Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

新型コロナ禍で「自身の判断で治療中断するがん患者」も、がん拠点病院は「治療継続の必要性」呼びかけよ―がん拠点病院指定検討会(2)

2021.1.28.(木)

新型コロナウイルス感染症の影響で、がん患者が自身の判断で「勝手にがん治療を中断してしまう」ケースが少なからずある。患者や家族に対して「がん治療の継続が重要である」こと「必要な感染拡大防止策を病院サイドがとっている」ことなどを強く周知するとともに、主治医を中心とした医療スタッフが「自己判断による治療中断を行わない」ように働きかける必要がある—。

1月27日に開催された「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われています。

がん拠点病院から「自身の判断で治療中断しないでください」と呼びかけるムーブメントを

昨年(2020年)初頭より新型コロナウイルス感染症が我が国でも猛威を振るっています。そうした中で、「医療機関を受診する際に新型コロナウイルスに感染する可能性がある」と考える国民が少なくなく、さまざまな調査で「患者減」が確認されています。

Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの調査分析によれば、新型コロナウイルス感染症の蔓延から少し時間をおいて「がん患者」が大きく減少したことが明らかになっています(関連記事はこちら(分析第5弾)こちら(分析第4弾)こちら(分析第3弾)こちら(分析第2弾)こちら(分析第1弾))。

そうした中で、がん患者代表として検討会に参画する村本高史委員(サッポロビール人事部プランニング・ディレクター)は、一般社団法人CSRプロジェクトによる「新型コロナウイルス感染症拡大が及ぼした がん患者への影響調査」結果を紹介。そこから、例えば次のような状況が明らかになりました。

▽がん患者の8人に1人が「受療内容を変更」し、薬物療法など治療中の患者では4人に1人が受療内容を変更している。変更した人の中には「自己判断で受療を変更した」患者が少なくなく、重症化などが懸念される

▽自己判断で受療内容を変更した人の主な情報源は「テレビ」「ラジオ」「インターネット」などが多く、医療機関や学会など確かな情報源へのアクセスが低い

▽がん患者の約7割が、「自分や家族の感染への不安」「外出や人と会うことへの不安」「体調の変化や重症化、治療継続への不安」を感じている

がん患者が自己判断で治療を中断するるケースが少なくない(がん拠点病院指定検討会(2)1 210127)

院内感染の不安から、治療中断等を自己判断するがん患者が少なくない(がん拠点病院指定検討会(2)2 210127)

がん患者が外来診療や検査をキャンセルするケースが多い(がん拠点病院指定検討会(2)3 210127)



こうした状況を放置すれば、がん患者の予後に悪影響が出かねません。そこで村本構成員は検討会・厚生労働省に対し、次のような対策・対応を行うべきと強く要望しました。

(1)新型コロナウイルス感染症が拡大する中での「がん診療提供体制」について、患者・家族等に対しホームページ等での周知を広く行う

(2)患者・家族に対し、主治医を中心とした医療スタッフから「患者・家族の自己判断による受療の中止等を行わない」よう働きかける



いずれも、「必要な新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策をとっているおり、適切な受診が重要である」ことを、病院自らが発信し、不適切な受診抑制を招かないようにするものです。

藤也寸志座長(国立病院機構九州がんセンター院長)も「医療現場でも、受診減・検診減が生じていることを感じている。がん治療と仕事との両立を推進するために、がん診療連携拠点病院では、患者に告知する際に『仕事を辞めないでください』と助言するなどしている。今般の新型コロナウイルス感染症が蔓延する中でも、がん診療連携拠点病院を中心に『自己判断で治療中断をしないでください』と積極的に発信するようなムーブメントを作っていく必要があるのではないか」と、村本構成員の提案・要望に賛同し、厚労省に対し「がん診療連携拠点病院等に働きかけてほしい」と指示しました。



また、厚労省も「新型コロナウイルス感染症が、がん治療等に及ぼしている影響」を調査する考えを示しています。ただし「単純に受診件数が減っている」ことが問題なのか、などは慎重に考えていく必要があります。

がん診療連携拠点病院等の中でも、大学病院や県立中央病院などでは、「がん患者」のみならず、他疾病の患者、さらに新型コロナウイルス感染症患者をも受けなければなりません。例えばECMO管理などが必要な新型コロナウイルス感染症の重症者では「1対2」看護(患者1人に対し常時2名の看護師が対応する)が必要とされ、通常のICUの「2対1」看護の4倍、最も手厚い一般病棟の「7対1」看護の14倍の看護師配置が必要になります。つまり、こうした病院では、看護師を集約するために「病棟の一部を閉鎖」することが必要となります。その閉鎖病棟の中には「がん患者」が含まれることもあり、こうした事態が「即、問題である」と判断することは困難でしょう。

地域によって状況が異なることもあり、これらをどのように調査・判断していくかは相当難しく、調査票の設計にも相当の工夫が必要となり、また結果の解釈も慎重に行わなければならない点に留意が必要です。



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

【関連記事】

地域トップの「高度型がん拠点病院」、新規に藤沢市民病院・浜松医大病院・伊勢赤十字病院・香川労災病院を指定―がん拠点病院指定検討会(1)
砂川市立病院や社会保険田川病院など9病院、一般型の地域がん拠点病院へ復帰―がん拠点病院指定検討会
高度型がん拠点病院、実績ナンバー1項目が最低1つ必要、IMRT実績の要件化を将来検討―がん拠点病院指定検討会(2)
高度型の地域がん診療連携拠点病院、北里大病院、八尾市立病院、日本海総合病院など33施設を新指定―がん拠点病院指定検討会(1)
群馬大病院、2019年7月から「都道府県がん診療連携拠点病院」に復帰―厚労省
都道府県がん拠点病院50施設、地域がん拠点病院339施設など4月1日から新指定―がん拠点病院指定検討会
地域がん診療連携拠点病院、機能・実績に応じ「高度型」「特殊型」など3分類に―がん診療提供体制検討会
がん携拠点病院の新要件固まる、2019年4月から新要件に基づくがん体制始まる―がん診療提供体制検討会
地域がん拠点病院、2019年から機能や実績に応じて3区分に―がん拠点病院指定要件ワーキング
拠点病院にABCの区分設け、補助金などに反映―拠点病院の指定要件ワーキング

第3期がん対策推進基本計画を閣議決定、ゲノム医療推進や希少・難治がん対策など打ち出す
病院にピアサポーターが必要な本当の理由、がん患者を支える非医療職の実像



2020年7月に外来・入院とも患者数復調続く、予定入院患者減少のトップは「胃がん」―GHC新型コロナ分析第5弾
2020年6月、外来・入院ともに「患者数復調の兆し」が見られるが、がん患者症例数はさらに減少―GHC新型コロナ分析第4弾
2020年5月、新型コロナでの患者減がさらに拡大、がんや脳梗塞・心不全患者も減少―GHC分析第3弾
4月には新型コロナで外来・入院ともに患者大激減、がん医療へも影響が拡大―GHC分析第2弾
3月時点から新型コロナで外来・入院ともに患者減、白内障・ポリペク割合の高い病院で患者減目立つ―GHC分析