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高度型がん拠点病院、実績ナンバー1項目が最低1つ必要、IMRT実績の要件化を将来検討―がん拠点病院指定検討会(2)

2020.2.20.(木)

高度型の地域がん診療連携拠点病院に指定されるためには、「同一医療圏内における地域がん診療連携拠点病院の中で、診療実績がトップである」ことが必要である。また、当面は「核医学治療の実績があれば、IMRT(強度変調放射線療法)実績がなくとも良い」こととするが、今後、「指定要件の在り方」をどう考えるか、検討していく必要がある―。

2月19日に開催された「「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった点が確認されました。

2月19日に開催された、「第16回 がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」

高度型の指定には、診療実績で最低1つは「地域ナンバー1」の項目が必要

2月19日の検討会では、今春(2020年4月)からのがん診療連携拠点病院等の指定審議が行われました。審議結果についてはすでにGem Medでお伝えしており、本稿では、審議の内容について焦点を合わせます。

がん診療連携拠点病院等に新規指定されるには「要件をすべて満たしている」ことが求められます。ただし、昨春(2019年3月)の指定時には「既存病院に関しては『経過措置項目(専従の放射線常勤医の配置、緩和ケアの診療実績など)のみを満たさない場合』に限っては、期間を短縮(通常4年だが、1年または2年に短縮)した指定を可能とする」ことになりました(関連記事はこちら)。

今回の指定でも同様で、次のようなロジックで指定が行われました。

【新規指定】
▽要件をすべて満たしていれば「3年間」の指定を行う(期間満了時点は昨春分(2019年4月から4年間)と同じとなる)
▽要件を1つでも満たしていなければ「指定は不可」となる

【更新指定】
▽要件をすべて満たしていれば「3年間」の指定を行う(期間満了時点は昨春分(2019年4月から4年間)と同じとなる)
▽要件未充足だが、既指定病院を対象とした経過措置項目(専従・常勤の放射線治療医師配置)のみが未充足の場合には「1年間」の指定を行う
▽要件未充足だが、その内容が「施設改修による」「放射線機器の入れ替えによる」「2020年3月までに充足が確認できる(例えば、スタッフが「院内がん登録中級認定試験」に合格し、認定者を確保できるなど)」場合には、「1年間」の指定を行う
▽要件未充足で、上記に該当しない場合、地域がん診療連携拠点病院では「特例型」とし、地域がん診療病院では「指定不可」とする

がん診療連携拠点病院等の指定方針(がん拠点病院指定検討会2(2) 200219)

がん診療連携拠点病院等の指定年限(がん拠点病院指定検討会2(4) 200219)



まず、「高度型」の地域がん診療連携拠点病院の指定について見てみましょう。高度型に指定されるためには、地域がん診療連携拠点病院の指定要件をすべて満たすとともに、次のような要件を満たすことが求められます。
(1)地域がん診療連携拠点病院に求められる「望ましい」要件(手術部位感染に関するサーベイランス実施、緩和ケアチームと各部署をつなぐリンクナースの配置など)を複数満たす
(2)同一医療圏に複数の地域がん診療連携拠点病院がある場合、▼院内がん登録数▼悪性腫瘍の手術件数▼がん薬物療法延べ患者数▼放射線治療延べ患者数▼緩和ケアチームの新規介入患者数―の診療実績が当該医療圏で最も優れている
(3)IMRT(強度変調放射線療法)や核医学治療等の高度な放射線治療を提供できる
(4)緩和ケアセンターに準じた緩和ケア提供体制を整備している
(5)相談支援センターに看護師や社会福祉士、精神保健福祉士等を配置し、相談支援業務を強化している
(6)医療に係る安全管理体制について「第三者評価」を受審している、あるいは「外部委員を含めた医療安全監査委員会」を整備している

