0%—と「増減を繰り返し」ており、日本全国で「看護師等の確保・定着に苦労している」状況が伺えます。

地域別に前年度からの適合率の推移を見ると、2015年度から16年度にかけては関東ブロックのみで低下が見られましたが、2017年度から18年度にかけては▼北海道・東北(前年度から0.1ポイント上昇)▼中国(同増減なし)▼四国(同0.7ポイント上昇)▼九州(同0.1ポイント上昇)―を除く、関東や近畿でも悪化しています。背景などをより詳しく分析する必要があるでしょう。

適合率の高い地域は、▼九州:99.8%(同前年度から0.1ポイント上昇)▼北海道・東北:99.7%(同0.1ポイント上昇)—などで、逆に低い地域は▼関東:98.1%(同0.8ポイント低下)▼東海:98.4%(同0.2ポイント低下)▼近畿:98.6%(同0.2ポイント低下)―などです。



病床規模別に見ると、一般病院では▼500床以上:100%(前年度から0.3ポイント上昇)▼400-499床:98.6%(同0.9ポイント低下)▼300-399床:99.8%(同増減なし)▼200-299床:99.5%(同0.2ポイント低下)▼150-199床:99.0%(同0.1ポイント上昇)▼100-149床:98.6%(同0.6ポイント低下)▼50-99床:98.6%(同増減なし)▼20-49床:98.2%(同0.1ポイント低下)―となっています。中小規模の病院はもちろん、大規模な病院でも看護師等確保に苦戦している状況を再確認できます。

なお、看護師等を標準の50%未満しか配置できていない病院は、2015年度には解消しましたが、2016年度には3病院、さらに2017年度には1病院、2018年度には2病院となりました(一般病院)。看護師等の配置不足は、個々の看護師等の負担増に直結する(50%未満であれば、単純計算で100%病院の2倍以上の負担となっている計算である)ため、地域全体による支援(個々の病院の努力には限界もある)充実が求められます。

看護師等配置の適合状況(2018年度立ち入り検査結果3 210705)

病院薬剤師、関東・近畿でも適合率低下が気になる

薬剤師については、医療法上、▼一般病院の一般病床は70対1以上▼同じく療養病床は150対1以上▼特定機能病院は30対1以上―などといった標準配置数が定められています(病棟)。

適合状況を見てみると、2018年度は96.7%の病院で医療法標準を満たしていることが分かりました。前年度と比べて0.2ポイント向上しています。

地域別に見ると、▼関東(前年度から0.5ポイント低下)▼近畿(同じく0.5ポイント低下)—で前年度から悪化しています。大都市の多いブロックで、適合率が低下した背景を詳しく見ていく必要があるでしょう。

ただし、適合率が高いのは▼近畿:98.8%(前年度から0.5ポイント低下)▼東海:98.0%(同0.1ポイント向上)▼北陸・甲信越:97.9%(同0.1ポイント向上)—などで、逆に低いのは▼中国:94.1%(同1.3ポイント向上)▼北海道・東北96.1%(同0.5ポイント向上)▼四国:94.1%(同0.3ポイント低下)―などです。中国ブロックにおいて病院薬剤師確保が困難な状況が続いており、支援のテコ入れも検討する必要があるかもしれません。

病床規模別に見ると、一般病院では▼500床以上:99.7%(前年度に比べて0.3ポイント向上)▼400-499床:99.7%(同1.1ポイント向上)▼300-399床:99.2%(同0.2ポイント向上)▼200-299床:98.6%(同0.4ポイント向上)▼150-199床:97.8%(同0.2ポイント向上)▼100-149床:97.9%(同0.2ポイント向上)▼50-99床:96.7%(同0.1ポイント向上)▼20-49床:91.1%(同0.2ポイント低下)―となりました。全体として「薬剤師確保が困難な状況」に陥っており、診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会では「病院と薬局とでの報酬格差の是正」を求める声も出ています。

薬剤師配置の適合状況(2018年度立ち入り検査結果4 210705)



なお、病院全体で法令遵守の度合いが芳しくない項目は、低い順(悪い順)に(1)職員の健康管理(適合率92.2%、前年度から増減なし)(2)医療法許可の変更(同94.8%、同0.4ポイント低下)(3)医薬品の取り扱い(医薬品の管理)(同96.0%、同0.5ポイント向上)(4)薬剤師数(同96.7%、同0.2ポイント向上)(5)医師数(同97.0%、同0.6ポイント向上)―などといった項目です(医師数と薬剤師数とが逆転した)。職員の健康管理は、医師働き方改革でも重視されている項目であり、また何よりも「提供する医療の質・安全性の確保にも影響してくる」ことから、早急な改善と公的な支援が求められます。

適合率の低い項目、ワースト1は依然として「職員の健康管理」(2018年度立ち入り検査結果5 210705)



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