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子宮頸がん検診、「2年毎の細胞診単独法」のほか、体制整った市町村では「5年毎のHPV検査単独法」も可能に—がん検診あり方検討会

2023.8.10.(木)

現在、子宮頸がん検診は「2年毎の細胞診単独法」で行われているが、一定の体制が整った市町村においては、30-60歳の女性を対象に「5年毎のHPV検査単独法」へ切り替えることを可能としてはどうか—。

8月9日に開催された「がん検診のあり方に関する検討会」(以下、検討会)で、こうした議論が行われました。厚生労働省や日本産科婦人科学会などで、本年度(2023年度)内に「がん検診の指針」改正、「HPV検査単独法」の検査マニュアル作成などが進められます。

また同日には、乳がん検診における「マンモグラフィ+超音波」の併用法の有用性研究、「がん検診の利益・不利益に関する資材」に関する報告も行われています。

最新ガイドラインでも「一定要件下でのHPV検査単独法」を推奨

我が国の死因第1位を独走する「がん」ですが、多くのがんは生活習慣や環境要因の改善によって予防できると考えられており、例えば、予防可能な「感染」と「能動喫煙」に起因するがんについて、▼子宮頸がんワクチンの更なる積極的勧奨(2022年より積極的接種勧奨が再開)▼肝炎ウイルスに感染している場合の治療▼ヘリコバクター・ピロリの除菌治療▼定期的な健診・検診の受診勧奨を行う▼たばこ対策を強化する—ことで、「命を救う」ことはもちろん「経済的負担の軽減にもつながる」との研究成果が国立がん研究センターから示されています(関連記事はこちら)。

あわせて早期発見による早期治療が「予後を大きく改善する」ことも分かっており(関連記事はこちら)、適切な「がん検診の実施、受診率の向上」が非常に重要なテーマとなっています。

この点、子宮頸がんについては、現在「20歳以上の女性に対し、2年毎に細胞診単独法で行う」ことが国の指針(がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針)で定められています。一方、国立がん研究センターによる「最新の子宮頸がん検診ガイドライン」では「一定要件をクリアした場合、5年毎にHPV検査単独法で行う」こともグレードAとして推奨されています。

この最新ガイドラインを踏まえて、厚労省は、現行の「2年毎の細胞診単独法」のほか、一定の要件をクリアした市町村では「5年毎のHPV検査単独法」に切り替えることも可能とする考えを検討会に提示しました。切り替え可能となる要件は相当厳しく、すぐに多くの自治体で切り替えがなされるとは考えにくいですが、検診の選択肢が増えることは朗報と言えます。

▽子宮頸がん検診の実施方法
▼20歳代:現行どおり「2年に1度の細胞診単独法」で実施する
▼30-60歳:自治体が「2年に1度の細胞診単独法」とするか「5年に1度のHPV検査単独法」のいずれかを選択する(同じ自治体で両検査を併用することは認めない)
→HPV検査単独法について、まず「30歳から5年ごとに受診勧奨の対象」とする
→当面の間、「前年度に細胞診またはHPV検査を受診していない者」「他の市区町村から転入してきた者」については受診勧奨の対象とする(「検診からの漏れ」が生じないようにするため)

▽「HPV検査単独法」への切り替えを行える市区町村の要件例
▼受診動向を把握する仕組みが整っていること(検診間隔に合わせた適切な受診勧奨、追跡精検、その後の確定精検の対象者への受診勧奨・結果把握が重要であるため)
▼液状検体を用いた検査での運用が可能であること(1つの液状検体で複数の検査が行えるため、例えば「HPV検査で陽性となった患者から、改めて細胞診用の検体採取を行う」必要がなくなり、被検査者・自治体双方の負担軽減につながる)

液状検体の特徴(がん検診あり方検討会2 230809)



▼今後、国・学会が定める指針や検査マニュアルに定められる要件を満たすこと



検査対象者や検査実施体制の詳細は、今後、国・学会が定める指針や検査マニュアルの中に規定されます(胃内視鏡検査でも同様の定め方がなされている)。本年度(2023年度)中に▼指針改正▼検査マニュアル作成—が行われます。



また「HPV検査単独法」による検査の流れは、次のように整理することができます。
(1)HPV検査単独法で陰性→5年後にHPV検査単独法による検査を受ける

(2)HPV検査単独法で陽性→トリアージ細胞診を受診(上述のように液状検体を用いるため、改めての検体採取は不要であり、当初のHPV検査単独法のために採取した検体を用いて細胞診が行われる)
▼トリアージ細胞診で陰性→5年後にHPV検査単独法による検査を受ける((1)に戻る)
▼トリアージ細胞診で陽性→精密検査または毎年の検査を実施する

