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アレルギー疾患に関する正しい情報の提供と、適切な医療提供体制の確保を―厚労省のアレルギー疾患対策推進協議会

2016.12.5.(月)

 アレルギー疾患対策を進めるため、▼患者を取り巻く環境の改善▼科学的根拠に基づいた医療提供体制の整備▼科学的知見に基づく医療情報を入手できる体制の整備▼専門的・学際的・総合的な研究を戦略的に推進する―。

 2日に開かれた「アレルギー疾患対策推進協議会」で、こういった内容をベースとした「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」が取りまとめられました。

2014年に成立・公布されたアレルギー対策基本法に基づき、対策の基本指針を策定

 2014年6月にアレルギー対策基本法が成立・公布されました。同法では、我が国におけるアレルギー疾患(気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーその他)対策を総合的に推進することを目的とし、国・地方公共団体・医療保険者・国民・医療提供者などに対して、さまざまな責務を課すとともに、厚生労働大臣に対して「アレルギー疾患対策基本指針」を策定するよう指示しました。

 この指示を受けて厚労省は、今年(2016年)2月に協議会を設置。今般、指針策定に至ったものです。

 指針では、まず次のような基本的な考え方を明確にしています。

(1)アレルゲン(アレルギー疾患の原因物質)回避のための措置を講ずることを念頭に、アレルギー疾患患者を取り巻く環境の改善を図ることが重要である

(2)アレルギー疾患医療全体の質の向上、および科学的根拠に基づいたアレルギー疾患医療の提供体制の整備が必要である

(3)国民が、アレルギー疾患に関し、科学的知見に基づく適切な医療に関する情報を入手できる体制を整備するとともに、アレルギー疾患に罹患した場合には、正しい知見に基づいた情報提供や相談支援などを通じ、生活の質の維持向上のための支援を受けることができる体制の整備が必要である

(4)アレルギー疾患に関する専門的、学際的または総合的な研究を戦略的に推進するとともに、発症・重症化の予防、診断、治療などに係る技術の向上、その他の研究などの成果を普及・活用・発展させることが必要である

 

 こうした基本的な考えに則って、指針では▼知識の普及・予防▼医療提供体制の確保▼調査・研究―の各分野について、具体的な取り組み方針も定めました。

 「知識の普及・予防」に関しては、科学的根拠・知見に基づく正確な情報の提供が不可欠です。そこで指針では、国に対して、ホームページを通じた情報提供の充実(例えばアレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、薬剤の使用方法、アレルゲン免疫療法を含む適切な治療、予防や症状軽減の適切な方法、アレルギー疾患に配慮した居住環境や生活の仕方など)を求めるとともに、「自動車などからの排出ガス対策」「花粉飛散の軽減に向けた森林の適切な整備」「受動喫煙対策」などを行うよう指示しています。

 さらに、学校教育や社会教育、健診などを通じて適切な情報提供が行われるよう、国から地方公共団体や医療保険者に協力を求めるよう依頼しています。

 

 「医療提供体制の確保」に関しては、▼地方公共団体と地方医師会が協力し、最新の科学的知見に基づく適切な医療に関する情報を提供する▼大学などにおいて医師・薬剤師・看護師などの教育について、関係学会との検討結果に基づく教育を推進する▼医師、薬剤師、看護師などに対し、関係学会などによる「認定制度」の取得を通じた自己研鑽を促す施策などを検討する▼居住地域に関わらず適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう、アレルギー疾患の医療提供体制を整備する▼国立成育医療研究センター・国立病院機構相模原病院などのアレルギー疾患医療の全国的な拠点となる医療機関、地域の拠点となる医療機関の役割や機能、またこれらとかかりつけ医との連携協力体制を整備する▼国立成育医療研究センター・国立病院機構相模原病院などを中心に、専門的な知識・技術を有する医療従事者の育成を推進する―ことなどを提言しました。

 

 さらに「調査研究」に関しては、▼国と関係学会との協力▼アレルギー疾患の本態解明研究を進め、アレルゲン免疫療法をはじめとする根治療法の発展・新規開発を目指す―などとしています。

 

 また、アレルギー疾患患者の生活の質(QOL)を高めるため、保健師・助産師・管理栄養士・栄養士・調理師などに向けた「適切な知見を得られるような講習会の開催」「学会などによる認定制度」などを実施するよう求めるほか、アナフィラキシーショックへの対応(アドレナリン自己注射薬の学校での保有など)を充実することも要望しています。

 

 なお、こうした対策を進めるためには財源の確保が欠かせません。指針では国に対し、「必要な予算の確保」と「関係府省感での連携強化」にとどまらず、「施策の重点化」を図るよう強く求めています。

  
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