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251218ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

2026年度材料価格制度改革、小児用医療機器の開発促進を狙って「評価の充実」などを検討—中医協・材料部会

2025.10.17.(金)

2026年度の材料価格制度改革では、例えば「小児用医療機器の開発促進」に向けた評価の仕組み見直しを検討してはどうか—。

また優れた医療機器については「有用性系加算」での上乗せ評価を行っているが、現在の評価項目は、2026年度から「試行案」となっており、イノベーション評価充実のメッセージを示すために「明確化」(制度化)を図ってはどうか—。

10月15日に開催された中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会(以下、材料専門部会)で、こうした議論が行われました。材料専門部会では、今後「医療機器の安定供給」「内外価格差等の是正」等の議論も進めていきます(同日の中医協総会における条件・期限付き承認された再生医療等製品の保険適用ルール論議の記事はこちら)。なお同日には2026年度の費用対効果評価制度改革論議も行われており、別稿で報じます。

「保険適用に向けた議論の場」の明確化なども進める

2026年度には、保険医療材料価格制度改革(材料価格改定)も行われる予定で、これまでに▼イノベーションの評価▼プログラム医療機器の評価▼医療機器の安定供給▼内外価格差等の是正▼保険適用の手続き—などについて改善を図っていくことが確認されています(関連記事はこちらこちら)。

10月15日の材料部会では、このうち▼イノベーションの評価▼保険適用の手続き—について、厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の梅木和宣室長から具体的な論点が示されました。

まず前者のイノベーション評価に関しては、すでに「チャレンジ申請」制度改革などの議論が進んでおり、10月15日の会合ではさらに、次のような論点が示されています。

(1)特定保険医療材料の補正加算
●特定保険医療材料として評価する医療機器については、イノベーションの推進の観点等から、下表(緑色・橙色部分)の要件を満たす品目について材料価格基準への収載時に「有用性系加算」(画期性加算:50-100%、有用性加算:5-30%、改良加算:1-20%)を用いた評価が行われている

医療材料の加算区分(中医協材料部会1 251015)



(論点)
▽「有用性系加算」の評価項目は2016年度改革で導入されたが現在まで「試行案」として運用されているところ、イノベーションの推進の取り組みを周知する観点から「明確化」(制度化)してはどうか

▽ただし改良加算の▼ロ(類似材料に比べ「使用後の廃棄処分等が環境に及ぼす影響」が小さい)▼ト(構造等の工夫により、類似材料に比べ操作性等が向上し、患者にとって在宅での療養が安全かつ容易)▼チ(生物由来原料として用いた類似材料に比べ、全ての生物由来原料等を除いた場合で、かつ同等の機能を有する)は、該当品目がこれまでに登場しておらず、引き続き「試行案」として該当事例を待ちながら、項目の在り方を検討してはどうか

改良加算の中には「適用がまだなされていない」ものもある(ロ、ト、チ)1(中医協材料部会2 251015)

改良加算の中には「適用がまだなされていない」ものもある(ロ、ト、チ)2(中医協材料部会3 251015)



(2)新たな医療機器や体外診断用医薬品を用いた医療技術の評価
●保険医療材料等専門組織での審議対象となる新たな医療技術の技術料は、原則として「既存技術料の点数を準用」して評価している(性質に鑑みて「準用点数2倍、3倍‥」などの評価もある)

(論点)
▽▽本年度(2025年度)から「新技術の評価に関する研究」が行われており、その報告等を踏まえつつ以下の点を検討してはどうか
・新技術の評価方法について、「手術で用いられる医療機器」「検査で用いられる医療機器」「体外診断用医薬品」などの類型化をして検討してはどうか
・新技術の評価においては、重複評価を避けるため「特定保険医療材料として評価すべき項目」と「技術料として評価すべき項目」の整理が必要ではないか
・新技術の評価について、保険医療材料等専門組織と医療技術評価分科会の間で齟齬がないようにすべきではないか



(3)小児用医療機器の評価
●小児用医療機器には「対象患者数が少ない」「患者の成長とともに使用するサイズが変わる」などの特性があり、「機能区分の細分化」などで個別対応を行ってきている
●「輸入原価の内訳に関する資料」が提出され、当該新規収載品の属する新規機能区分の基準材料価格が「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会ニーズ検討会における検討結果を踏まえ厚生労働省の開発要請・公募に応じて開発されたものでは、外国平均価格の0.8倍以下」・「それ以外のものでは、外国平均価格の0.5倍以下」である場合には、原価計算方式による算定を可能としている

