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「公立・公的病院の再編統合」の再検証を厚労省が通知、対象病院は約440に増加―厚労省

2020.1.17.(金)

がんや心血管系疾患、脳卒中など急性期医療の診療実績が特に少ない、あるいは近隣にこうした診療実績が類似する病院がある公立・公的等医療機関については、「公立・公的等でなければ果たせない役割」を地域で果たしているのか、その機能を改めて検証し、必要に応じて機能分化やダウンサイジングも含めた再編・統合を検討してほしい―。

厚生労働省は1月17日に、こういった内容を盛り込んだ通知「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。

なお、再検証の対象となる医療機関数は昨年9月時点では424施設でしたが、その後の精査により440程度になる見込みです(7施設減少し、20施設程度増加)。

再検証期限、「2019年度中に機能を再検証し、再編統合は2020年秋まで」とされるが・・・

昨年(2019年)9月26日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)において、424の公立・公的等医療機関について「機能の再検証を求めるべきではないか」との方針が固められました。

詳細はすでにGem Medで詳しくお伝えしていますが、大枠は次のような病院について再検証を求めるものです(関連記事はこちらこちら)。

(A)診療実績が特に少ない公立・公的病院等
▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期▼災害▼へき地▼研修・派遣機能―の9領域すべてで、地域における診療実績が下位3分の1の病院

(B)類似の機能を持つ病院が近接している公立・公的病院(人口100万人以上の地域医療構想区域にある病院については、別途、再検証方針等を定める)
自動車で20分以内の距離に、▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期―の6領域すべてで、「診療実績が類似する病院」がある病院

(A)の診療実績が特に少ない病院については「急性期医療提供が期待される公立・公的病院等としての存在意義」が問われていると言えます。また(B)では「類似・近接する病院が当該医療機関を代替できるのではないか」と考えられるのです。こうした病院について、地域の事情を考慮した上で、例えば「機能分化」や「ダウンサイジング」を含めた再編統合の必要性を検証することが求められるのです。



今般の通知では、次のように再検証方針が明確にされました。概ねワーキングで議論されてきた内容です。また、後述する424病院の公表後に「地域で必要な病院を廃止せよというのか」という誤解に基づく意見が自治体や医療関係者から噴出したことも踏まえ、そうした意見にも配慮した内容となっています(関連記事はこちらこちら)。

▽再検証においては、次の3点について検討し、地域医療構想調整会議で合意を得る
(1)現在の地域における急性期機能や、将来の人口推移とそれに伴う医療需要の変化などの「医療機関を取り巻く環境」を踏まえた、2025年を見据えた当該医療機関の役割
(2)分析の対象とした領域(がんや心疾患等)ごとの医療機能の方向性(他医療機関との機能統合や連携、機能縮小、機能廃止等)
(3)(A)(B)を踏まえた機能別の病床数の変動

▽再検証は、厚労省の示した診療実績データで機械的に行うものではなく、地域の事情を踏まえて丁寧に行う

▽(B)医療機関(類似かつ近接)の再編統合検証に当たっては、地域医療構想区域全体の2025年度の医療提供体制を改めて協議する(公立から民間へ機能移転・集約が行われた場合、地域の医療提供体制そのものが変化する可能性がある)

▽(A)医療機関の再編統合検証でも、必要な場合には地域医療構想区域全体の2025年度の医療提供体制を改めて協議する

▽(A)(B)に該当しないが、急性期の一部領域で診療実績が少ない、あるいは類似・近接要件に該当する医療機関についても、改めて機能について議論を行う。とくに「2019年3月までに合意された機能が、第7次医療計画における役割・2017年度病床機能報告の病床数と変化がない医療機関」については、機能を再確認する



