NDBオープンデータから何が見えてくるのか―GHC湯原が分析例を提示
2016.10.26.(水)
NDBオープンデータから、疾患別リハビリテーション料の算定状況を見ると、脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が多い地域で、脳血管疾患等(廃用)や運動器リハの割合が低くなっている。ここには都道府県による「審査基準(査定基準)のバラつき」の影響があるのではないか―。
このほど厚生労働省が公表した第1回NDBオープンデータから、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の湯原淳平マネジャーはこのように分析します(関連記事はこちら)。
疾患別リハ料の算定状況から、都道府県別の「審査基準のバラつき」が見えてくる
NDBは、National Data Baseの略称で、レセプトと特定健診のデータを集積したものです。今般、公表されたオープンデータは、それらの一部を定式化して集計したもので、多くの研究機関などでの活用が期待されます。
オープンデータでは、2014年度(2014年4月-2015年3月)診療分の▼医科診療報酬点数表項目▼歯科傷病▼薬剤データと、2013年度実施分の特定健診集計結果―が基礎データとなりました。初・再診料や入院基本料、加算、医学管理、検査、薬剤などの算定回数が都道府県別、性・年齢階級別に集計されています(厚労省のサイトはこちら)。
ただしデータ量は膨大であり、「どこから見ればよいのか」と困惑しておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでメディ・ウォッチでは、GHCマネジャーの湯原による「NDBオープンデータを活用した分析」の一例を紹介します。
湯原は、「リハは全国的に見て審査支払機関における査定の差が大きい」と指摘されている点に鑑み、疾患別リハ料に注目した分析を実施しました。まず入院における疾患別リハ料の算定状況を見ると、「脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が多い地域では、脳血管疾患等(廃用)や運動器リハの割合が低くなっている」ことが伺えます。湯原をここから「ここには都道府県による『審査基準(査定基準)のバラつき』の影響があるのではないか」と見ています。
また岡山県において、「脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が低く、脳血管疾患等リハ(廃用)の割合が低い」点にも注目。湯原は「岡山県では審査支払機関のリハビリに対する考え方が独特という指摘もあり、今回のデータからもそういった状況が伺える」ともコメントしています。同じデータでも切り口によってさまざまに分析できることが分かります。
査定の基準が都道府県間で、あるいは社会保険診療報酬支払基金(支払基金)と国民健康保険団体連合会(国保連)との間で異なる状況は以前から指摘されています。審査基準の統一化に向けて、支払基金では広く情報提供を行うなどの取り組みを行っていますが、まだまだ「審査基準の差は大きい」と指摘されています。湯原は、「実施しているリハビリに違いがないにも関わらず、地域によってリハビリ料の審査基準が異なってしまうのはおかしい」と強調。
厚労省の検討会では、現在、支払基金のあり方を含めて審査基準の統一などを模索しており、具体的な方針の策定が期待されています。
【関連記事】
症例単位で看護必要度データ修正可能、GHCが病院ダッシュボードの新機能刷新で新制度とベンチマーク分析に対応
重症患者割合のデータが正しくなければ、高度な意思決定はできない―GHCが看護必要度セミナー開催
肺炎患者に対する救急医療管理加算、都道府県で審査基準が大きく異なる可能性―GHC湯原が分析