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地域医療構想の実現に向け「単独または複数で10%以上のベッド削減」を行う病院に手厚い補助―厚労省

2021.6.8.(火)

厚生労働省は5月28日に事務連絡「令和3年度『病床機能再編支援事業』の事業募集について」および事務連絡「地域医療構想の達成に向けた病床の機能又は病床数の変更に関する事業の実施に関するQ&Aについて」を示しました。

病院の再編・統合を経済的に手厚く支援するもので、本年度(2021年度)には都道府県から国への申請期限は「8月6日まで」とされています。申請の前提として「地域医療構想調整会議での再編・統合の承認」などが必要となり、医療現場では急ぎ必要な取り組みを進めることが重要です。

単独または複数での「病床削減」計画を補助する仕組みを、改正医療法で「恒久化」

Gem Medでお伝えしているとおり、改正医療法(良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための 医療法等の一部を改正する法律)が成立し、その一部である「病院の再編・統合を含めた地域医療構想の実現を推進する」仕組みが施行されています。

まず、従前予算事業であった「再編・統合などにより病床数を一定程度以上削減した病院」に対して、逸失利益を補助する「病床機能再編支援事業」が制度化(恒久化)されました(2020年度の予算事業である「病床機能再編支援事業」に関する記事はこちらこちら)。

また、病院の再編・統合計画を厚生労働大臣が認定し、その場合に税制上の優遇を行う仕組みも創設されています。

医療機関の再編・統合を促すために「ダウンサイジングへの財政支援」「不動産取得における税制優遇」を行う(改正医療法2 210528)



今般の事務連絡では、制度化(恒久化)された病床機能再編支援事業について、現場の疑問に答える形で、事業詳細を説明しています。

本事業は(1)単独支援給付金(2020年度は「病床削減支援給付金」)(2)統合支援給付金(同「医療機関統合支援給付金」)(3)債務整理支援給付金(同「病院の債務整理に必要な借入資金に対する支援給付金」)—の3つで構成されています。医療機関サイドが必要書類とともに開設地の都道府県に申請を行い、都道府県で要件審査を行ったうえで給付金が支給されます(給付金は課税対象外)。

単独支援給付金・統合支援給付金・債務整理支援給付金の交付までのスケジュール

単独支援給付金・統合支援給付金ともに「10%以上のベッド削減」が要件となり、図では2018年度から20年度にかけて「100床」分が支援対象となる

医療機関単独での「10%以上のベッド削減」を支援する【単独支援給付金】

まず(1)の単独支援給付金事業は、一般病床または療養病床を持つ医療機関(病院・診療所)が、地域の関係者間の合意の上、地域医療構想に即した病床機能再編を実施する場合に「減少する病床数に応じた給付金を支給する」ものです。

給付金を受けられるのは、「2018年度の病床機能報告で高度急性期・急性期機能・慢性期の機能(以下「対象3区分」と呼ぶ)と報告した病床数」の減少を伴う病床機能再編に関する計画」(以下「単独病床機能再編計画」と呼ぶ)を作成した医療機関の開設者等で、▼単独病床機能再編計画について、地域医療構想調整会議の議論の内容・都道府県医療審議会の意見を踏まえ、都道府県が地域医療構想の実現に向けて必要と認めた▼病床機能再編後の対象3区分の許可病床数が、2018年度の対象3区分稼働病床数合計の「90%以下」である(つまり10%以上の病床削減計画を立てる)―ことが必要です。「地域医療構想の実現を目的としたものではない病床機能再編」(例えば経営困難等を踏まえた自己破産による廃院や、都道府県が「地域医療構想の実現に向けて必要である」と判断していない場合など)は支給の対象とはなりません。



給付金の額は、「2018年度病床機能報告で対象3区分として報告した稼働病床数合計」から「対象3区分の許可病床数に病床稼働率を乗じた1日平均実働病床数」までの間の病床数減少について、下表のように病床稼働率に応じて「減少する病床1床当たりの額」をベースに計算します。

