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入院時の食事基準額引き上げ後も物価・人件費高騰が続き、病院給食提供の継続が非常に難しい事態に陥っている―四病協

2025.8.25.(月)

入院時の食事基準額が2024・25年度に引き上げられたが、その後も物価・人件費高騰が続き、病院給食提供の継続が非常に難しい事態に陥っている。さらなる患者負担増に関して国民の理解も得ながら、対応を検討していくべきである—。

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)の総合部会でこうした議論が行われたことが、全日本病院協会の神野正弘会長殻報告されました。

医師働き方改革で「医師派遣のストップ」が一部に生じており、地域医療確保に懸念も

Gem Medで報じているとおり、2026年度の次期診療報酬改定に向けた議論が、中央社会保険医療協議会や入院・外来医療分科会などで進められています(関連記事はこちら)。

こうした議論が進む中、医療現場からは重要論点の1つとして「入院時の食費」見直しを求める声が増えてきています。

入院時の食費については、2024年度に基準額を「プラス30円」、25年度に同じく「プラス20円」という形で引き上げが行われました(関連記事はこちら)。物価の高騰を踏まえた30年ぶりの引き上げです。

しかし、引き上げ後にも物価の高騰が続き、さらに人件費の高騰も進んでいます。こうした中で医療現場では、「自前で食事提供を行う場合には、依然として赤字が続いている」「給食会社に委託する場合には、年に何度も委託費の引き上げ要望がなされ、応じるほかない」という極めて厳しい状況にあるとの悲鳴が出ています。

2026年度にも「さらなる食費基準額の引き上げ」が検討されると思われますが、この点について病院団体幹部の間では「これまで『患者負担増を伴わない形での食事基準額引き上げ』を求めてきた)が、そろそろこの考えを改めるべきではないか。介護保険では食費は利用者負担である(低所得者には支援措置「補足給付」あり)。国民にも身近な問題としてこの点を考えてもらうためにポスター作製などを近く行う」点で一致しました。

上述の2024年度・25年度の食事基準額引き上げも「基本的に患者負担増」(低所得者では引き上げ額を抑えている)で財源が賄われており、2026年度にも「食事の患者負担増」の視点も持った見直しが検討されそうです。

この点、「入院していてもしていなくとも食事は摂る」「自宅等での食事では物価高騰などを患者自身で吸収している」などの点を踏まえれば、「食事の患者負担増」には相当程度の合理性があると考えることができそうです。

今後の議論に要注目です。



このほか8月20日の四病協総合部会では、次のような点も固められています。

▽医療法人・社会医療法人などについても、株式会社と同様に「代表者の住所等の個人情報は非表示とする」ことを法務省に要望する

▽新たな地域医療構想における「高齢者救急・地域急性期機能」(高齢者をはじめとした救急搬送を受け入れるとともに、必要に応じて専門病院や施設等と協力・連携しながら、入院早期からのリハビリテーション・退院調整等を行い、早期の退院につなげ、退院後のリハビリテーション等の提供を確保する機能)については、「地域の実情に応じた幅をもった報告のあり方(基準等)を設定する」とされているが、救急搬送受け入れや全身麻酔手術件数等の厳しい基準が盛り込まれれば、「内科救急患者の受け入れ」などが難しくなることも考えられ、「柔軟で幅広い基準」とすべきと考える

▽医療現場にとって極めて重要な医療DXの推進、医師偏在の是正などのために「医療法改正案」の早期成立を期待する



さらに医師働き方改革)に関して会員病院(日病、全日病、医法協、日精協の会員病院)にアンケート調査を行ったところ(5149施設の17%が回答)、7.6%の病院が「医師派遣の中止、減員」を、6.4%の病院が「派遣医師の賃金引き上げ」を、派遣元病院(大学病院等)から要請されており、対応に苦慮している状況も報告されています。神野全日病会長は「ショッキングな結果だ、医師働き方改革の負の面も現れてきている」とコメントしています。

大学病院等からの「医師派遣の中止」などが拡大すれば、地域医療提供体制にも問題が出てきます。一方、大学病院等サイドにも「医師派遣を行う余裕がなくなってきている」という面もあります。今後、状況をしっかり確認することが重要でしょう。



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