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働き方改革に向け、1年かけて独自に「勤務医の働き方」などのデータ収集—日病・相澤会長

2017.6.27.(火)

医師も「罰則付きの時間外労働の上限設定」の対象となるが、医療の特殊性を踏まえて2年間かけて適用方法などを検討することになった。この議論に向けて、1年ほどかけて、日本病院会独自で、(1)医師の働き方についてのタイムスタディ(2)グループ診療制の課題や実現可能性(3)医師不足の状況—などを調査し、見える化を行っていく—。

日本病院会の相澤孝夫会長は、26日の定例記者会見でこのような方針を明らかにしました。こうしたデータを厚生労働省や四病院団体協議会、日本医師会などが参画するであろう協議の場に提示し、「エビデンス・データに基づく議論」をしていく考えを強調しています(関連記事はこちらこちら)。

6月26日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

6月26日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

「データに基づいた議論の必要性」を相澤会長は強調

罰則付き時間外労働の上限規制は、次のようなものです(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼上限について、▽2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の平均で、いずれも80時間以内▽単月では100時間未満―を満たさなければならないとし、原則を上回る特例の適用は年6回を上限とする

病院の勤務医も、例外とはならずこうした上限規制の対象となることが明確になっています。しかし、医師には【応召義務】などの特殊性を踏まえた対応が必要なことから、▼改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用する▼医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る—こととされています。

相澤会長は、「今後1年間で、ある程度の方向性をつけていかなければならないと思う。日病としての対応方針をきちんと決めていかなければならない」と強調し、日病独自に(1)勤務医の仕事内容の仕分けや、タイムスタディ(2)グループ診療制(3)病院の経営状況(4)医師の不足状況—などについて調査検討していく考えを明らかにしました。

まず(1)では、救急医療に限らず、医師には応召義務がありますが、「どのような場合に、どういった業務が医師に求められ、実際にどのように対応しているのか」が必ずしも明らかになっていません。今般の調査では、こうした点を「見える」化することが狙いです。相澤会長は「一般の方にも、医師の労働内容について納得してもらえるようなデータ、情報の整備をしたい」と述べています。

また(2)では、主治医制が一般国民にも受け入れられている我が国において、グループ制を導入する場合の課題、あるいは導入が成功している事例などを調査分析する考えです。相澤会長は、「我が国では、医師が患者との関係性を大切にし、信頼と絆を重視して医療を提供してきた。しかし、例えば家族の都合で夜間に説明をしなければならないというとき、信頼関係を構築できていない主治医以外の医師が説明することも難しく、主治医自身がすべて対応している。こういうケースも含めて実態がどうなっているのかを明らかにする必要がある」旨を説明しました。

さらに(3)は、超過勤務をする医師に残業代や特別手当を支払わなければならないとされたとき(実際にそうした事例が少なくない)、病院にとっても極めて大きな経済的負担が課されます。こうした点についても、具体的にどれだけの人件費増となるのかなど、医師の仕事内容を分析した上でシミュレーションしていくことになります。

また(4)は、例えば脳血管治療が必要な患者が発生した場合に、地方であれば専門医はわずかしかおらず、少ない専門医が一手に引き受けている状況があるでしょう。このような専門医の配置状況なども、医師の働き方に大きく関係するため、実態を詳しく調べる必要があります。

 
こうした点について相澤会長は、「データに基づいた議論」の必要性を強調し、まず日病独自に調査を行う考えを示しています。その際、「どういう医療を提供しているのか、特に救急医療をどう提供しているかで、大きな差が出るのではないだろうか。病院による体制の違いなどが、どのくらい超過勤務に影響するのか、なども見えてくると思う」と相澤会長は見通します。

罰則付きの時間外労働上限規制を初めとする働き方改革は、病院経営の根本を揺るがしかねない大きな問題です。改革によって病院経営が立ち行かなくなれば、地域の医療提供体制に穴があき、住民が不利益を被る可能性もでてきます。日病の調査結果はもちろん、その後、「医師への適用」についてどのような議論が行われるのか、医療関係者のみならず、一般国民も注目する必要があります。

 

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