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2019年12月から経腸栄養分野の新規格・旧規格製品が混在、医療・介護現場でトラブル防止策を―PMDA・厚労省

2019.8.8.(木)

 経腸栄養分野について、新規格製品が今年(2019年)12月以降に出荷されるため、当面の間、「新規格製品と旧規格製品とが混在する」状況となる。医療・介護現場ではトラブル防止に向けて、今から▼新規格製品への切り替え準備(リストやスケジュールの作成)▼新旧製品接続用の変換コネクタ準備―などを進めてほしい―。

 医薬品・医療機器総合機構(PMDA)は7月31日に医療安全情報No.58「誤接続防止コネクタの導入について(経腸栄養分野)」や「医療機関および介護施設での切替え業務のチェックリスト例」などを公表。厚生労働省も同日に、事務連絡「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えに関するPMDA医療安全情報の発行について」を発出し、こうした点について情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちら)。

2019年12月以降、経腸栄養分野について新旧規格製品が混在する状況に

医療現場では、各種のチューブやラインを患者に接続するため、例えば「経腸栄養剤を誤って血管内に注入してしまう」といった医療事故が発生しかねません。そこで、製品分野間の相互接続を防止するコネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ、以下「新規格」)の制定が進められています。

新規格では、ベッドサイドで起こりうるコネクタ接続を、(1)呼吸器システムおよび気体移送(2)経腸栄養(3)皮下注射および血管系等(4)神経麻酔(脊椎麻酔、硬膜外麻酔および神経ブロック)(5)四肢のカフ拡張(6)泌尿器—の6種類に分類し(現時点)、異なる種類間では相互接続できない(非嵌合性)ように形状を規定します(関連記事はこちらこちらこちら)。

この点に関連し、厚労省は(2)の経腸栄養分野の小口径コネクタ製品について、通知「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を発出。新規格製品と既存規格製品とが併存する中で、「機器を留置したまま施設を移る患者も少なくない」といった特性を踏まえ、接続できない事態を避けるため「接続用の変換コネクタ」を準備する必要がある旨を示していました。例えば、自施設では「新規格製品への全面切り替え」が完了したとしても、他施設から「旧規格製品を留置したまま」の患者が転院等してきた場合に備えて、「新旧製品を接続するための変換コネクタ」を準備しておくことが必要と考えられます(関連記事はこちら)。

経腸栄養分野の新規格製品は、今年(2019年)12月以降に供給が開始される見込み(昨年5月に日本工業規格改正)で、医療機関や介護施設では「新規製品への切り替え」準備や「接続用の変換コネクタ」準備を今から進めておく必要があります。

PMDAは、医療・介護現場での準備が円滑に進むよう次のようにポイントと留意点を提示しています。

▽経腸栄養分野において、既存規格製品(旧規格製品)の出荷は2021年11月末に終了。医療・介護現場では、▼切替え対象となる製品をリストアップし、各製品の販売開始時期を 製造販売業者等に確認する▼誤接続防止する観点から、対象となる製品を「一斉に切り替える」―ことが必要
経腸栄養分野の新旧規格製品に関する情報提供1 190731
 
▽施設を移動する患者に適切な医療等を提供する体制を整えるため、「新規格製品と旧規格製品を接続するためのコネクタ(変換コネクタ)を準備する」などの対応をとることが必要(変換コネクタは2種類あり、その取り扱いについて製造販売業者等に確認しておく)
経腸栄養分野の新旧規格製品に関する情報提供2 190731
 
▽新規格製品導入による混乱を避けるため、「適切な在庫管理」と「施設内関係者への情報共有」が重要となり、各施設で次のような対応を検討する必要がある

 ▼情報一元化のため、販売業者等との調整を行う担当部署と責任者(医療機器安全管理責任者等)を決定する
▼製品の切替えを漏れなく確実に行えるよう、分野ごとに対象となる製品リストを作成する
▼販売業者等に「切り替え開始時期・供給終了時期」などを確認し、施設内の切り替え方法やスケジュールを検討する
▼販売業者・担当部署(責任者)等に説明会などを依頼し、施設内関係者に周知する
▼接続不可能な製品の混在を防止するための製品保管方法を検討する

 
▽切り替え手順として、次を参考にする

 ▼事前の施設内周知徹底(自施設で切り替えが必要な医療機器や流動食の使用を、施設内SPD業者・納入業者と共に確認し、切り替え対象製品を使用している場合、施設内の関連委員会や調達部門、診療部門にその旨を周知徹底する)

▼切り替えの担当者・責任者を決定する

▼切り替え対象製品を調査し、「リスト」を作成する(使用状況や在庫、使用患者などの情報も詳しく)

▼切り替えスケジュールを作成する(施設全体および部署ごとに)

▼安全に切り替えるためのルールを作成し、準備する(切替え中に現使用製品と対策品が混在しないような「保管場所や表示の仕方などに関するルール」、「現使用製品と対策品を使用している患者の識別方法などに関するルール」、「他施設から転入する患者、他施設へ転出する患者に関するルール」など)

▼切り替えの実施

▼フォローアップ(旧規格製品の在庫がないか、旧規格製品を使用している患者がいないかを確認)
経腸栄養分野の新旧規格製品に関する情報提供4 190731

経腸栄養分野の新旧規格製品に関する情報提供3 190731
 
▽経管栄養をされるすべての患者・利用者、および介助者に対し、▼誤接続防止のために「接続部分の形状が変わる」こと▼対応の必要があるかないか、対応の必要がある場合にはどのような対応をとるのか(変換コネクタを利用するのか、新製品に切り替えるのか)―を丁寧に説明する
経腸栄養分野の新旧規格製品に関する情報提供5 190731
 
 
 前述のとおり、新規格製品は今年(2019年)12月以降に出荷されるため、そこから当面の間、「新規格製品と旧規格製品とが混在する」状況となります。医療・介護現場では、トラブルを避けるために、今からこうした準備を行う必要があります。

 
 
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