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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

コロナ感染症踏まえた病院経営支援の継続・充実、食材費・光熱費高騰に対する支援などを行ってほしい—四病協

2022.5.27.(金)

新型コロナウイルス感染症の影響が長引いており、病院経営の支援を継続・充実してほしい—。

ウクライナ情勢による食材費・光熱費等の急騰などに対応するため、病院へも特別な支援を行う必要がある—。

医療従事者の働き方改革に対応するために、人材確保・育成等に対する補助を行ってほしい—。

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は5月25日に、こうした内容を盛り込んだ「令和5年度予算概算要求に関する要望」を後藤茂之厚生労働大臣と斉藤鉄夫国土交通大臣に宛てて提出しました(日病のサイトはこちらこちら)。

オンライン資格確認等システムの導入補助、上限額の引き上げと期間延長が必要

四病協の要望内容は、(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)国際紛争による世界的インフレへの対応(3)消費税関係(4)働き方改革関係(5)医療従事者の能力向上関係(6)介護関係(7)地域医療介護総合確保基金関係(8)医療機関のDX(デジタル・トランスフォーメーション)関係(9)国際化対応(10)障害保健福祉(11)災害対策(12)調査研究(13)研究揮発(14)研究への配慮—と非常に幅広いものとなっています。ポイントを絞り、目を引く要望項目を中心に眺めてみましょう。

まず(1)のコロナ感染症対策としては、▼感染防護用品・衛生用品等の確保▼医療従事者への感染リスク対応(感染防止の取り組みに対する診療報酬上の評価や、感染時の補償など)▼医療機関経営支援(患者減に対する支援など)▼緊急時の感染症対策基金等の創設(今後の新興感染症発生時などに柔軟な対応を可能とすする基金創設など)▼都道府県による医療機関財政救急基金設立(基金からの医療機関への貸付を行う)—を求めています。コロナ感染症は落ち着きを見せていますが、「今後も予断を許さない状況が続く」「入院・外来ともに患者が減少し、とりわけクラスターの発生した医療機関では財政が急激に悪化する」「コロナ対応病床を一般病床に戻したとしても、すぐに通常に戻れるわけではない」ことなどを訴え、財政支援を強く求めています。



また(2)のインフレ対応では、▼食材費▼光熱水費▼流通費—が急騰している点を踏まえた「迅速かつ適切な予算措置」を求めています。とりわけ「食事提供」が厳しい状況に陥っていることが、5月25日の四病協・総合部会でも確認されています。関連して(12)でも「病院給食に関する抜本的な構造転換にかかる研究」のための財政支援を求めています。前述のウクライナ情勢にかかるコスト急増の以前に、「1997年から実質的に入院時食事療養費の引き上げが行われていない」ことを四病協では強く問題視しています(関連記事はこちら)。



一方、(4)の働き方改革に関しては、▼医師確保にかかる予算措置(働き方改革を進めるためには医師増員が必要不可欠となり、診療報酬以外の予算措置が必要)▼タスク・シフティング等のための人材確保・育成にかかる財政的補助(例えば「特定行為研修を終了した看護師」の育成・確保など)▼医療機関に勤務する介護職員の処遇改善▼看護師の勤務環境整備▼医療従事者の育児休業にかかる財政的補助—などを求めています。

2024年4月から、勤務医に新たな時間外労働規制(原則となるA水準では年間960時間以内、救急医療などのB水準・研修医などのC水準などでは例外的に同じく1860時間以内)が適用されるため「医師の働き方改革」が急務となっています。その中で注目されるのが「医師は医師免許取得者でなければ実施できない業務に集中し、他の業務は他職種に移管する」というタスク・シフティングです。ただし、業務移管される他職種の負担も考慮しなければならず、結果「医療従事者のすべてで働き方改革を進める」ことが求められ、今般の幅広い財政支援要望につながってきます。



また(7)の地域医療介護総合確保基金については、「地域医療構想を推進するための病床ダウンサイジング支援」を充実することを強く求めています。

昨年(2021年)5月から地域医療介護総合確保基金の中に「病床機能再編支援事業」が位置づけられました。「病床機能再編支援事業」とは、一口で言えば「ダウンサイジング(病床削減)を行った病院に対し、将来得られたであろう利益(逸失利益)等を補助する」仕組みです。異なる側面から見れば「財政補助により病院のダウンサイジングを進める」仕組みです。2020年度予算事業として創設され、2021年の医療法改正によって恒久化(地域医療介護総合確保基金の1事業に組み込む)されました(関連記事はこちらこちらこちら)。

都道府県が「医療機関の機能分化・連携の強化のため、当該地域における病床数の変更を行う」内容を盛り込んだ計画を立て、その実現に向けた補助を「地域医療介護総合確保基金」(各都道府県に創設されている)が行い、その原資を全額国が負担するものです。四病協では、こうした「全額国庫負担による病床削減支援」を今後も継続するとともに、支援の充実を行うことなどを求めています。

病床機能再編支援事業(1)

病床機能再編支援事業(2)

病床機能再編支援事業(3)

病床機能再編支援事業(4)

病床機能再編支援事業(5)



さらに(8)のDX関係では、▼医療情報化支援基金による電子カルテ導入経費の補助(関連記事はこちら)▼病院のサイバーセキュリティ対策への補助(関連記事はこちら▼医療人材資源を補完するICT・AI導入の補助▼オンライン資格確認システムの補助金拡充▼オンライン診療(遠隔診療)への補助—を要望しています。

オンライン資格確認等システムに関しては、「昨年(2021年)3月までに顔認証機能付きカードリーダーシステムを申し込んだ医療機関に対しては、レセプトコンピュータ改修費について一定の上限額(3台導入の場合には190万3000円)まで全額実費補助が行われる」ものの、以降の申し込みについては「2分の1補助」となります。四病協では「レセコン改修費は上限額に収まらないために、補助上限の引き上げが必要である」「コロナ感染症対応などで昨年(2021年)3月までに申し込めなかった病院も数多くあり、全額補助の延長が必要である」と訴えています。この点については、厚生労働省も財務省との調整を行っていく考えを示しています(関連記事はこちら)。



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