単独支援給付金を計算する際の単価



その際、次の点に留意する必要があります。
▼病床稼働率は、2018年度病床機能報告の数値を用いる
▼2018年度病床機能報告から2020年4月1日までの間に病床機能再編や休棟等により稼働病床数に変更があった場合には、「2018年度病床機能報告時の対象3区分の稼働病床数」と「2020年4月1日時点の対象3区分の稼働病床数」のいずれか少ない方を基準とする
▼1日平均実働病床数以下まで病床数が減少する場合は、1日平均実働病床数以下の病床数減少について「1床当たり228万円」を交付する
▼計算に当たっては「回復期機能、介護医療院に転換する病床数」「過去に2020年度病床機能再編支援補助金における地域医療構想を推進するための病床削減支援給付金、本事業の支給対象となった病床数」「同一開設者の医療機関へ病床を融通した場合の融通病床数」を除く

単独支援給付金額の計算方法



なお、▼単独病床機能再編計画の達成が見込めなくなった場合▼給付金支給から2026年3月末までの間に、同一の構想区域に開設する医療機関で「対象3区分の許可病床数を増加させた場合」(特定疾患患者の増加などにより厚生労働大臣・都道府県知事が特に認める場合を除く)▼不正の手段により給付金支給を受けたと認める場合—には、給付金の全部・一部を返還しなければなりません。

(2)の統合支援でも同様ですが「計画が破綻した場合には、給付金の返還が求められ、医療機関経営に多大な影響が出る」ことになるため、厚労省は都道府県に対し「計画に基づく取り組みの進捗状況を把握し、確実に当該計画に基づいて病床数減少が実行されると見込まれる事案について支給を行う」よう強く求めています。



また厚労省の示したQ&Aでは、▼回復期医療の需要増が今後見込まれるために、助成対象から「回復期機能の病床」を除いている▼病床数減に「着手した後」「完了した」場合でも、特段の事情があると地域医療構想調整会議・都道府県医療審議会が認めた場合には本事業の助成対象となる▼「実際に病床再編が開始される年度以降」に都道府県から厚労省に申請を行う▼複数年度にまたがる病床削減計画の場合には、年度毎「減少した病床数に応じた助成」を行うことが可能である▼計画進捗は遅れているが「翌年度に、早期に病床削減が確実に達成される」場合には、給付金の返還はしなくともよい▼2021年度以前の病床数削減は対象とならない▼重点支援区域内であっても単独支援給付金は1.5倍にはならない((2)の統合支援給付金は1.5倍になる)―ことなどが明らかにされています。

複数医療機関での「10%以上のベッド数削減を伴う再編・統合」を支援する【統合支援給付金】

また(2)の統合支援給付金事業は、「複数の医療機関」(以下、統合関係医療機関)が、地域の関係者間の合意の上、地域医療構想に即した病床機能再編を実施し統合する場合に「当該統合に参加する医療機関に給付金を支給する」ものです。

こちらの給付金を受けられるのは、「2018年度の病床機能報告で対象3区分と報告した病床数の減少を伴う統合計画」を立て、そこに参加する医療機関の開設者で、▼統合計画について、地域医療構想調整会議の議論の内容・都道府県医療審議会の意見を踏まえ、都道府県が地域医療構想の実現に向けて必要と認めた▼統合関係医療機関のうち1以上の病院が廃止(クリニックへの転換でも良い)される▼統合後に統合関係医療機関のうち1以上の医療機関が運営されている▼2026年3月末までの統合が完了する計画で、すべての統合関係医療機関が計画に合意している▼統合関係医療機関の対象3区分の総病床数の10%以上減少する―ことを全て満たすことが要件となります。



給付金の額は、統合関係医療機関ごとに「2018年度病床機能報告で対象3区分として報告した稼働病床数合計」から「対象3区分の許可病床数に病床稼働率を乗じた1日平均実働病床数」までの間の病床数減少について、下表のように病床稼働率に応じて「減少する病床1床当たりの額」をベースに計算します。