HPV単独法を導入した場合のアルゴリズム案(がん検診あり方検討会1 230809)



「現行の子宮頸がん検診」(細胞診単独法)に加え、一定要件を満たす自治体では「30-60歳の女性にHPV検査単独法」という新たな選択肢を認めるもので、方向について異論・反論は出ていません。子宮頸がん受診について「時間がなくて受けられない」ために受診率がなかなか上がらない現状に鑑みれば、検診間隔が5年に延びるHPV検査法の導入により「検診受診率の向上→早期発見・早期治療の実現→死亡率の低下」という効果が期待されます。

ただし検討会では、「職域のがん検診においては、適切な検体採取・追跡調査・適切な間隔での受診勧奨などの点で大きな問題が残る。職域検診へのHPV検査単独法導入は慎重に考えるべきである。ガイドラインでは、HPV検査単独法は『陽性者に対する長期追跡を含む精度管理体制の構築が前提であり、遵守できない場合は効果が細胞診単独法を下回る可能性がある』とされている点を最大限重視すべき」(中山富雄構成員:国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部部長、中川恵一構成員:東京大学大学院医学系研究科特任教授)、「新たな検査法導入を機に、子宮頸がん検診受診の重要性、どのように検診を受けるのか、などについて国・自治体から国民・地域住民に改めて十分なPRを行い、検診受診率向上を図るべき」(黒瀬巌構成員:日本医師会常任理事、若尾直子構成員:がんフォーラム山梨理事長)、「自治体も新たな検査等についてPRに力を入れるが、国も支援を行ってほしい」(河本伊津子構成員:倉敷市保健所健康づくり課課長)などの注文がついています。

国・学会による指針改定・検査マニュアル作成などにおいて、こうした意見を勘案していくことになります。今後、改定指針案・検査マニュアル案が検討会に示され、改めて詳細を詰めていくことになります。



また8月9日の検討会では、乳がん検診における「マンモグラフィ+超音波」の併用法の有用性研究、「がん検診の利益・不利益に関する資材」に関する報告も行われました。

乳がん検診について、現在は「死亡率低下に関するエビデンスのあるマンモグラフィでの実施」のみが指針に定められています。ただしマンモグラフィのみによる乳がん検査には「高濃度乳房では乳がん病変が隠れやすい」という課題が指摘されています。

そこで「マンモグラフィ検査と超音波検査の併用法」の導入が模索されています。これまでの研究では「正確に乳がん診断できる可能性が高く、場面場面でマンモ単独とマンモ+エコーとを使い分けてくことが重要である」との方向が浮上してきており、現在、7万6000名を超える乳がん患者を対象にした大規模調査研究が進められています(関連記事はこちら)。研究班からは「来年度(2024年度)に「累積進行がん罹患率の比較解析」に関する論文を提出予定であることなどが明らかにされました。今後の研究結果に注目が集まります。

マンモ vs マンモ+エコー併用、いずれにも得手不得手がある点に留意(がん検診あり方検討会3 230809)

マンモ+エコー併用の有用性研究1(がん検診あり方検討会4 230809)

マンモ+エコー併用の有用性研究2(がん検診あり方検討会5 230809)

マンモ+エコー併用の有用性研究3(がん検診あり方検討会6 230809)



この点、指針の中に「マンモグラフィ+超音波の併用法」が位置づけられるために、「死亡率の低下」に関するエビデンス構築までが求められるのか(この場合、10年、15年といった長期間の調査研究が必要となってしまう)、あるいは「来年度(2024年度)予定の累積進行がん罹患率の比較解析で有用性が示されればよい」のかなどを、並行して議論していくことが求められそうです。

今後の調査研究進展に向けて、検討会では「マンモグラフィ+超音波の併用法が、悪性度の高い、いわゆるトリプルネガティブ乳がんの発見にも資するのか、などの視点(どういった腫瘍であればマンモ単独法とマンモ+エコー併用法のいずれが適しているのか、などの視点)も重要である」(中山構成員)、「検診受診率向上に向けた手立てもセットで検討してほしい」(松田一夫構成員:福井県健康管理協会副理事長・がん検診事業部長)などの意見が出ています。



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