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GemMed塾 看護モニタリング

医療機器の誤接続防止のための新規格製品、既存規格製品と接続できないケースもある点に留意を—厚労省

2017.10.17.(火)

 ベッドサイドで医療機器を誤接続してしまう事故を防止するために国際的な新規格がスタートし、新規格製品と既存規格製品との接続が不可能なケースがある。この際、両者を接続する変換コネクタを利用すれば、接続してはならない機器同士の「誤接続」が生じかねないため、変換コネクタは原則して使用してはならない—。

 厚生労働省は10月4日に、こういった内容の通知「相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ)の導入について」を発出し、医療機器製造販売業者や医療機関、介護施設などに注意喚起しました(厚労省のサイトはこちら)。

新規格製品と既存規格製品とを接続する「変換コネクタ」は原則「使用不可」

 経腸栄養ラインを通じて内服投与される液剤を、誤って血管内に注入してしまう—。

こういった誤注入を防止する観点から、「内服投与する投与ライン」と「血管内に薬液を注入する輸液ライン」とのコネクタは物理的に接続できないような対応が図られてきています。

一方で、製品分野間の相互接続を防止するコネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ、以下「新規格」)の制定が進められています。新規格では、ベッドサイドで起こりうるコネクタ接続を▼呼吸器システムおよび気体移送▼経腸栄養▼皮下注射および血管系等▼神経麻酔(脊椎麻酔、硬膜外麻酔および神経ブロック)▼四肢のカフ拡張▼泌尿器—の6種類に分類し(現時点)、医療事故を防止するために相互を接続できない(非嵌合性)ように規定されます。

相互接続防止のため、ベッドサイドでのコネクタ接続を6種類に分類し、誤接続できないような形状とする

相互接続防止のため、ベッドサイドでのコネクタ接続を6種類に分類し、誤接続できないような形状とする

 
今後、新規格に基づく製品が順次販売されていきますが、その際、製品分野によっては「新規格製品と既存規格製品との間で接続できない」事態が生じかねません。例えば、新規格の経腸栄養ライン関連機器と既存規格の経腸栄養ライン関連機器との接続ができず両製品を同時に使用することができないケースが出てくる、といったイメージです。なお「皮下注射および血管系等」のコネクタについては、新規格製品となっても既存製品コネクタとの非嵌合は発生しません(当該コネクタを起点に誤接続防止が検討されたため)。

厚労省は、医療安全管理に関する懸念があるため、新規格製品導入にあたって、医療機器製造販売業者や医療機関、介護施設などにおいて、次の点に留意するよう注意喚起しています。とくに「変換コネクタを使用しない」という点は医療安全管理上、極めて重要と考えられます。

まず、製造販売業者(販売業者含む)などには、「市場における新規格製品と既存規格製品が相互で非嵌合(接続できない)となり医療現場で使用不能となるリスク」を検証し、切替えに関してあらかじめ医療機関など十分に調整し、必要な情報提供を行うことが求められます。自社の既存規格製品の「供給終了時期」についても、適時必要な情報提供を行うことが必要です。

医療機関や介護施設などでは、製造販売業者から十分な情報提供を受け、施設内の適切な在庫管理をはじめとした医療安全の確保を行うことが求められます。また、「既存規格製品と新規格製品を接続するためのコネクタ(変換コネクタ)」は誤接続を招く可能性があるため、「原則として使用しない」ことを徹底すべきでしょう。変換コネクタを用いた場合、接続してはならない製品同士の接続が可能となる事態も考えられ、そもそもの「誤接続防止」目的が達成できなくなってしまうからです。

なお変換コネクタがどうしても必要となるケースもある考えられますが、この場合には「必要に応じて、変換コネクタを限定的に使用する際の取扱い」が製品分野ごとに別途通知される見込みです。

 
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