ハーボニー錠の偽造品が流通、医薬品の譲り受けにおいては十分な注意を―厚労省
2017.1.17.(火)
奈良県の特定の薬局チェーンにおいて、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が発見されました。
厚労省は、17日に通知「医薬品の適正な流通の確保について」を発出し、医薬品を譲り受ける際には、「本来の容器包装などに収められているか」「譲渡人が必要な販売業許可を有し、適正な流通経路から入手しているか」などを確認するよう、都道府県や医師会、病院団体、医薬品関係団体などに注意喚起を求めています(厚労省のサイトはこちら)。
奈良県の薬局チェーンで偽造ハーボニー錠が見つかる
ハーボニーは画期的なC型肝炎治療薬として、2015年7月に薬事承認され、中央社会保険医療協議会で高額な薬価が設定されました。2016年度の薬価改定では「特例の市場拡大再算定」(巨額再算定)の対象となり、薬価の引き下げが行われました(関連記事はこちら)。
今般、奈良県内の薬局チェーンにおいてハーボニーの偽造品が発見されました。製造販売を行っているギリアド・サイエンシズ社の調査では偽造品の成分などは未判明ですが、「正規取引先以外」の経路から入手されたということです。
事態を重く見て厚労省は、次の点に注意するよう求めています。
(1)医薬品を譲り受ける際は、「当該医薬品が本来の容器包装などに収められている」か状態(未開封、添付文書の同梱などを含む)を確認すること、譲渡人が必要な販売業許可などを有し、当該医薬品を適正な流通経路から入手していること、確認するなど、偽造医薬品混入を避けるため必要な注意をする
(2)薬局・医薬品販売業者にあっては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(医薬品医療機器等法施行規則)の規定に基づき、医薬品を譲り受けたときは、その譲渡人の氏名などに関する記録を作成し、保管する
(3)患者などに対し、調剤した薬剤または医薬品の販売などを行う際は、医薬品(容器包装などを含む)の状態を観察し、通常と異なると認められる場合はこれを販売などせず、異常のない医薬品を用いて改めて調剤するなど適切に対応する。また、通常と異なると認められる医薬品については所管の都道府県などに連絡する
またギリアド・サイエンシズ社は、ハーボニー錠を服用する患者に対して次の点を確認するよう求めています。
【現在服用している患者】
▼医療機関や薬局でハーボニーを受け取った時点で、ボトルの中に薬剤が28錠封入されていたか、錠剤の形状が「ひし形」で、錠剤の表面に「GSI」、反対側に「7985」の刻印があり、色が橙色であることを確認する
▼自身でボトルを開封した場合には、ボトル口部にアルミシールがされていたか、指で容易に剥がせなかったかを確認する
▼上記の点に不自然な点がある場合には、すみやかに調剤した医療機関・薬局まで問い合わせ、自身の判断による「服薬の中止」はしない
【これから服用を始める患者】
▼医療機関や薬局でハーボニーを受け取る際には、薬剤師と一緒に製品を開封し、錠剤を確認する
【服用を既に完了した患者】
▼真正品と、自身が内服されたものとが著しく異なる場合は、医療機関・薬局に問い合わせる
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