こうした再検証の期限について、通知では「骨太方針2019」(経済財政運営と改革の基本方針2019)に沿って進めるよう求めています。具体的には、▼機能の見直しは2019年度中に行う▼再編統合については2020年秋までに行う―ことになります(ワーキングでも同様の議論)。このため、2019年度中に再検証が終わらない医療機関については、「何らかの再編統合(機能分化やダウンサイジングも含めて)が行われる」公算が強いと推測することになるでしょう。

ただし厚労省は、「骨太方針2020において改革工程表(骨太方針を受けた改革スケジュール)が具体化される」点も踏まえて、自治体の意見も聞きながら再検証期限を改めて整理する考えも示しています。今後の動向によって、「期限が後ろ倒しになる」可能性が高いと言えます。

もっとも、現時点では▼機能の見直しは2019年度中に行う▼再編統合については2020年秋までに行う―というスケジュールに則って、各地域医療構想調整会議で再検証を精力的に進めていくことが求められている状況に変わりはないと考えるべきでしょう。

なぜなら機能の再検証は、本来は「厚労省等に指示されたために行う」ものではないからです。診療実績が特に少なかったり、競合病院と症例を奪い合っているような場合には、「症例が分散し、医療の質が低下している」可能性があります(Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと米国メイヨークリニックとの共同研究で、医療の質と症例数には大きな相関のあることが分かっています)。医療の質を高めるために、もちろん患者の医療アクセス等にも配慮したうえで、「機能集約・重点化やダウンサイジングなども含めた再編統合」を積極的に検討することが必要です。

人工膝関節置換術における症例数と術後合併症の関係

データ精査の結果、再検証対象は「424病院」から「440病院程度」に変動

ところで、こうした再検証を求められる公立・公的等医療機関は、暫定版ではあるものの、昨年(2019年)9月のワーキングでは「424施設」とされました。

ただし、その後の精査(▼公立・公的等医療機関の一部データの入力漏れの補正▼公費負担医療に係る手術データの追加▼病床機能報告における病棟名・病棟ID等の確認を踏まえた追加―の3点)によって増減のあることが判明。例えば、データの補正等による「より多くの手術を実施していることが判明し、上記(A)『診療実績が特に少ない』に該当しなくなった、あるいは(B)『類似かつ近接』の病院での代替が不可能なことが分かった」、また「ある病院の診療実績が上がったために、相対的に別の病院の診療実績が下がった」ことなどによるものです。

まず再検証対象から外れる病院が次の7施設となります。もちろん、再検証要請対象から外れたとしても、「機能の再検証が必要である」状況はそれほど大きくは変わりません。例えば、上述の(B)で6領域すべてが「類似近接」であったところから、一部領域で「類似近接」になったとしても、当該領域について機能の再検証の必要性は大きくは減じられるものではないからです。
▼社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会中央病院(東京都)
▼JA静岡厚生連 遠州病院(静岡県)
▼岩国市医療センター医師会病院(山口県)
▼徳島県鳴門病院(徳島県)
▼宗像医師会病院(福岡県)
▼熊本市立熊本市民病院(熊本県)
▼杵築市立山香病院(大分県)

一方、データ精査の結果、新たに再検証対象となる見込みの病院が20施設ほどあります。ただし、厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長は「424施設を公表した後に、自治体等から『風評被害が生じている、公表方法等について慎重に考えるべきであった』との声が多数示された。こうした声も踏まえ、新たな対象病院等については厚労省として積極的に公表することはしない」との考えを示しています。

結果として、440病院程度が再検証対象になると見込まれます(現在、各都道府県で最終確認中)。



なお、上述した再検証にあたって「民間病院の診療実績データ」(▼高度急性期・急性期と報告した3187施設の診療実績▼(B)として公立・公的等と競合する類似・近接の約370病院リスト―)も都道府県に示されますが、鈴木地域医療計画課長は同様に「積極的な公表は行わない」考えを示しました。

今後、再検証の結果が集計されますが、その結果をどう取り扱うのかは決まっておらず、今後ワーキングの議論等を待つ必要があるでしょう。

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