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GemMed塾0319ミニセミナー

病院経営の改善に向け「全病院・全病院職員の力の結集」が必要、2025年度に会員3000病院・全都道府県への支部設置目指す—日病・相澤会長

2025.3.17.(月)

病院経営が極めて厳しい。そうした中では経営改善に向けて「全病院・全病院職員の力の結集や組織力の強化」などが非常に重要となる。来年度(2025年度)には「会員3000病院」「全都道府県への支部設置」などを実現し、病院経営の改善に向けた政策提言を強力に行っていく—。

また2025年度には「医療DX人材の育成」「新たな地域医療構想作成ガイドラインへの日本病院会の意見反映」「医療従事者の確保支援の充実」「他病院団体と共同した病院総合医の育成」などにも力を入れていく—。

日本病院会の2025年度社員総会が3月15日に開催され、相澤孝夫会長がこうした考えを述べました。

3月15日の日本病院会・社員総会に臨んだ相澤孝夫会長

サイバーセキュリティ対策に詳しい人材の育成に、日病でも積極的にかかわっていく

物価高騰、光熱水費の高騰が続く中、収益の大半を公定価格である診療報酬で賄う病院の経営は厳しさを増しています。Gem Medで報じているとおり、日病・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会・全国自治体病院協議会の6病院団体による調査で「病院経営は危機に瀕しており、いつ何時、地域の病院が突然なくなる(倒産する)可能性もある」状況が分かりました。

こうした状況から脱却するために、6病院団体と日本医師会は次のような声明を発しています。

▽医療機関の経営状況は、現在著しく逼迫しており、賃金上昇と物価高騰、医療技術革新への対応ができない。このままでは人手不足に拍車がかかり、患者に適切な医療を提供できなくなるだけではなく、ある日突然、地域から医療機関がなくなってしまう

まず補助金による機動的な対応が必要だが、直近の賃金上昇・物価高騰を踏まえれば「2026年度の次期診療報酬改定の【前】に期中改定での対応」も必要と考える

▽さらに、2026年度の次期診療報酬改定に向けて以下の2点を要望する

(1)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の廃止
→賃金上昇・物価高騰などを踏まえ、財政フレームを見直して目安対応を廃止し、別次元の対応を求める

(2)診療報酬等での賃金・物価上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入
→医療業界でも「他産業並みの賃上げ」ができるよう、賃金・物価上昇を反映できる仕組みの導入を求める



こうした状況下で開かれた日病社員総会で相澤会長は、「どうすれば病院経営が回復するか。まず考えられることは、病院・病院職員の力を結集することだ。一般病院だけでも195万人の職員がいる。全病院職員が全力を傾け、病院経営の改善を成し遂げる必要がある」と強く訴えました。

また、相澤会長は来年度(2025年度)に、例えば次のような事業に日病として力を入れていくことを提案し、了承されています。

▽組織の拡大
→正会員3000名(3000病院規模の組織となること)、全都道府県への支部設立を目指し、県単位での活動を強化していく

▽かかりつけ医機能報告制度への対応
→この4月(2025年4月)から)かかりつけ医機能報告制度(病院機能報告、外来機能報告に次ぐ3つ目の報告制度)がスタートする。日病でもかねてから「かかりつけ医機能」についての意見を述べてきており、それらが達成・実現されるかどうか、状況を注視し、必要に応じてさらに意見具申していく

▽新たな地域医療構想の稼働
新たな地域医療構想の大枠が固まり、今後、▼「新たな地域医療構想作成ガイドライン」の策定(来年度(2025年度))→▼都道府県による「新たな地域医療構想」の作成(2026年度)→▼都道府県による「新たな地域医療構想」実行(2027年度から)—へと進んでいく。ガイドラインの内容や運用について、日病の考えをしっかりと反映させていく

▽医療従事者の確保
→多くの病院から「看護師、薬剤師、看護補助者が確保できない」という声が相次いでおりこうした声を踏まえて「医療従事者確保支援」を国に要望していく

▽各種政策の提言
→病院経営環境が極めて厳しく、この背景には「我が国おける病院への評価の低さ」がある。適切な評価(診療報酬、補助金等)に向けて政策提言をしていく。現在、少数与党ではあるが、全病院・全病院職位の力を結集し、病院経営改善に向けた行動を進めていきたい

▽病院総合医育成の共同事業化
→日病ではこれまで病院総合医の育成を単独で行っており、一定の成果を上げてきた(関連記事はこちら)。さらなる成果の実現を目指し、今後は全国自治体病院協議会(全自病)、全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)と共同し、3団体で病院総合医の育成を行っていく

▽医療DXの推進
→医療DXの推進が強く求められ、そこではサイバーセキュリティ対策の強化も必要となる(関連記事はこちら)。しかし、個々の病院で専門人材を確保することも難しいく、日病としても人材育成に積極的に関与していく



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