都内病院の経営状況は一層深刻、「10％のプラス診療報酬改定」「物価・人件費急騰に対応する仕組み」「緊急財政支援」が必須―東京都

2025.11.19.（水）

病院の経営状況は非常に厳しいが、東京都ではその傾向が顕著である。2026年度の診療報酬改定は「10％のプラス改定」とするとともに、「物価・人件費急騰に対応する仕組みの導入」「それが実現するまでの緊急財政支援」が必須である―。

東京都は11月12日、上野賢一郎厚生労働大臣に宛ててこうした要望を行いました（都サイトはこちら）。

都内は物価・人件費が高く、材料を多く使う急性期病院が多い

Gem Medで繰り返し報じているとおり、病院の経営状況が非常に厳しくなっており、その背景には「物価や人件費の高騰」が大きく影響しています。病院の収益は上がっているものの、物価・人件費の高騰により、それを上回って支出が増加し、結果「利益の減少」につながっているのです（増収減益）。

また都は「都内病院では経営の厳しさが際立っている」と指摘し、次のような調査結果も示しました。

▽都内病院を対象とした都の調査によると、2024年度は都内病院の67.9％が医業赤字で、2019年度の50.4％から増加している

▽都内病院の「100 床あたり医業費用」は、2019年度から24年度にかけて「13.6％増」となり、医業収益の増加率「10.7％」を上回っている（物価高騰等による費用増加＞収益の増加）

▽都の調査によれば、2023年度における都内一般病院の医業利益率は「マイナス9.6％」で、全国平均の「マイナス2.3％」に比べて大幅に低い

▽都内の民間一般病院における「100床当たり医業費用」は全国と比べ1.6倍で、特に材料費は約2.4倍、給与費は約1.4倍となっており、大都市の物価・人件費水準の高さが医業費用の高さに影響していることは明らか

▽都は、材料費や医療機器等への設備投資が大きい高度急性期や急性期の病床を有する病院が多く、全国に比べ物価高騰の影響が顕著に表れている

こうした状況に対応するために、都は「約10％の診療報酬プラス改定が必要である」と強く訴えています。

あわせて、現在の診療報酬には▼2年に一度しか行われない▼本体部分の改定率は1％未満にとどまっている―ために「物価高騰や医業費用の増加ペースに追い付いていない」とし、「物価や賃金の上昇を速やかに診療報酬に反映させる仕組みの導入」「そうした仕組みが導入されるまでの間も地域医療を確保するため、機動的な財政支援策が必要」とも強く要望しました。

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効率的で質の高い入院医療提供のため、「病院・病床の機能分化、集約化」だけでなく「病院経営の維持」を実現せよ―中医協総会（1）
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2026年度診療報酬改定、内科症例の看護必要度評価の見直し、地域包括医療病棟の施設基準緩和などを実施せよ—日病協
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2024年度の自治体病院決算は85％が経常赤字、95％が医業赤字の異常事態、診療報酬の大幅引き上げが必要—全自病・望月会長
地域包括医療病棟と急性期２－５のケアミクス、「内科が不利にならない」ような配慮等をどう考えるか―入院・外来医療分科会（1）
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「小規模なケアミクス病院のDPC参加」「特定病院群では急性期充実体制加算などの取得病院が多い」点をどう考える―入院・外来医療分科会（2）
新たな地域医療構想で検討されている「急性期拠点病院」、診療報酬との紐づけなどをどう考えていくべきか―入院・外来医療分科会（1）

物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、入院基本料の引き上げ・消費税補填点数の引き上げ・ベースアップ評価料の見直しなど必要—日病
物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、窮状を打破するため「診療報酬も含めた経営支援策」を急ぎ実施せよ—九都県市首脳会議
少子化の進展で医療人材確保は困難、「人員配置によらないプロセス・アウトカム評価の導入」を今から研究・検討せよ—日病協
物価・人件費等の急騰で病院経営は危機、入院基本料の大幅引き上げ・人員配置によらないアウトカム評価の導入などが必要—日病協

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