「歯の本数」が「抑うつ」と深く関係、一度失った歯は取り戻せず「現在の歯の本数を保てる」ような取り組みが重要—国立長寿医療研究センター
2024.10.22.(火)
「歯の本数」が「抑うつ」と深く関係している—。
一度失った歯は取り戻せず、「現在の歯の本数を保てる」ような口腔内健康に向けた取り組みが重要である—。
国立長寿医療研究センターが10月17日、こうした提言を行いました(研究センターのサイトはこちら)。
男性では、「歯の本数」が「抑うつ」と深く関係する
従前より▼「歯の残存本数」と「認知機能の低下」との間に関係がある(関連記事はこちら)▼フレイル予防においては「食べる」機能、中でも「咀嚼(噛む)」機能がとりわけ重要である(関連記事はこちらとこちら)—などの研究報告がなされています。
今般、長寿医療研究センターでは、「歯の残存本数」と「抑うつ症状の発症」との関連性を分析しました。
具体的には、長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究」(National Institute for Longevity Sciences – Longitudinal Study of Aging:NILS-LSA)の調査に参加した1668名(平均58.8歳、調査時点で既に抑うつ症状のある者などを除外)を【歯の残存本数】(調査時点)によって次のグループに分類。
(1)10本未満(全体の約10%)
(2)10-19本(同約10%)
(3)20本以上(同約80%)
この3グループについて、「CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)といううち病評価尺度を用いて「その後に【抑うつ症状】が生じたか否か」を見たところ、次のような状況が明らかになりました。
▽全体では、残存歯数が「20本以上」のグループを基準とした場合、「10本未満」のグループでは、その後の抑うつ症状の発症リスクが高い
▽男女別に見ると、▼女性では「残存歯数」と「抑うつ症状発症」との間に関連が示されない▼男性では、残存歯数が「20本以上」のグループに比べて、「10本未満」グループ、「10-19本」グループのいずれでも、「抑うつ症状発症」のリスクが高い—
長寿医療研究センターでは、▼うつ予防には健康的な食事摂取が不可欠だが、歯の本数が少ないと健康的な食事習慣を維持することが難しくなる▼歯の本数が少ないと社会参加や社会的活動が少なくなり、こうした「社会とのつながりの少なさ」が抑うつに関連する—など、様々な要因を介して、歯の本数減少が抑うつ発症に影響すると分析。
あわせて「一度失ってしまった歯を取り戻すことはできない。できる限り現在の歯の本数を長く保てるよう口腔内の健康に努めることが重要である」と訴えています。
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