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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

「薬剤師業務を評価する診療報酬」取得し、薬剤師業務が多い病院ほど「薬剤師不足」を強く感じている—日病

2022.7.13.(水)

多くの病院が「薬剤師不足、薬剤師確保の難渋」を感じており、とりわけ「薬剤師業務を評価する診療報酬」(病棟薬剤業務実施加算や外来腫瘍化学療法診療料など)を取得する病院ほど「薬剤師不足」を強く感じている—。

また、多くの病院では薬剤師の確保に向けて「学会や研修会への参加を経済的に支援する」「専門資格取得を経済的にも、その他の面でも支援する」などの取り組みを行っているが、それでもなお薬剤師不足に難渋している—。

日本病院会が7月11日に公表した「病院薬剤師確保に関するアンケート調査」からは、こういった状況も明らかになっています。

「薬剤師が不足している」と嘆いてるばかりではなく、様々な取り組みも実施

日本病院会の相澤孝夫会長は、7月11日の定例記者会見において▼79.4%の病院が「薬剤師の確保に難渋」している▼薬剤師が確保できない理由として「調剤薬局の給与水準が高く、そちらに流れてしまう」「地域に薬剤師が少ない・いない」などが多い—などのアンケート調査結果を明らかにしました。この結果も踏まえて「看護職員処遇改善に関する補助金・診療報酬を、病院薬剤師の処遇改善に支弁する」ことを認めてほしいと要望する方針を固めています(関連記事はこちら)。

本稿では、このアンケート結果を少し詳しく見てみます。

まず、100床当たりの薬剤師数(常勤換算)を見ると、一般病院:5.5人、療養病院・ケアミクス病院:3.0人、精神科病院:1.5人などとなっており、「病床規模が大きいほど、100床当たり薬剤師配置数が多い」(500床以上では6.3人、100床台では4.0人など)ことが確認されました。

病院の100床当たり薬剤師数(日病・病院薬剤師確保アンケート調査1 220711)



これに対し「病院サイドが理想とする薬剤師数」(中央値)を見ると、一般病院:6.6人、療養病院・ケアミクス病院:3.5人、精神科病院:1.8人などとなっており、「理想に比べて、実際には100床当たり1人程度の薬剤師不足となっている」と言えそうです。

病院の理想とする100床当たり薬剤師数(日病・病院薬剤師確保アンケート調査2 220711)



なお、理想薬剤師数把握により「薬剤業務の資質が向上する」「診療・看護部門の求めに応じたれる」「薬剤師勤務体制が改善できる」と考えている病院が多いようです。



また、薬剤師確保のために病院サイドがどういった取り組みをしているかを見ると、▼学会・研修会・講習会への参加支援(経済的支援)▼院内チームへの参加、薬剤部以外への配置・関与▼各種認定薬剤師・専門薬剤師の資格取得支援(経済的支援、経済以外の支援)—などが多く、しかも「薬剤師が不足している」と考える病院で、より積極的にこれらに取り組んでいることも明らかになりました。単に「薬剤師が不足している」と嘆いているわけではなく、「薬剤師確保に向けて様々な取り組みをしているが、それでもなお薬剤師確保が難しい」状況であることを確認できます。

薬剤師確保に向けた病院の取り組み(日病・病院薬剤師確保アンケート調査3 220711)



また、薬剤師業務を評価する診療報酬の取得・算定状況を見ると、次のようになっています。

▽【薬剤管理指導料】(院内の薬剤師が、薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導、服薬支援、その他の薬学的管理指導(薬剤の投与量、投与方法、投与速度、相互作用、重複投薬、配合変化、配合禁忌などに関する確認、患者状態の確認による効果、副作用等に関する状況把握を含む)を行うことを評価する)は93.5%の病院が算定

▽【病棟薬剤業務実施加算】(薬剤師による、病棟での「薬剤投与状況の把握」「薬剤安全情報等の把握と情報提供」「持参薬等の管理」「退院時の薬学的管理指導」などを評価する、関連記事はこちら)は60.9%の病院が算定

▽【外来腫瘍化学療法診療料】(外来での抗がん剤治療を総合的に評価する、関連記事はこちら)は、64.6%の病院が算定

薬剤師業務を評価する診療報酬の取得状況(日病・病院薬剤師確保アンケート調査4 220711)



さらに「79.4%の病院が薬剤師の確保に難渋している」点について、▼一般病院で「薬剤師が充足していない」を考える病院が多い▼大規模病院ほど「薬剤師が充足していない」と考えている▼国立病院、自治体病院、公的病院で「薬剤師が充足していない」と考える病院が多い▼上述の「「薬剤師業務を評価する診療報酬」を算定している病院ほど、「薬剤師が充足していない」と考えている▼夜間・休日の薬剤師勤務がある病院ほど「薬剤師が充足していない」と考えている—ことなどが分かりました。「薬剤を多く使用する」一般病院、薬剤師業務が重視される診療報酬算定病院などで「薬剤師不足感」強いことを再確認できます。

一般病院で薬剤師不足感が強い(日病・病院薬剤師確保アンケート調査5 220711)

大規模病院で薬剤師不足感が強い(日病・病院薬剤師確保アンケート調査6 220711)

薬剤師業務を評価する診療報酬を取得する病院で、薬剤師不足感が強い(日病・病院薬剤師確保アンケート調査7 220711)

薬剤師の夜間・休日勤務がある病院で、薬剤師不足感が強い(日病・病院薬剤師確保アンケート調査8 220711)



一方、薬剤師確保のハードルとしては、既報のとおり「調剤薬局の給与水準が高く、そちらに流れてしまう」「地域に薬剤師が少ない・いない」などが多い状況です。

今後、日病では、こうしたデータも踏まえて「看護職員処遇改善に関する補助金・診療報酬を、病院薬剤師の処遇改善に支弁する」ことを認めてほしいと、厚生労働省に要望する構えです(関連記事はこちら)。



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