(論点)
▽小児用医療機器について、機能区分の細分化(例:成人用と機能区分を分けるなど)を引き続き行ってはどうか

▽「当該新規収載品の属する新規機能区分の基準材料価格が外国平均価格の0.8倍以下」となる場合は、原価計算方式による算定を可能としてはどうか(上記基準の緩和)

機能区分の細分化によって高い評価を行った小児用医療機器の例(中医協材料部会4 251015)



(4)希少疾病等の検査に用いる体外診断用医薬品
【予想年間算定回数に基づく係数評価の対象】

2024年度材料価格制度改革で、「希少疾病等の検査に用いるものとして配慮が必要な体外診断用医薬品」の技術料について「予想年間算定回数に基づく係数」(希少疾病等技術料係数)による評価を新設した
●この評価の対象は、「薬機法に基づき希少疾病用体外診断用医薬品として指定された体外診断用医薬品」「想定される検査回数が少ない医薬品の適応判定に用いる体外診断用医薬品」に限定され、「再生医療等製品の適応判定に用いる検査」は対象外である

気象疾病などの検査に用いる体外診断用医薬品の技術料設定(中医協材料部会5 251015)



(論点)
▽「想定される検査回数が少ない再生医療等製品の適応判定の補助に必要な検査」も、評価の対象に加えてはどうか



【予想年間算定回数に基づく係数評価の方法】
●新たに保険適用される希少疾病等技術料係数の適応となる体外診断用医薬品について、「既に希少疾病等技術料係数により評価された体外診断用医薬品の点数を準用」する場合には、希少性について重複して評価されることが想定される

(論点)
▽新たに希少疾病等技術料係数による評価を行う体外診断用医薬品の技術料について、「既に希少疾病等技術料係数により希少性を評価された体外診断用医薬品の点数を準用」する場合は、「希少性についての評価を除いて準用」してはどうか

気象疾病などの検査に用いる体外診断用医薬品の評価改善案1(中医協材料部会6 251015)



▽「希少疾病等技術料係数による評価を受けた体外診断用医薬品」の技術料の見直しにおいて、参照する準用技術料は「当該技術料のうち、希少性についての評価を除いた部分(保険収載時の準用技術料の点数)」としてはどうか

気象疾病などの検査に用いる体外診断用医薬品の評価改善案2(中医協材料部会7 251015)



(5)体外診断用医薬品の評価基準
「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療養担当規則)では「各種の検査は、診療上必要があると認められる場合に行う」とされ、「体外診断用医薬品の保険適用に関する取扱いについて」は、体外診断用医薬品の保険適用に係る区分を以下のように設定している
・E1(既存項目):測定項目、測定方法とも既存の品目
・E2(既存項目・変更あり):測定項目は新しくないが、測定方法等が新しい品目でE3(新項目、改良項目)に該当しないもの
・E3(新項目、改良項目):測定項目が新しい品目、または技術改良等により臨床的意義、利便性の向上等を伴う既存測定項目
・F:保険診療上の有用性に関し、明確な立証があったと認められないもの

(論点)
▽メーカーがE3(新項目、改良項目)による保険適用を希望する体外診断用医薬品について、以下のいずれかに該当すると保険医療材料等専門組織が判断した場合には「F区分」としてはどうか
・臨床上の位置づけ(対象患者、実施時期)が不明確な場合(例:対象患者が明確でなく、スクリーニング検査として実施することが想定される場合)
・臨床上の位置づけに応じた性能を有していない場合(例:確定診断に用いるとした体外診断用医薬品の特異度が低く、確定診断が困難であると認められる場合)
・「当該検査の結果により治療が変化する」などの臨床上の有用性が示されない場合(例:検査結果に関わらず同じ診断、治療を行う場合)

体外診断用医薬品の評価基準案(中医協材料部会8 251015)



こうした論点・見直し方向に異論・反論は出ていませんが、中医協委員から▼改良加算で対象がいまだにゼロの項目は基準、運用、解釈に問題があると考えられる。必要な見直しを検討すべき。「特定保険医療材料として評価すべき新規技術項目」と「技術料として価すべき新規技術項目」との区分けは重要である。小児用医療機器は開発促進に向けて積極的に評価していくべき。また物価高騰・円安が続く中で「材料価格」をどう考えていくかも重要な論点である(診療側の茂松茂人委員:日本医師会副会長)▼小児用医療機器は、使用患者が少ないため「採算が合わない」という問題がある。メーカーの意見も踏まえて対応を検討すべき(診療側の森昌平委員:日本薬剤師会副会長)▼改良加算で対象がいまだにゼロの項目は、事例を待つだけでなく、基準などの妥当性研究を進めるべき。小児用医療機器の評価見直しは良いが、現行の仕組みと大きくかけ離れないように留意すべき(松本真人委員:健康保険組合連合会理事)—といった注文が付いています。



