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260122ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

食材費の高騰踏まえれば「入院における食事の患者負担」をさらに引き上げることはやむを得ない―社保審・医療保険部会(2)

2025.11.21.(金)

食材費の高騰を踏まえて2024年度・25年度と「食費の基準額」を引き上げたが、その後も食材費高騰が続いている点を踏まえて、2026年度にも「食費の基準額」をさらに引き上げてはどうか。その際、引き上げの仕方は「患者負担増」とすることが妥当ではないか—。

11月20日に開催された社会保障審議会・医療保険部会では、こうした議論も行われています(同日の2026年度診療報酬改定基本方針論議の記事はこちら)。同日には「出産費用の支援」「OTC類似薬の保険給付の在り方に関する患者団体からの意見聴取」なども議題となっており、別稿で報じます。

11月20日に開催された「第204回 社会保障審議会 医療保険部会」

入院時の食事療養費を2026年度も「患者負担分」について引き上げてはどうか

入院時の食事基準額については、食材費の高騰を踏まえて2024年度に基準額を「プラス30円」25年度に同じく「プラス20円」という形で引き上げが行われました。約30年ぶりの引き上げです。

入院時の食費の基準額(中医協総会(1)1 251107)



しかし、例えば「お米」に代表されるように、その後も「食料支出・消費者物価指数(CPI)」は増加を続けています。このため病院は「全面給食委託の約7割、一部給食委託の約5割の施設が委託事業者から値上げを要望され、対応せざるを得ない状況にある」など厳しい状況に置かれています。

食費はさらに高騰を続けている(入院・外来医療分科会(5)1 250821)

給食業務の状況(入院・外来医療分科会(5)2 250821)



また、光熱水費も高騰している中で、「入院時の光熱水費の基準額」(入院患者が一般所得者の場合は患者負担370円、保険給付28円、ただし2006年度から据え置き)をどう考えるべきか、という論点もあります。

入院時の光熱水費の概要(中医協総会(1)2 251107)



厚生労働省保険局医療課の林修一郎課長は、こうした状況に対してどう対応すべきか議論するよう医療保険部会に要請しました。

医療保険の運営者・費用負担者側の委員からは、例えば▼食材料費が高騰している。食事は入院患者以外でも摂るものであり、また制度上「食材料費と調理費は患者負担」とされている点を踏まえれば「患者負担の引き上げ」で。対応することはやむを得ないと考える。ただし2024・25・26年度と3年度連続の患者負担増となるため、それに見合った配慮(適切な食事提供など)が必要であろう。光熱水費の高騰を踏まえた基準額引き上げも、低所得者に配慮することを条件に了承する(佐野雅宏委員:健康保険組合連合会会長代理現場)▼物価上昇を踏まえれば、基準額の引き上げをせざるを得ない。かねてより「一般的な食事は医療保険給付外とすべき」と述べており、今回の基準額引き上げは「すべて患者負担」とすることが妥当だ(北川博康委員:全国健康保険協会理事長)▼食費・光熱水費の引き上げは理解できるが、患者の生活にどのような影響が出ているのかなどをきちんと見ていく必要がある。なお、入院時の食事は「治療、療養の一環」と説明されており、食費負担の在り方について一度、本質的な議論をすべきと考える(林鉄兵委員:日本労働組合総連合会副事務局長)▼「食費」は入院していなくとも生じる。低所得者への配慮は必要だが、物価・人件費の高騰を踏まえると患者負担増はやむを得ない。光熱水費も同様である(藤井隆太委員:日本商工会議所社会保障専門委員会委員)—などの声が出ています。

