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2026年度診療報酬改定、内科症例の看護必要度評価の見直し、地域包括医療病棟の施設基準緩和などを実施せよ—日病協

2025.7.22.(火)

内科症例では、重症度、医療・看護必要度の評価結果が「低くなりがち」である点を踏まえた対応を検討すべきである—。

地域包括医療病棟について、より積極的に取得でき、結果「多くの高齢救急・急性期患者受け入れ」が可能となるような施設基準への見直しを行うべきである—。

日本病院団体協議会が7月16日、福岡資麿厚生労働大臣に宛てて、こうした内容を盛り込んだ「令和7年度(2026年度)診療報酬改定に係る要望書【第2報】」を提出しました(厚生労働省保険局医療課の林修一郎課長が代理受領、日本病院会のサイトはこちら)(第1報の記事はこちら)。

7月16日に日病協幹部が2026年度診療報酬改定に向けた要望書(第2報)を提出。向かって左から、津留英智・全日本病院協会常任理事)、望月泉・日病協議長(会長全国自治体病院協議会会長)、林修一郎・厚生労働省保険局医療課長、神野正博・日病協副議長(全日本病院協会会長)(敬称略)

物価高騰・円安によって「医療材料の購入価格が急騰している」点への対応も検討せよ

日本病院団体協議会は、日本病院会、全日本病院協会、全国自治体病院協議会など15の病院団体で構成される組織で、主に「診療報酬改定に向けて病院団体の意見をすり合わせ、共同提案・要望を行う」などの活動をしています(もちろん、診療報酬以外の医療の諸課題についても議論を行っている)。

2026年度には診療報酬改定が予定され、すでに中央社会保険医療協議会などで精力的な議論が行われています。日病協では、こうした議論に向けて、すでに総論的な「第1報」の要望を行っており、今般、より具体的な「第2報」の要望を行いました。

要望項目は次の13点です。診療報酬に付随する内容の要望も含まれています。
(1)重症度、医療・看護必要度における「内科系」急性期患者の適切な評価
(2)高齢急性期患者の受け入れに適切に機能する地域包括医療病棟の見直し
(3)介護専門職(介護福祉士)配置、介護を行う看護補助者のさらなる評価と配置要件の拡大
(4)精神病床における身体疾患やリハビリ、権利擁護等への対応に係る医療資源投入への適切な評価
(5)ベースアップ評価料の適切な見直しと、全職種への対象拡大
(6)在宅救急患者の受け入れと下り搬送受け入れ側に関する包括期・慢性期医療への評価
(7)地域医療体制確保加算の要件見直し(救急車1000台以上でも取得可へ)
(8)医師事務作業補助体制加算の評価充実
(9)医療DXの実質を反映するさらなる評価
(10)医師の働き方改革に係る「宿日直基準」の取り扱いと、特定集中治療室管理料の医師要件緩和
(11)内視鏡手術支援機器を用いる手術・ロボット支援下手術の評価
(12)加算として取り扱われる医療材料等の評価見直し
(13)高額医薬品管理料の創設



まず(1)は、「内科系の症例において、重症度、医療・看護必要度の評価結果が低くなりがちである」点を踏まえた評価の見直しを求めています。内科系学会社会保険連合でも、かねてより問題視しており、中央社会保険医療協議会の下部組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」でも議題に上がっているテーマであり、今後の議論の行方に注目が集まります。



また(2)は、2024年度の前回診療報酬改定で新設された【地域包括医療病棟】について「施設基準が厳しすぎる、急性期1(7対1)からの受け皿に偏った施設基準である」と指摘し、「より積極的に高齢の救急・急性期患者を受け入れることが可能になる」ような施設基準への見直しを求めています(関連記事はこちら)。



他方(5)では、大企業が「5%」程度の賃上げを進める中で、医療人材が一般企業に流出することのないよう「評価の引き上げ」を行うとともに、すべての職種の賃上げにベースアップ評価料を支弁できるようすることを求めています(関連記事はこちら)。



また(6)では、在宅療養する「多くの疾患を抱えるマルチモビリティ高齢患者」が急変した場合に、高次の救急病院ではなく、「いわゆる包括期・慢性期の病棟での直接受け入れ」を推進することで、高次救急病院の負担を軽減し、また高齢患者のADL低下を防ぐことを目指すべきと進言しています。

あわせて、高次救急病院と地域の一般病院が日頃から「連携関係」を構築しておき、高次救急病院に搬送された患者について「連携する一般病院でも十分対応可能」と判断された場合に「転院搬送」することを新たに評価する【救急患者連携搬送料】について、現在の「搬送元である高次救急病院」サイドの評価に加えて、「搬送先・受け入れ先である一般病院」サイドの評価も検討することを求めています(関連記事はこちら)。



さらに(7)では、救急病院での医師働き方改革を評価する【地域医療体制確保加算】について、より広範な病院での取得が可能となるよう「救急搬送受け入れ件数2000件以上」要件を「同1000件以上」に緩和することなどを求めました(関連記事はこちら)。



他方(10)では、2024年度診療報酬改定で「ICUに常時勤務する専任医師が『宿日直許可』を取得している」場合の特定集中治療室管理料5・6について、「大幅減収になってしまう」点を踏まえた評価の見直し(点数引き上げなど)を行うよう求めています(関連記事はこちら)。



また(11)では「ロボット支援手術等の施設基準(年間実施件数要件など)の緩和」を、(12)では「物価高騰・円安等で医療材料の購入価格も高騰している点に対応できる仕組みの創設」を、さらに(13)では「医療機関の負担も大きくなる超高額医薬品(患者都合による投与中止の場合には、当該費用の償還を受けられない)の管理料創設」を要望しています(関連記事はこちら)。



今後の2026年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会等の議論に注目が集まります。



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