2月19日の検討会では、このうち(2)と(3)の要件規定に絡んだ議論が行われました。

まず(2)の「地域ナンバー1実績」をどう考えるかです。院内がん登録やがん手術など5項目すべての実績がすべてトップであれば「地域ナンバー1」であることに疑いはありませんが、「ある項目はトップだが、別の項目は2位以下」「トップ項目が1つもないが、総合して考えればトップレベルである」などのケースが問題になります。

今回、東京医科歯科大学病院について高度型の申請が行われましたが、▼院内がん登録数:7病院中7位▼悪性腫瘍の手術件数:同4位▼がん薬物療法延べ患者数:同2位▼放射線治療延べ患者数:同4位▼緩和ケアチームの新規介入患者数:同4位―という状況でした。この点、検討会の藤也寸志座長(国立病院機構九州がんセンター院長)は「昨春(2019年3月)に高度型に指定した14病院では、少なくとも1項目はトップであった」と指摘。構成員からも「1項目もトップではないので高度型に手上げをしない、と考える病院があると思われ、公平性が確保できなくなってしまう」との考えも出され、高度型への指定は見送られました(一般型の地域がん診療連携拠点病院となる)。

当面(要件見直しまで)は「少なくとも1項目はトップでなければならない」との解釈が継続されることになります。

IMRTは国際的には一般的な治療法、将来「高度型で必須の要件とするか」を検討

また(3)は「IMRTを実施しておらずとも、核医学治療実績があれば良いか」が論点となりました。具体的には、▼石巻赤十字病院(宮城県、新規に高度型に申請)▼日本海総合病院(山形県、新規に高度型に申請)▼姫路赤十字病院(兵庫県、高度型に既指定)▼佐賀県医療センター好生館(佐賀県、高度型に既指定)▼鹿児島市立病院(鹿児島県、新規に高度型に申請)―の5病院において「核医学治療実績があるが、IMRT実績はない」状況です。

この点、「指定要件では、『IMRT or 核医学治療』の実績を求めている」「昨春(2019年3月)時点の指定でも『核医学治療実績』を勘案しており、継続性を考慮する必要がある」ことを踏まえ、当面は「IMRTを実施しておらずとも、核医学治療実績があれば良い」こととして高度型への指定を行うことになりました。

ただし、放射線腫瘍治療の専門家である唐澤久美子構成員(東京女子医科大学医学部長)は、「国際的に見てIMRTは既に一般的な治療法となっている。核医学治療は適応が狭く、患者全般に『高度な放射線治療が行える』とは言い難い面もある。高度ながん治療提供という視点からすればIMRT実績は必須と考える」との指摘もあり、今後、がん診療連携拠点病院の指定要件見直し論議の際に重視されることとなるでしょう。

結果として、▼石巻赤十字病院▼佐賀県医療センター好生館▼鹿児島市立病院―の3病院も高度型に指定され、既存の14施設、新規申請でIMRT実績のある30施設、と合わせて2020年4月から高度型は47施設となります。

要件を一部満たさない「特例型がん拠点病院」、最終的に15施設程度になる可能性

また、2020年度から、要件の一部を満たさない「特例型の地域がん診療連携拠点病院」が出現する点が注目されます。

ただし、▼経過措置項目(専従の放射線常勤医の配置)▼「施設改修による」「放射線機器の入れ替えによる」「2020年3月までに充足が確認できる(例えば、スタッフが「院内がん登録中級認定試験」に合格し、認定者を確保できるなど)」ための要件未充足―については考慮されず(これらのケースで要件未充足の場合には、1年間、一般型の地域がん診療連携拠点病院として指定される)、その他の要件について一部を満たさない場合に「特例型の地域がん診療連携拠点病院」と指定されます。なお、地域がん診療病院においては、要件未充足の場合には指定が受けられません(特例型というカテゴリがそもそも存在しない)。

がん診療連携拠点病院等の要件における経過措置項目(がん拠点病院指定検討会2(1) 200219)