他方「保険適用の手続き」に関しては、次のような論点が梅木医療技術評価推進室長から示されています。

画期的な医療技術・医療機器等の評価のため幅広い提案を受け付け、既存技術や医療提供体制のあり方などを踏まえて適切な評価を行う観点から、「保険適用希望内容のうち全部または一部について、具体的な技術料の設定や見直しに当たって『分野横断的な幅広い観点からの評価』『他の既存技術に対する評価の見直し』があわせて必要な場合等は、医療技術評価分科会での審議を求めることができる」とされた。具体例として、▼類似既存技術に対する評価との整合性の観点から、当該既存技術に対する評価を同時に見直す必要があるもの▼医療提供体制(オンライン診療、在宅医療等)のあり方について検討が必要なもの(「在宅療養指導管理料」に新たな技術料を設定するものを含む)—があげられている

医療技術評価分科会での検討を要する技術(2024年度材料価格制度改革)(中医協材料部会9 251015)



(論点)
▽「新たな技術料の設定や技術料の見直しに当たり、分野横断的な幅広い観点からの評価や他の既存技術に対する評価の見直しがあわせて必要と考えられる場合」の例示を次のように見直してはどうか(情報通信機器を用いた診療を含めた制度や指導管理料、基本診療料等に係るもの等であって、医療技術評価分科会での評価対象とならない場合は、必要に応じて総会での議論を検討する)
・類似する既存技術に対する評価との整合性の観点から、当該既存技術に対する評価を同時に見直す必要があるもの
・保険適用されていない医療技術(基本診療料等で包括的に評価されている医療技術を除く)を実施する目的で使用する医療機器等(プログラム医療機器を含む)
・オンライン診療での実施に係る技術料がない医療技術(基本診療料等で包括的に評価されている医療技術を除く)をオンライン診療で実施することを目的とする医療機器等
・複数分野で使用される医療機器等を用いた技術であり、分野毎に異なる診療報酬点数が算定されるもの
・管理料(医学管理料、在宅療養指導管理料等を含む)の新設についての審議が必要なもの



●「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養等の一部を改正する告示」(厚労省サイトはこちらこちら)では、医療技術評価分科会での審議の対象となった医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品は「保険適用を希望した日から起算して2年以内に限り評価療養として実施することができる」としている
→保険適用希望中の医療機器等は保険外であり、原則に照らせば「保険診療の中で当該機器等を使用すれば、すべての医療が全額自費」となるが、本規定により「保険診療」と「保険外診療」(当該保険適用希望中の医療機器等)を併用することが2年間に限り可能となる

(論点)
▽例えば「診療報酬改定前年度の12月頃に保険適用を希望した医療機器等では、直近の診療報酬改定において医療技術評価分科会での審議が困難であり、その次の診療報酬改定に係る医療技術評価分科会で審議するため、2年を経過しても保険適用されない」こともあるため、評価療養の期間を「直近の診療報酬改定の次の診療報酬改定での保険適用を想定した期間」に改めてはどうか



こうした論点・見直し方向にも異論・反論は出ておらず、中医協委員から「適切な対応」を求める声が出ています。



委員意見も参考に、さらに2026年度材料価格制度改革の内容を詰めていきます。



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社会保障関係費の伸びを「高齢化の範囲内に抑える」方針を継続し、外来管理加算や機能強化加算の整理など進めよ―財政審

ICTで在宅患者情報連携進める在宅医療情報連携加算の取得は低調、訪看療養費1の障壁は同一建物患者割合70%未満要件—中医協(2)
2026年度診療報酬改定、診療側は「診療報酬の大幅引き上げによる病院等経営維持」を強く求めるが、支払側は慎重姿勢—中医協総会(1)
2026年度の次期診療報酬改定に向け「外科医療の状況」「退院支援の状況」「医療・介護連携の状況」などを詳しく調査—入院・外来医療分科会
リフィル処方箋の利活用は極めて低調、バイオシミラーの患者認知度も低い、医師・薬剤師からの丁寧な説明が重要—中医協(2)
2026年度診療報酬改定、物価急騰等により医療機関経営が窮迫するなど従前の改定時とは状況が大きく異なる—中医協総会(1)
2026年度の次期診療報酬改定に向け「新たな地域医療構想、医師偏在対策、医療DX推進」なども踏まえた調査実施—入院・外来医療分科会

医療機関経営の窮状踏まえ、補助金対応・2026年度改定「前」の期中改定・2026年度改定での対応を検討せよ—6病院団体・日医
2024年度診療報酬改定後に医業赤字病院は69%、経常赤字病院は61.2%に増加、「物価・賃金の上昇」に対応できる病院診療報酬を—6病院団体