Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 外来機能報告支援サービス

日本人高齢者、寿命の延伸に伴い身体機能だけでなく「認知機能も向上」—長寿医療研究センター

2022.6.14.(火)

2010年における高齢者(65-89歳)の認知機能と、2017年における高齢者(65-89歳)の認知機能を比較分析すると、どの年代でも性別にかかわらず「認知機能障害が疑われる者の割合が低下」し、一方「認知機能が良好な者の割合が上昇」していることがわかった—。

日本人高齢者では、寿命の延伸に伴って、身体機能だけでなく「認知機能も向上」している可能性が伺える—。

国立長寿医療研究センターは6月7日、こうした研究結果を公表しました(センターのサイトはこちら)。

認知機能障害が疑われる者の割合と、認知機能が良好な者の割合を比較分析

高齢化の進行に伴い、認知症患者も増加しており、2018年には認知症患者数は500万人を超え、65歳以上高齢者の「7人に1人が認知症」という状況です。認知症患者は、今後さらに増加していくことが見込まれ、2025年には675万人、2040年には802万人になると推計されています。

認知症高齢者数の推移(介護保険部会3 220516)



政府も状況を重く見て、認知症対策の充実・強化に向け、新オレンジプランを大改革した「認知症施策推進大綱」を2019年6月に取りまとめました。そこでは、「認知症の人との共生」「認知症の予防(発症を遅らせる)」を目指し、(1)普及啓発・本人発信支援(2)予防(3)医療・ケア・介護サービス・介護者への支援(4)認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援(5)研究開発・産業促進・国際展開―という5つの柱を打ち立てています(関連記事はこちら)。

そうした中で長寿医療研究センターの鈴木隆雄理事長特任補佐を始めとする「長寿コホートの総合的研究(Integrated Longitudinal Studies on Aging in Japan: ILSA-J)」グループは、「日本人高齢者の認知機能が向上している」可能性を調査研究から明らかにしました。

調査では、▼2010年(8575名の高齢者データ)▼2017年(6089名の高齢者データ)—における「認知機能検査(Mini-Mental State Examination2:MMSE2)の代表値」(30点満点中、認知機能障害が疑われる23点以下、および認知機能が良好な28点以上の性・年代別の割合)を統合解析。そこから次のような状況が明らかになりました。

●認知機能障害が疑われる高齢者の割合は、男女とも、どの年代でも低下している
▽認知機能障害が疑われる男性(MMSE2が23点以下)の割合は、▼65-69歳で3.8ポイント低下(2010年:6.6%→2017年:2.8%)▼70-74歳で2.6ポイント低下(同じく7.1%→4.5%)▼75-79歳で4.1ポイント低下(同じく10.0%→5.9%)▼80-84歳で2.5ポイント低下(同じく13.1%→10.6%)▼85-89歳で1.5ポイント低下(同じく9.7%→8.2%)—となり、いずれの年代でも低下

▽認知機能障害が疑われる女性(MMSE2が23点以下)の割合は、▼65-69歳で2.1ポイント低下(同じく3.0%→0.9%)▼70-74歳で1.6ポイント低下(同じく3.8%→2.2%)▼75-79歳で横ばい(同じく5.1%→5.1%)▼80-84歳で3.3ポイント低下(同じく11.2%→7.9%)▼85-89歳で1.1ポイント低下(同じく16.4%→15.3%)—となり、概ね低下

認知障害が疑われる高齢者の割合が2010年から17年にかけて低下している(長寿医療研究センター1 220607)



●認知機能が良好な高齢者の割合は、男女とも、どの年代でも上昇している
▽認知機能が良好な男性(MMSE2が28点以上)の割合は、▼65-69歳で16.8ポイント上昇(2010年:61.7%→2017年:78.5%)▼70-74歳で14.2ポイント上昇(同じく57.0%→71.2%)▼75-79歳で11.9ポイント上昇(同じく53.8%→65.7%)▼80-84歳で14.9ポイント上昇(同じく42.2%→57.1%)▼85-89歳で0.3ポイント上昇(同じく44.4%→44.7%)—となり、いずれの年代でも上昇している

▽認知機能が良好な女性(MMSE2が28点以上)の割合は、▼65-69歳で5.3ポイント上昇(同じく77.5%→82.8%)▼70-74歳で17.8ポイント上昇(同じく63.0%→80.8%)▼75-79歳で9.5ポイント上昇(同じく58.1%→67.6%)▼80-84歳で12.4ポイント上昇(同じく48.2%→60.6%)▼85-89歳で12.9ポイント上昇(同じく36.5%→49.4%)—となり、いずれの年代でも上昇している

認知機能が良好な高齢者の割合が2010年から17年にかけて上昇している(長寿医療研究センター2 220607)



長寿医療研究センターでは「日本人高齢者において、寿命の延伸に伴い、身体機能だけでなく、認知機能も向上している可能性がある」とコメントしています。



GemMed塾MW_GHC_logo

【関連記事】

フレイル予防・改善のため「運動する」「頭を使う」「社会参加する」など多様な日常行動の実施を—都健康長寿医療センター
「要介護度が低い=家族介護負担が小さい」わけではない、家族介護者の負担・ストレスに留意を—都健康長寿医療センター
奥歯を失うと、脳の老化が進む—長寿医療研究センター
介護予防のために身体活動・多様な食品摂取・社会交流の「組み合わせ」が重要—都健康長寿医療センター
高齢男性の「コロナ禍での社会的孤立」が大幅増、コロナ禍で孤立した者は孤独感・コロナへの恐怖感がとくに強い—都健康長寿医療センター
中等度以上の認知症患者は「退院直後の再入院」リスク高い、入院時・前から再入院予防策を—都健康長寿医療センター
AI(人工知能)用いて「顔写真で認知症患者を鑑別できる」可能性—都健康長寿医療センター
認知症高齢者が新型コロナに罹患した場合の感染対策・ケアのマニュアルを作成—都健康長寿医療センター
地域高齢者の「社会との繋がり」は段階的に弱くなる、交流減少や町内会活動不参加は危険信号―都健康長寿医療センター
新型コロナ感染防止策をとって「通いの場」を開催し、地域高齢者の心身の健康確保を―長寿医療研究センター
居住形態でなく、社会的ネットワークの低さが身体機能低下や抑うつ等のリスク高める―都健康長寿医療センター
孤立と閉じこもり傾向の重複で、高齢者の死亡率は2倍超に上昇―健康長寿医療センター
新型コロナの影響で高齢者の身体活動は3割減、ウォーキングや屋内での運動実施が重要―長寿医療研究センター