今回、特例型として指定される病院は29施設あり、指定期間が1年間(2020年4月1日から2021年3月31日までとなる見込み)となります。この1年間の間に「要件充足に向けた取り組み」を行うことが求められます。厚生労働省健康局がん・疾病対策課の丸山慧・がん対策推進官は、「がん診療連携拠点病院等には毎年9月1日時点の現況報告を求めており、その時点で要件を充足してもらうことが考えられる」とコメントしており、2020年9月時点で要件未充足が解消されていない場合には、来春(2021年春)の検討会で「指定取り消し」の検討も行われます(「指定取り消し」「取り消し勧告」「指定類型の見直し(例えば地域がん診療病院に変更するなど)」を検討する)。

要件未充足がある場合の取り扱い(がん拠点病院指定検討会2(3) 200219)



なお、29施設の中には「院内がん登録の中級認定者が確保できていないが、スタッフが認定試験を受験しており、この3月(2020年3月)に合格判定が得られれば、2019年度内に要件を充足できる」病院が3施設含まれています(▼市立旭川病院(北海道)▼さいたま市立病院(埼玉県)▼国立病院機構福岡東医療センター(福岡県)―)。これら3病院については「この3月(2020年3月)にスタッフが認定試験に合格していれば『要件が充足された』と判断され、一般型の地域がん診療連携拠点病院に更新指定する」取り扱いとなります。

さらに、29施設のうち「2019年度中には無理だが、2020年4月、5月には指定要件をすべて満たせる目途が立っている」施設が10病院程度あります。これらについては、この6月(2019年6月)に検討会で、いわば「再審査」を行い、「要件が満たされれば、特例型から一般型への移行(指定見直し)を認める」こととなりました。再審査は基本的に「書面審査」で行われ、一般型への移行がどの時点となるのかは再審査の中で決定されます(2019年指定では7月1日からの追加指定が行われている)。

このため、特例型のがん診療連携拠点病院は、最終的に「15施設程度」に減少する可能性があります。もっとも、「要件を満たさない施設」が新たに現れれば、来春(2021年春)以降の検討会で「新たな特例型」指定が行われることになります。



また、今回、小樽市立病院(北海道)について「地域がん診療病院」から「地域がん診療連携拠点病院」への移行を認めるべきか否かが審査されています。病院サイドの努力が伺えます。ただし、「現時点では、ごく一部の項目で要件を充足できていない。ただし、2020年3月までに全要件を満たせる見込みである」という状況に鑑み、▼今回の指定(2020年4月1日発効予定)では「地域がん診療病院」の更新指定にとどめる▼この6月(2020年6月)の再審査時点で「要件充足」が確認されれば、改めて「地域がん診療連携拠点病院」としての新規指定を認める(発効時期は未定だが、7月発効の可能性が高い)―こととなりました。

「指定の原則」(新規指定分は要件をすべて満たしている病院に限定する)と「病院サイドの努力・国民への優れたがん医療提供の要請」とのバランスをとった格好と言えるでしょう。

特定領域がん拠点病院、「特定のがん領域での集学的な治療実績」が必要

また、特定のがん領域について極めて優れた集学的治療を行っている「特定領域がん診療連携拠点病院」としての新規推薦が2件ありましたが、次のようにいずれも「指定不可」となりました。

▽星総合病院(福島県):乳がん分野で実績があるが、放射線治療実績がなく、「集学的治療を行っている」とは認められない

▽原三信病院(福岡県):前立腺がん分野で手術実績があるが、集学的治療に関するデータが示されておらず、「優れた治療を行っている」かどうか判断できない

このうち原三信病院では、「一般型の地域がん診療連携拠点病院」の要件を満たしていますが、福岡県サイドから「前立腺がん治療の実績が極めて高いことをPRすべき、特定領域としての指定を行ってほしい」との要請がありました。この点、検討会では「一般型の地域がん診療連携拠点病院」としての指定も行わず、来春(2021年春)以降に改めて指定推薦してもらう(集学的治療のデータを近く示したとしても、例えば2020年6月の再審査対象とはしない)こととなっています。


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