また診療側の委員からも、▼直近を見ると2024・25年度と2年度連続で食事の基準額を引き上げた。しかし、これでも物価高騰に追いつかない。入院時の食事には「栄養管理」という側面もあり、こうしたコストは「現在の基準額690円(1食)」を超えており、再度の基準額引き上げがひつようだ。光熱水費についても同様である(城守国斗委員:日本医師会常任理事)▼食材費が高騰しており、病院の給食部門の収支はマイナス(赤字)となっている。このためスタッフを減らす病院も一部にあるようだが、労働環境が悪化してしまう。患者負担の引き上げを再度お願いせざるを得ない。さもなければ食事の質が低下し、患者にも不幸な事態が起きかねない。光熱水費も高騰しており、ある程度の引き上げは致しかたない(島弘志委員:日本病院会副会長)—と、医療保険者サイドと同様の意見が出ています。



入院時の食事療養費は「食材費・調理費を患者負担とする」「栄養管理に係る部分を保険給付する」という構造になっています(医療機関はこの合計額を取得できる)。

こうした声や医療保険部会の声を踏まえると、入院時の食事について2024・25年度に続き、2026年度にも「患者負担の引き上げ」が行われそうです(中央社会保険医療協議会で「食事額全体の丈」を議論し、医療保険部会で「そのうちの患者負担の在り方」を議論する)。

なお「患者負担額をいくら引き上げるのか」については、年末の予算編成過程で決まることになると思われますが、2024年度の議論では、予算編成の前に中医協、医療保険部会に対し「30円の引き上げを行ってはどうか」との厚労省提案が行われています(関連記事はこちら)。2026年度に向けた議論では、どういった対応がとられるのか今後の動きを見守る必要があります。

入院時の食費の基準額(中医協総会(1)1 251107)

入院時の食事にかかる患者負担の「低所得者向けの配慮」をどう考えるべきか

ところで、この入院時の食事にかかる患者負担については「低所得者向けの配慮」がなされています。

現在の仕組みでは、入院時の食事基準額は「1食あたり690円」(これが医療機関の収益となる)で、うち510円(食材費、調理費部分)を患者が、180円(栄養管理部分)を医療保険が負担しています。

しかし、この患者負担部分は、▼住民税非課税世帯では240円▼住民税非課税世帯かつ 所得が一定基準に満たない70歳以上では110円—に軽減され、その分、医療保険からの給付が多くなっています(前者では450円、後者では580円、いずれも患者負担・医療保険給付の合計は「690円」となり、これが医療機関の収益となる)。

この「低所得者向けの配慮」措置について中村さやか委員(上智大学経済学部教授)は「自宅での食事であっても1食あたり110円、240円で賄うことはできず、『著しく低い』額に抑えられている。これでは『生活のために入院したほうが良いのではないか』と考える人が出かねない。患者自己負担部分について、一般的には『自宅で食事を摂る』場合に比べて特別に安くする必要はないと考える。食費を負担できないほど生活に困窮しているのであれば『所得補償』が必要であり、それは医療保険の役割とは異なる」と指摘しています。きわめて重要な視点であり、今後の検討テーマの1つになってくるかもしれません。



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物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、入院基本料の引き上げ・消費税補填点数の引き上げ・ベースアップ評価料の見直しなど必要—日病
物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、窮状を打破するため「診療報酬も含めた経営支援策」を急ぎ実施せよ—九都県市首脳会議
少子化の進展で医療人材確保は困難、「人員配置によらないプロセス・アウトカム評価の導入」を今から研究・検討せよ—日病協
物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、入院基本料の大幅引き上げ・人員配置によらないアウトカム評価の導入などが必要—日病協

社会保障関係費の伸びを「高齢化の範囲内に抑える」方針を継続し、外来管理加算や機能強化加算の整理など進めよ―財政審

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2026年度の次期診療報酬改定に向け「新たな地域医療構想、医師偏在対策、医療DX推進」なども踏まえた調査実施—入院・外来医療分科会

医療機関経営の窮状踏まえ、補助金対応・2026年度改定「前」の期中改定・2026年度改定での対応を検討せよ—6病院団体・日医
2024年度診療報酬改定後に医業赤字病院は69%、経常赤字病院は61.2%に増加、「物価・賃金の上昇」に対応できる病院診療報酬を—6病院団体