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病院薬剤師確保難が深刻!病院実習・研修受けた薬剤師に専門資格付与し、経済的な評価が必要—四病協

2023.4.27.(木)

病院薬剤師の確保難が深刻さを増し続けており、抜本的な対策が必要である—。

4月26日に開催された四病協団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会で、こうした危機感が共有されたことが、日本病院会の相澤孝夫会長から報告されました。

相澤会長は「個人的な考え」として、例えば「薬学部時代の病院実習、および薬剤師資格取得後の病院研修を受けた者に特別の専門資格を付与し、それを経済的に評価する」ことなどを考えてはどうかと提案しています。

病院薬剤師は多忙、タスク・シフトを積極的に進めよ

従前より「病院に薬剤師が来てくれず、調剤薬局に流れてしまう」ことが問題視されています。日本病院会の調査では、例えば▼多くの病院が「薬剤師不足、薬剤師確保の難渋」を感じ、とりわけ「薬剤師業務を評価する診療報酬」(病棟薬剤業務実施加算や外来腫瘍化学療法診療料など)を取得する病院ほど「薬剤師不足」を強く感じている▼事態の改善に向け多くの病院では薬剤師の確保のため「学会や研修会への参加を経済的に支援する」「専門資格取得を経済的にも、その他の面でも支援する」などの取り組みを行っているが、それでもなお薬剤師不足に難渋している—ことなどが明らかになっています(関連記事はこちら)。

また、2024年度からスタートする第8次医療計画でも「病院薬剤師の確保」が重視され、▼医療計画の中に「薬剤師確保」に関する記載を求める(現在は「資質向上」に関する記載のみ)▼各都道府県において「地域における薬剤師確保・配置状況」を把握したうえで、「薬剤師確保」策を推進していく(現在は、4割近くの都道府県が地域の薬剤師充足状況を把握していない)▼地域医療確保総合確保基金を活用し「地域医療機関で一定期間勤務することを条件に奨学金返済を免除する」などの薬学生支援が可能である旨をPRする—といった方向性が示されています(関連記事はこちら)。

4月26日の四病協・総合部会でもこの点が改めて問題視され、「そもそも病院勤務を希望する薬剤師が少ない」→「1人1人の負担が大きくなる」→「退職者が出る」→「さらに個々の薬剤師の負担が大きくなる」→「さらに病院勤務希望者が少なくなる」という負のスパイラルが生じていることを確認。今後も病院薬剤師の確保難が深刻さを増し続くため、「抜本的な対策が必要である」との考えで一致しました。

では、どのような対策をとるべきでしょう。

まず病院薬剤師においても「タスク・シフト」が必要です。薬剤師資格保有者でなければ実施できない業務に集中するため、例えば「薬剤等の発注」「在庫管理」「患者ごとの薬剤仕分け」など、薬剤師資格を持たずとも実施可能な業務は積極的に他職種に移管していくことが必要です。

また処遇改善も必要でしょう。調剤薬局に比べ、病院勤務では「多忙な業務内容に見合った給与になっていない」(業務内容に比べて給与が低い)と指摘され、「少しばかり給与を上げたとしても薬局勤務を選択する傾向は変わらない。給与増で対応するのであれば、大幅な引き上げが必要となる」状況です。ただし、病院側にそうした体力が十分にあるかと言えば、疑問符が付きます。

この点、相澤・日病会長は「個人的な考えである」としたうえで、▼「薬学部時代の病院実習」と「薬剤師資格取得後の病院における臨床研修」とをセットとして新たな専門資格を付与する▼この専門資格を持つ薬剤師が病院勤務を行うことを経済的に評価する(例えば診療報酬の加算における施設基準に当該専門薬剤師配置を要件化するなど)—を検討してはどうかと提案しています。「経済的評価」を行うとともに、専門医資格という「ステイタス」を付与する考えです。

15の病院団体で構成される日本病院団体協議会でも「薬剤師の病院における臨床研修の義務化」に向けた検討が進められています(関連記事はこちら)。

こうした方策を、日本薬剤師会や日本病院薬剤師会も含めた関係者全体で検討し、総合的に早期に実施することが、病院薬剤師を確保、さらには「質の高い病院医療の維持・確保」に不可欠です。



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