統合支援給付金を計算する際の単価



その際、次の点に留意する必要があります。
▼病床稼働率は、2018年度病床機能報告の数値を用いる
▼2018年度病床機能報告から2020年4月1日までの間に病床機能再編や休棟等により稼働病床数に変更があった場合には、「2018年度病床機能報告時の対象3区分の稼働病床数」と「2020年4月1日時点の対象3区分の稼働病床数」のいずれか少ない方を基準とする
▼1日平均実働病床数以下まで病床数が減少する場合は、1日平均実働病床数以下の病床数減少について「1床当たり228万円」を交付する
▼計算に当たっては「回復期機能、介護医療院に転換する病床数」「過去に2020年度病床機能再編支援補助金における地域医療構想を推進するための病床削減支援給付金、本事業の支給対象となった病床数」「同一開設者の医療機関へ病床を融通した場合の融通病床数」を除く
▼「重点支援区域」として指定された統合関係病院等医療機関については、上記の計算で算定された金額の「1.5倍」の額を支給する(重点支援区域の関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら

統合支援給付金額の計算方法



なお、▼統合計画の達成が見込めなくなった場合▼統合関係医療機関が、給付金支給から2026年3月末までの間に「対象3区分の許可病床数を増加させた場合」(特定疾患患者の増加などにより厚生労働大臣・都道府県知事が特に認める場合を除く)▼不正の手段により給付金支給を受けたと認める場合—には、給付金の全部・一部を返還しなければなりません。



またQ&Aでは、▼(1)の単独支援給付金の対象医療機関が統合関係医療機関に含まれていた場合でも、当該医療機関を算定対象とすることが可能である▼統合関係医療機関の1以上がクリニックや介護医療院になった場合でも「廃止」として本事業の対象となるg、有床診・介護医療院のベッドは給付金算定対象とはならない▼対象3区分以外から対象3区分への病床融通・転換した病床は給付金の対象とはならない―ことなどが明らかにされています。

複数医療機関が再編・統合する際、廃止医療機関の債務返済を支援する【債務整理支援給付金】

さらに(3)の債務整理支援給付金事業は、地域医療構想に即した病床機能再編を実施し統合する場合に「当該統合によsって廃止となる医療機関の未返済債務を、統合後に存続する医療機関が新たに融資を受けて返済する際の、当該融資に係る利子の全部・一部に相当する額に係る給付金を支給する」ものです。

この給付金を受けるには、▼地域医療構想調整会議の議論の内容・都道府県医療審議会の意見を踏まえ、都道府県が地域医療構想の実現に向けて必要と認めた統合計画による統合後の存続医療機関である((2)の統合関係医療機関として認められている)▼統合関係医療機関のうち1以上の病院が廃止(クリニックへの転換でも良い)される▼統合後、統合関係医療機関のうち1以上の医療機関が運営されている▼統合で廃止となる医療機関の未返済の債務を返済するために金融機関から新たに融資を受けている▼金融機関から取引停止処分を受けていない▼国税・社会保険料・労働保険料を滞納していない―という要件を全て満たすことが求められます。



給付金の額は、「承継医療機関が『統合によって廃止となる医療機関』の未返済債務を返済するために、金融機関から新たに受けた融資に対する利子の総額」(ただし、融資期間は20年、元本に対する利率は年0.5%を上限)となります。

債務整理支援給付金額の計算方法



なお、▼給付金支給から2026年3月末までの間に、同一の構想区域に開設する医療機関で「対象3区分の許可病床数を増加させた場合」(特定疾患患者の増加などにより厚生労働大臣・都道府県知事が特に認める場合を除く)▼▼不正の手段により給付金支給を受けたと認める場合—には、給付金の全部・一部を返還しなければなりません。さらに、繰り上げ返済などで新生児の元本年率(上限0.5%)を下回り、新たな年率適用後の給付金残額が当初年率を踏まえた給付金残額と比して上回る場合には、その差額を都道府県知事へ返還しなければなりません。





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