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看護職員処遇改善評価料、算定額の「すべて」を看護職員の賃金改善に充て、3分の2以上はベースアップ等に充当せよ—厚労省

2023.6.6.(火)

看護職員処遇改善評価料を算定する医療機関では、評価料算定額の「すべて」を看護職員の賃金改善に充てなければならず、また3分の2以上はベースアップ等(基本給または、毎月必ず支払われる手当)に充当しなければならない—。

算定医療機関は、毎年7月に「今年度の賃金改善計画書」と「前年度の賃金改善実績書」を地方厚生(支)局に提出しなければならない—。

厚生労働省は5月30日に事務連絡「看護職員処遇改善評価料に係る施設基準等の取扱いについて」を示し、改めてこうした点への留意を医療機関等に求めました。

年4回、看護職員数・延べ患者数の応じた「評価料の区分」を自院で計算

昨年(2022年)10月より、新たに【看護職員処遇改善評価料】が設けられました。

2021年12月21日に当時の後藤茂之厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣との間で「看護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%(月額1万2000円)程度引き上げる診療報酬上の対応を行うことが合意されたことを受けたものです(関連記事はこちら)。

▼【救急医療管理加算】を届け出ており、救急搬送件数が年間200件以上(賃金改善を行う期間を含む年度の「前々年度」実績)である医療機関(さらに詳細な要件あり)▼「救命救急センター」、「高度救命救急センター」、「小児救命救急センター」のいずれかを設置している医療機関―が対象となり、本年(2023年)3月時点で2575施設が届け出を行っています。

看護職員数・延べ患者数は病院ごとに異なるため、165種類を超える「看護職員数・延べ入院患者数に応じた評価料」(1点-340点)が用意され、各病院が「自院の状況(看護職員数・延べ入院患者数)にマッチした評価料」を算定します。

【看護職員処遇改善評価料】の計算方法の大枠
▽各病院で、「看護職員等の賃上げ必要額」(当該医療機関の看護職員等数×1万2000円×1.165(社会保険料相当))÷「当該保険医療機関の延べ入院患者数×10 円」で計算した値をもとに、165種類の評価料の中から「自院にマッチする評価料」を選択し、請求する(看護職員数・延べ患者数などは申請が必要であるが、根拠資料は「適切に院内に3年間保管」していればよく提示までは求められない)

(a)「看護職員等の数」は、直近3か月の各月1日時点における看護職員数の平均値とする

(b)「延べ入院患者数」は、直近3か月の1か月あたりの延べ入院患者数(▼入院基本料▼特定入院料▼短期滞在手術等基本料(基本料1を除く)—を算定している患者)の平均値とする

(c)毎年3、6、9、12月に上記計算式で算出し、区分に変更がある場合は地方厚生局長等に届け出る

(d)ただし、前回届け出時点と比較して、直近3か月の「看護職員等の数」、「延べ入院患者数」、「計算結果」のいずれの変化も1割以内である場合には、区分の変更を行わない

【看護職員処遇改善評価料】の計算方法と、点数選択基準(中医協総会(2)2 220810)



また、【看護職員処遇評価料】の収益は、すべてを「看護職員の賃金改善」に充てることが求められ、次のような賃金改善ルールが設定されています(評価料を他の使途(設備整備など)に充てることはNG)。

(a)当該医療機関に勤務する看護職員等(保健師、助産師、看護師、准看護師(非常勤職員を含む)をさす、以下同)に対して、【看護職員処遇改善評価料】算定額に相当する賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く)を含む。以下同)の改善を行う
賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象を特定して行うとともに、特定した項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く)の水準を低下させてはならない

(b)賃金の改善措置の対象者は、当該保険医療機関に勤務する看護職員等のほか、視能訓練士、言語聴覚士などのメディカルスタッフ(補助金と同様に規定)も職種も対象に加えることができる

(c)安定的な賃金改善を確保する観点から、【看護職員処遇改善評価料】による「賃金改善合計額の3分の2以上」は、基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げにより改善を図る(一時金は3分の1未満としなければならない)
→ただし、「看護職員等処遇改善事業補助金」(2022年2-9月)が交付された病院については、「本年度(2022年度)中は、同補助金に基づくベースアップ等水準を維持する」ことで足りる

(d)【看護職員処遇改善評価料】の見込額、賃金改善の見込額、賃金改善実施期間、賃金改善を行う賃金項目、方法などを記載した「賃金改善計画書」を毎年4月に作成し、毎年7月に地方厚生局長等に提出する

(e)毎年7月、前年度の取り組み状況を評価するため「賃金改善実績報告書」を作成し、地方厚生局長等に報告する



今般の事務連絡では、7月の「2023年度の改善計画書提出」を目前に控え、賃金改善ルールなどについて、改めて次のような点を遵守するよう医療現場に要請しています。

【賃金改善の内容について】
▽本評価料による収入の「全額」について「賃金の改善措置」を行う必要がある

「賃金改善の実績額 < 本評価料による収入の全額」となる場合、施設基準上の要件を満たさないこととなるため、必ず下記の「賃金改善の期限」までに賃金の改善措置を行う必要がある

▽看護職員の安定的な賃金改善を確保する観点から、「本評価料による賃金改善合計額の3分の2以上」は、「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」の引上げ(以下、ベア等(ベースアップ等))により改善を図る必要がある

「2022年度の看護職員等処遇改善事業補助金」(21年度の繰り越し分)が交付された保険医療機関は「22年度中は同補助金に基づくベア等水準を維持することで足りる」こととなっていたが、2023年度以降は「本評価料で規定するベア等水準への引き上げ」が求められる



【賃金改善の期限】
▽本評価料による賃金改善措置は、原則として「賃金改善実施期間内に行う」必要がある

▽ただし想定を上回る収入が生じたなどのやむを得ない場合に限って、当該差分について「翌年度7月に『賃金改善実績報告書』を提出するまでに賃金改善措置を行う」ことを認める



【評価料の区分変更】
毎年3、6、9、12月に、上記算定式により新たに「自院にマッチする評価料」を算出し、区分に変更がある場合は「算出を行った月内」に地方厚生(支)局長に届け出を行い、翌月(毎年4、7、10、1月)から変更後の区分に基づく点数を算定する

▽前回の届け出時点と比較して、対象となる3か月の▼看護職員等の数▼延べ入院患者数▼上記算定 式で算出した数—のいずれの変化も「1割以内」である場合は、区分変更は行わない



【賃金改善計画書、賃金改善実績報告書】
毎年7月中に、新規年度分の「賃金改善計画書」と、前年度分の「賃金改善実績報告書」を地方厚生(支)局長へ提出する必要がある

2023年度の看護職員処遇改善評価料の区分変更・計画書等提出スケジュール



▽届け出様式を一部訂正している(厚労省サイトはこちら(2023年3月29日付け事務連絡「令和4年度診療報酬改定関連通知等の一部訂正について」)
→「ベア等の割合における賃金改善の見込額・実績額」について、基本給等の引き上げにより増加した法定福利費等の事業者負担分が含まれないことを明確化している
→既に提出した2022年度分の「賃金改善計画書」について、再提出の必要はない。



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