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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

「80歳以上の女性」の31.9%が1人暮らし、単独世帯の増加踏まえ介護・日常生活サービスの拡充が重要―2021年国民生活基礎調査

2022.9.15.(木)

65以上の高齢者がどのような世帯で生活しているのかを見ると、女性では年齢階級が上がるにつれて「単独世帯」が増加し、2021年には80歳以上の女性のうち、31.9%が「単独世帯」で生活している(つまり「1人暮らし」である)。2019年から21年にかけて世帯の所得が増加し、「生活が苦しい」との声は減少している―。

厚生労働省が9月9日に公表した2021年の「国民生活基礎調査の概況」から、このような状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(2019年調査の記事はこちら、2020年調査は新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ中止)。

世帯規模の減少続き、単独・夫婦のみの高齢者世帯がさらに増加

厚労省は毎年、▼保健▼医療▼福祉▼年金▼所得―などの国民生活に関する基礎的事項を調べ、「国民生活基礎調査」として公表しています。3年に1度、大規模な調査が、中間年には簡易的な調査が行われており、昨年(2021年)には簡易調査が実施されました。

まず2021年6月3日時点における全国の世帯総数を見ると、5191万4000世帯で、2年前(2019年)調査に比べて12万9000世帯増加しました。平均世帯人員は2.37人で、2年前から0.02人減少しています。

世帯数と世帯人員の推移(2021年国民生活基礎調査1 220909)



65歳以上の高齢者のいる世帯は2850万9000世帯で、2年前に比べて22万5000世帯増加しました。全世帯に占める割合は49.7%で、2年前に比べて0.3ポイント増加しています。

65歳以上の世帯構造(2021年国民生活基礎調査2 220909)



65歳以上の高齢者のいる世帯について、その内訳を見てみると、最も多いのは「夫婦のみの世帯」で32.0%(2年前比0.3ポイント減少)、次いで「単独世帯」28.8%(同1.4ポイント増加)、「親と未婚の子のみの世帯」20.5%(同増減なし)、「三世代世帯」10.0%(同1.0ポイント減少)という状況です。「単独世帯」の増加が目立っており、介護や生活支援などのサービスを地域で整える「地域包括ケアシステム」の構築を急ぐ必要があります。

高齢者の世帯構造(2021年国民生活基礎調査3 220909)



また、65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯(65歳以上の者のみ、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)は1506万2000世帯で、65歳以上の高齢者のいる世帯の52.8%を占めています。その内訳は、▼男性の単独世帯17.6%(2年前比0.3ポイント増加)▼女性の単独世帯31.7%(同0.5ポイント減少)▼夫婦のみの世帯46.5%(同0.1ポイント減少)—などという状況です。女性では、男性に比べて「より高齢の単独世帯」が多くなっています。

高齢女性では年齢階級が上がるにつれ「単独世帯」が増加、80歳以上では31.9%に

次に「65歳以上の高齢者が、どのような世帯で生活されているのか」を見てみましょう。

65歳以上の高齢者は3819万8000人で、「夫婦のみの世帯で暮らす」人が最も多く39.9%(2年前比0.1ポイント増加)、次いで「子と同居」36.2%(同1.0ポイント減少)、「単独世帯」19.4%(同0.9ポイント増加)などと続いています。高齢者の単独世帯の増加が、ここでも注目されます。



さらに年齢階級別に単独世帯で暮らす人の割合を見ると、男性ではすべての階級で10%台前半ですが、女性では▼65-69歳:14.2%(2年前比0.1ポイント増加)▼70-74歳:18.6%(同0.4ポイント減少)▼75-79歳:23.9%(同1.8ポイント減少)▼80歳以上:31.9%(同1.2ポイント増加)―という具合に、高齢になるにつれて単独世帯で暮らす人の割合が増加していきます。全般的には、男性よりも女性の方が長命なため、「夫婦のみ世帯」→「男性配偶者が死亡する」→「女性の単独世帯が増加する」という構図が考えられそうですが、さらに詳しい分析が待たれます。

65歳以上の家族形態(2021年国民生活基礎調査4 220909)



単独世帯ではもちろん、高齢の夫婦のみの世帯では、世帯員が要介護状態となった場合に「在宅生活を継続するのか」「施設等に入所するのか」を緊急の課題として検討しなければいけません(医療でも同様の問題が生じる)。訪問・通所サービスを充実して、住み慣れた居宅での生活を可能な限り長くすることはもちろんですが、「介護保険制度をはじめ、居宅生活を継続するためのさまざまな支援」について丁寧に、かつ、分かりやすく説明し、高齢者自身が適切に選択できる環境の整備が今後ますます重要となっていきます。

児童のいる世帯、「子供1人世帯」と「子供が多数の世帯」とに二極化進む

次に18歳未満の児童のいる世帯数を見ると、2021年6月1日には1073万7000世帯で、2年前に比べて48万4000世帯・4.3%減少しました。

また世帯における児童数の構成を見ると、1人が46.8%(2年前と増減なし)、2人が39.7%(同0.6ポイント減少)、3人以上が13.5%(同0.6ポイント増加)です。「子供が1人の世帯」と「多くの子がいる世帯」との2極化が進んでいる可能性が確認できます。

世帯における児童の有無(2021年国民生活基礎調査5 220909)

「世帯の所得」の増加に伴い、「生活が苦しい」との意識は減少傾向

最後に所得の状況を眺めてみましょう。2020年1年間の1世帯当たりの平均所得金額は、「全世帯」では564万3000円(2年前に比べて12万円・2.2%増加)、「高齢者世帯」では332万9000円(同20万3000円・6.5%増加)、「児童のいる世帯」では813万5000円(同67万6000円・9.1%増加)となりました。

これに伴い、生活が「苦しい」「大変苦しい」と回答した世帯の割合は2年前に比べて減少し、2021年7月時点では全体の53.1%(2年前に比べて1.3ポイント減少、大変苦しい21.8%、やや苦しい32.6%)に減少しました(2014年:62.4% → 2015年:60.3% → 2016年:56.5% → 2017年:55.8% → 2018年:57.7%→2019年:54.4%→2021年:53.1%)。

生活意識(2021年国民生活基礎調査6 220909)



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