専門看護師、2016年末で11分野1883人に―日看協
2017.2.3.(金)
「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の 6つの役割が期待され、認定審査に合格した専門看護師が、昨年(2016年)末に新たに200名誕生し、合計で11分野・1883名となった―。
日本看護協会は1日、このような発表を行いました。
「がん看護」721名、「精神看護」267名、「急性・重症患者看護」225名など
専門看護師は、特定の専門看護分野の知識・技術を深め、卓越した看護を実践できると日看協が認定した看護師です。▼看護師の実務経験5年以上▼看護系大学院で修士課程を修了▼専門看護師教育課程基準(日本看護系大学協議会)に必要な単位の取得―という要件を満たし、日看協の行う専門看護師認定審査に合格し、認定登録することで、晴れて「専門看護師」資格を取得できます。
専門看護師には「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の 6つの役割が期待され、所属施設はもちろん、地域における看護の質向上への貢献が求められます。
日看協は、先ごろ行った第26回専門看護師認定審査において新たに200名の専門看護師が誕生。昨年(2016年)末時点で専門看護師数は11分野・1883名となっています。
分野別にみると、「がん看護」が最も多く721名、次いで「精神看護」267名、「急性・重症患者看護」225名、「小児看護」185名などと続きます。
専門看護師の所属施設は、病院がもっとも多く1585名(全体の84.2%)。病院の規模別に見ると、▽900床以上に285名▽600-699床に237名▽400-499床に227名▽300-399床に182名―など大規模病院で多くなっています。もっとも2016年の新規認定者に限ってみると、36名(新規認定され病院勤務の専門看護師の20.1%)が400-499床の病院に所属しているほか、500床未満の病院勤務が46.9%と半数近くを占めており、看護師の意欲の高まりとともに、病院のサポートが充実している状況が伺えます(病院勤務の専門看護師全体では、500床未満病院勤務が37.0%)。
病院に勤務する専門看護師の所属部門を見てみると、669名(病院の専門看護師の42.2%)が病棟に勤務し、268名(同16.9%)が看護管理部(室)に、233名(同14.1%)が外来に、48名(同3.0%)が地域医療連携部門となっています。このほかの所属を見ると、▽ICU・HCUなどに116名(同7.3%)▽救命救急センターに69名(同4.4%)▽在宅診療部に5名(0.3%)▽オペ室に1名(0.1%)―などという具合です。日看協では「過去5年の推移を見ると、看護管理部・外来・地域医療連携部門の所属人数が増加している」ことを特筆しています。
いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療・介護ニーズが飛躍的に高まる2025年に向けて、厚生労働省は「病院・病床の機能分化・連携の強化」と「地域包括ケアシステムの構築」を最重要施策に位置付けています。この両者を実現するためのポイントが「地域連携」です(関連記事はこちらとこちらとこちら)。地域医療連携部門に所属する専門看護師の専門分野は、▽がん看護18名▽在宅看護8名▽老人看護7名▽小児看護6名―などとなっており、また外来の「地域支援科」や看護管理部門の「地域医療連携担当」で、地域医療連携を担当している専門看護師もおり、日看協は「専門看護師の活躍」に期待を寄せています。
なお、昨年(2016年)11月に、新たな専門看護分野として▽遺伝看護▽災害看護―が特定されました(合計13分野となる)。ゲノム医療の進展や、度重なる災害(震災や台風など)への備えなどを重視したものと言え、遺伝看護専門看護師・災害看護認定看護師は早ければ今年(2017年)中にも誕生する見込みです。
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