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2511-2601ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

病院経営の窮状高いに向け、緊急の財政支援・入院料の引き上げ・地域包括医療病棟の施設基準等緩和など要望—日病ほか7病院団体

2025.11.11.(火)

病院経営が危機的な状況にあり、日本病院会では(1)緊急の財政支援(2)入院料の引き上げ(3)地域包括医療病棟の施設基準等緩和(4)病院総合医の評価(5)建て替えなどへの医療介護総合確保基金活用—の5点を早急に実現してほしい—。

日本病院会、国立病院機構、労働者健康安全機構、地域医療機能推進機構、全国自治体病院協議会、日本赤十字社、済生会、全国厚生農業協同組合連合会の8病院団体が11月6日に、上野賢一郎厚生労働大臣に宛てて、こうした内容を盛り込んだ要望書を提出しました(同省医政局の森光敬子局長、同保険局の間隆一郎局長が代理受領)(日病サイトはこちら、関連記事はこちら)。

病院経営は非常に厳しく、また時を追うごとに厳しさが増している

Gem Medで報じているとおり、病院経営が非常に厳しい状況にあり、また時を追うごとに厳しさが増しています。

このため8病院団体は、病院経営を取り巻く危機的な状況を解消するために(1)緊急の財政支援(2)入院料の引き上げ(3)地域包括医療病棟の施設基準等緩和(4)病院総合医の評価(5)建て替えなどへの医療介護総合確保基金活用—の5点を国に要望しました。

まず(1)の「緊急の財政支援」は、迅速に2025年度の補正予算を組み、その中で▼「医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関」に対する1床あたり410万4000円の助成を行う【病床数適正化支援事業】を下回らない水準での「緊急の病院経営支援」事業を創設すること▼同事業を活用した改めての財政出動・要件緩和(「複数年連続赤字期間」要件の緩和、「補助上限」要件の撤廃)を行うこと—を求めています(年内(2025年内)実施を要望)。

8団体は「急性期病院、さらに大都市部を中心に高齢者救急や地域一般救急を担う中小病院で経営が厳しく、今冬の賞与支払いに間に合うような迅速な措置が必要」と強く訴えています。

あわせて「給食業務等の委託経費増加」「償還されない診療材料費(診療報酬に包括評価されている部分など)の増大」が病院経営に大きく影響しているため、2026年度の診療報酬改定や年内(2025年内)の財政出動で対応することも求めています。



また(2)(3)(4)は2026年度の次期診療報酬改定に向けた要望項目です。

(2)入院料の引き上げなど
▽実質2006年度から据え置かれている入院基本料などを最低でも10%以上引き上げ、連動して「DPC点数の引き上げ」を求める

▽次のような「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」の見直しも求める
▼看護必要度I(従前からの評価票を用いる仕組み)
・A項目の「救急搬送後の入院(入院日を含む2日間)【2点】」について、「緊急入院(予約外を含む)(2日間)、救急車での搬送入院(3日間)【2点】」への見直しなどを行う

▼看護必要度II(レセプト電算処理システムコードを用いる仕組み)
・内科症例について、例えばA221【重症者等療養環境特別加算】を算定する病室で治療を行う場合には「A3点」を付与するなどの改善を行う

▽高度医療技術の赤字が目立ち「手術等を行うほど赤字になる」状況改善のために、手術料をはじめとする技術料の見直しを行う



(3)地域包括医療病棟の施設基準等緩和
▽増加する「高齢者救急」に対応するために、地域包括医療病棟の位置づけを明確化し、要件を緩和することが必要である
・看護配置(10対1を12対1に緩和するなど)
・リハビリ専門職配置(専従2名配置を専従1名+1名は代替措置可能(他病棟・外来との兼務、非常勤・派遣職員、他施設からの訪問リハ(業務委託可)とする)
・管理栄養士配置(常勤1名以上配置について、外部委託等(給食受託会社や医療支援企業な度への委託、同一法人内の複数病棟や施設での共同配置など)を可能とする)
・ADL低下患者割合(5%未満を8%未満に緩和する)
・初日「B3」患者比率(50%以上から40%以上に緩和する)
・平均在院日数(21日以内を24日以内に緩和する)
・在宅復帰率(80%以上から70%以上に緩和する)

地域包括医療病棟の施設基準緩和を要望



ほか、▼看護必要度16%以上(必要度I)・15%以上(必要度II)▼自院の一般病棟からの転倒患者割合5%未満▼救急搬送患者等割合15%以上▼包括的な入院医療・救急医療体制整備(2次救急、救急告示、CT撮影・MRI撮影体制確保など)▼データ提出加算・入退院支援加算1の取得―などの要件について、「必須」(義務)から「推奨」(努力義務)への緩和を検討することも求めています。



あわせて、【リハビリテーション・栄養・口腔連携加算】の要件についても、▼研修修了要件を「必須」から「望ましい」に緩和する▼ADL評価を「FIM評価でも可」とする▼休日リハビリ割合(平日比)を「8割以上」から「5割以上」に緩和する▼早期リハビリ実施割合を「8割以上」から「5割以上」に緩和する—ことも要望しました。

リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の施設基準緩和を要望



関連して、他の診療報酬においても「各種の人員基準緩和」論議が、働き手不足の中で必要であると提案しています(関連記事はこちら



(4)病院総合医の評価
病院総合医を配置する体制の評価(1名配置ごとに40-45万円、24時間体制でさらに上乗せとなるよう加算)を行う

▽この加算は、上記「体制」とともに、下記のプロセス・アウトカムに応じた評価も行う

【プロセス評価】
→他職種連携、在宅療養支援、退院支援などの医療実務プロセスを評価する(実績に応じて上記の体制加算に上乗せを行う)

【アウトカム評価】
→病院総合医制度運用の定着後に、再入院率や在宅復帰率などの指標を適切に活用してアウトカムを評価する(例えば導入から3年以降に再入院率低下や在宅復帰率上昇が確認された場合には、成果方式の言わば「ボーナス点数」を算定可能とする)



さらに(5)では、「病院建物の建て替え」などに医療介護総合確保基金を活用する場合の▼補助単価引き上げ(1床あたり3000万円を国の基準として設定する)▼支給対象の拡大(建て替え・更新に加え、人材確保・運営費(ランニングコスト)にも支弁可能とする)▼制度の全国統一(都道府県のごとに異なる手続き、最低補助率の公定化)—を行うよう要望。

あわせて、医療DXの推進に向けて▼電子カルテ導入の補助金引き上げ▼電子カルテのランニングコスト(保守費用)への補助対象拡大▼クラウドサービスを利用する場合の「サービス利用料の50%」補助—も求めています。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

【関連記事】

病院経営は厳しさを増しており、「緊急の財政支援」「入院料の引き上げや地域包括医療病棟の施設基準等緩和」など要望へ—日病・相澤会長