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ブスルフェクス点滴静注、「悪性リンパ腫」における造血幹細胞移植の前治療へも保険診療で使用可能に―厚労省

2019.11.11.(月)

ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療等に用いる「ブスルファン」(販売名:ブスルフェクス点滴静注用60mg)について、新たに「悪性リンパ腫」における自家造血幹細胞移植の前治療に用いることを、保険診療上可能とする―。

厚生労働省は10月31日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明確にしました。同日から保険診療に組み入れられています(厚労省のサイトはこちら)。

「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスを考慮

かねてより、欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が我が国で保険診療において使用できないケースがあり、最新の医療技術へのアクセスが阻害されているのではないか、という「ドラッグ・ラグ」が問題視されています。

厚労省はドラッグ・ラグの解消に向けた取り組みを積極的に進めており、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっている医療上の必要性の高い医薬品について製薬メーカーに開発要請を行っています。また、未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革で新薬創出・未承認薬解消等促進加算を創設し、2018年度の薬価制度抜本改革では「制度化」を行いました。

さらに医療保険制度の中でドラッグ・ラグ解消に向けて強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会・総会で「適応外使用とされている医薬品について、薬事・食品衛生審議会の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険収載する」という特例ルールが創設されました。

保険診療では、安全性・有効性を確保するため、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません(仮に使用すれば自由診療となり、当該治療全体が全額患者負担となるのが原則)。「新たな傷病の治療に効果がある」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得ることが原則となります。安全性・有効性が確認されていない治療を、限られた公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

しかし、エビデンスの確保、審査などには相当の時間がかかります。したがって、この原則をあまりに厳格に適用すれば、「今まさに疾病と闘っている患者」が最新の医療技術(医薬品)にアクセスするチャンスが大きく阻害されてしまうのです(重篤な疾患であるほど、患者に酷な状況となる)。

そこで中医協は、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮して上記の特例ルールを創設。海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合には、必ず後に効能・効果追加が認められている、という実態に鑑みた特例ルールです。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となります(ドラッグ・ラグの短縮)。


 
今般、この特例ルールにより次の医薬品を、適応外の傷病治療に用いることが保険診療上、認められました。

◎ブスルファン(販売名:ブスルフェクス点滴静注用60mg)

▽現在認められている効能・効果
▼同種造血幹細胞移植の前治療▼ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療

▽今般、新たに認められた効能・効果
「悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療」

▽追記される用法・用量
他の抗悪性腫瘍剤と併用し、成人には下記A法またはB法を使用する。患者の状態により適宜減量する。
【成人A法】体重1㎏当たり0.8mgを、1回当たり2 時間かけて点滴静注する。本剤は6時間毎に1日4回、4日間投与する
【成人B法】体重1㎏当たり3.2mgを、1回当たり3時間かけて点滴静注する。本剤は1日1回、4日間投与する
 
 
 
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